リスク管理の目的と実態とは?リスク管理のプロセスと合わせて解説

現代多様化しているリスク管理。その目的を理解してリスク管理をしていくことが重要になります。本記事では、企業はどのようなリスク管理を導入していけばよいのか、そのプロセスを解説し、真のリスク管理の目的とは一体どんなものなのかを見ていきます。

リスク管理は年々多様化、そして複雑化している

インターネットがインフラ化し、グローバル社会へ進化している流れが加速化している昨今、ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に行き来できる世の中になりました。企業は続々とグローバルな事業展開を目指し、想定されるリスクは多様化、そして複雑化の動きにあります。

また、現代は多様な業務でのアウトソーシング化が進んでいます。アウトソーシングを請け負っ企業が何らかのトラブルにより業務を停止することとなれば、当然自社にも多大な影響がをもたらすこととなったり、従業員が法令違反を行ったり、商品の品質にムラが出てしまう、といったリスクも増加しています。

リスク管理をする最大の目的は、企業が被る「損失の最小化」

リスク管理をする最大の目的は、企業や組織が活動する上で、想定できる全てのリスクを正確に把握、そして管理し、事前に対策を講じることです。そして企業価値が低下することを回避したり、企業が被る損失を最小化することにあります。

企業が事業を営む際のリスク管理に不備があったり、生じたトラブルを速やかに対処することができなければ、株主やステークホルダー、ひいては社会からの信頼も失う事態になりかねません。

事業を営む際にリスク管理は、必ず向き合わなければならないものです。業務が増えてしまう、厄介だ、などと否定的に捉えるのではなく、リスク管理に前向きに取り組んでいきましょう。

そう捉えてリスク管理と向き合うことで「リスク」というネガティブなイメージを払拭することができれば、従業員のモチベーションキープにも繋がります。

国内企業におけるリスク管理の実態

次に、日本国内企業におけるリスク管理がどの程度進んでいるのを見ていきます。中小企業庁が2015年に実施した調査によると、大企業の18.5%にリスク管理を担当する部署があり、さらに66.9%にはリスク管理は総務・企画部門が兼務していると回答しています。

一方中小企業では、リスク管理を専門とする部署があると回答したのはわずか3.9%、担当部署がないと回答した企業は、全体の40.4%にものぼります。中小企業には、リスク管理に対して投資する体力や人的余裕がないことが浮き彫りになった結果が出ています。

忘れてはならないのが、事業規模が大きくなればなる程リスクが多い、という訳ではない、ということです。事業を営む際には規模に関わらず必ずリスクが伴うものです。リスク管理は、むしろ一つのトラブルが経営に大きなダメージを与えてしまう可能性が高い小規模の企業にこそ必要な対策とも言えます。

それでは、実際にはどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

想定されるリスクを分類し、整理することから対策を講じる

企業におけるリスクとは、一体どのようなリスクがあるのかを理解するためには、まず思いつけるリスクを全て書き出すことから始めてみましょう。そして、挙がった項目ごとに整理していくと、どういったリスクがあるのかが分かります。

そのリスクを大まかに分けるのであれば『災害・事故のリスク』『経営に関するリスク』『政治・経済・社会リスク』といった感じに分けることができます。

台風・洪水・火災、そして交通事故・盗難などは『災害・事故』に振り分けます。新規事業や設備投資の失敗、役員が関わるスキャンダルも『経営』に関するリスクと分類します。

法律や制度の変更や改正、市場ニーズの変化などは『政治・経済・社会』に分類できます。

このように、さまざまなリスクをそれぞれの特徴から大きく分類、そして整理することによって、漠然としていた企業を取り巻くリスクを明確化し、整理して対策を講じることができるのです。

リスク管理の目的に沿った具体的な導入プロセスは?

実際にリスクを管理するためには、どのようなプロセスを踏んでいけばよいのでしょうか。ここでは、4つの段階に分けてリスクを管理する方法をご紹介します。

1.リスクを洗い出してみる

リスクを洗い出す方法は、上述したリスクのリスト化が最も有効です。大企業の場合は、特定の部署に任せるのではなく全社で協力してリストを作成すれば、組織全体のリスクを把握することいができ、全体に網羅できます。

2.リスクを数値化して分析する

それぞれのリスクがどれほど経営に支障をきたしてしまうのか、またどれくらいの頻度で発生する可能があるのかを、可能な範囲で数値化しましょう。どれだけの損害を出す可能性があるのかを試算する過程の中で、発生頻度が算出されることもあります。

3.リスクをグラフ化して評価する

リスクの評価方法は多々ありますが、誰でも分かる形にするために、グラフに落とし込む方法があります。縦軸を発生確率、横軸を影響の大きさとしたグラフを用意すると良いでしょう。

そのグラフには、分析の過程で抽出された数字を落とし込みます。これによって影響の大きさや発生確率の高いリスクなど、重大なリスクが誰が見てもわかるようになります。

4.組織にあった手順でリスクへの対応策を定める

最後に、組織にとって対応すべき優先度が高いと判断されたリスクが実際に問題化してしまった際の具体的な対応策を考えます。対応方法は、その組織に合った手順を定めておくと良いでしょう。

プロジェクト単位でリスク管理の目的を強く意識する

以上のプロセスは、企業や組織単位での行うリスク管理です。しかしリスク管理の概念が浸透してきた現代においては、もっと細分化されたリスク管理が求められているのです。『リスクは、プロジェクトが存続している間は常に発現し続ける』とも言われているのです。

どんなに計画が緻密であっても、プロジェクトが進行していくと、誰も想定していなかったような問題が発生するかもしれないのです。しかし問題が起こることをただ恐れるのではなく、いかにリスクをコントロールしていくか。それがリスク管理の目的と言えるのです。

リスク管理をする真の目的は『未来への投資』

まだ目に見えていない事象を可視化して対応を講じなければならない、という点から考えても、リスク管理には難しい点もあります。

しかし、しっかりとリスクと向き合ってコントロールすることができれば、組織の損失を最小限に抑えることができるのです。リスクを管理していくことはあなたの企業にとって『未来への投資』と捉えて、前向きに取り組んでいきましょう。

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