ヘルプデスクの3つの課題と6つの改善ポイント

企業を取り巻くIT環境は日々複雑さを増しています。それに伴い、現代ビジネスの重要な基盤で安定したITシステムを運用することに多くのコストと労力を費やす企業が急増しています。企業規模やIT利用率が高くなるにつれ、企業は効率的に問題を解決するためにヘルプデスク業務を重要視し始めました。

ヘルプデスク業務は、問い合わせ件数の多さや電話やメールでの説明が難しいといったことが問題となることが多く、高度なコミュニケーション能力が求められるため問い合わせ対応に苦慮される企業は多いのが実状です。仮想化技術の発達やクラウド化の進展、管理すべき端末の増加、さらには部署により独自にクラウドが導入されているなど、ヘルプデスクで対応する業務が複雑になってきています。

また、予防することも重要で、レポートや分析結果にあらかじめ目を通して、社員や顧客満足度の向上に必要な対応を理解しておけば、状況の悪化にすぐに気づき、社員や顧客満足度の低下を未然に防げるようになります。

この記事では、急増するヘルプデスク業務の見直し=改善ポイントを徹底解説します。

ヘルプデスクの3つの課題

ヘルプデスク業務は、多くの課題を抱えており、業務改善のために、課題をひとつひとつ解決していくことが大切です。ここでは、ヘルプデスクが見直しを求められる課題をご紹介します。

課題1)対応が不要である問い合わせが多い

ヘルプデスク業務の課題でまず多いのは、本来は不要である問い合わせが頻発することが多いということです。

例えば、すでにマニュアルやFAQが公開しているにも関わらず、問い合わせ側の確認が不十分であることから繰り返し問い合わせが入ってしまうといったケースです。こういった問い合わせの対応に追われることにより、他の重要な業務が滞ってしまうということも発生します。

問い合わせをする側のITリテラシー(ITを使いこなせる能力)や理解度が個々に異なるため、初歩的なPCの質問や会社の書類関係に関する質問など、不要な問い合わせが圧倒的に多いのです。

課題2)返答までに時間がかかる

ヘルプデスクには電話、メール、チャットなどで数多くの問い合わせが入るため、すべての問い合わせに即時対応を行うことは困難です。ヘルプデスク業務は、限られた人数で全ての業務を分担するケースも少なくないため、慢性的に人材不足なのです。

返答までに時間がかかると、その分だけ問い合わせた側とヘルプデスク、双方の業務がストップしてしまうことも考えられます。ヘルプデスクの対応が悪く、問題解決に多くの時間を要してしまう場合は、他部署の業務効率が落ち企業の運営に大きな損失を生んでしまうこともありうるのです。

多くの場合は、それぞれの問い合わせに応じたマニュアルなどを作成して、早めに返答できるような体制を整えています。しかし、想定外の問い合わせがあったり、トラブルが起きてしまったりした場合は、どうしても対応までにある程度の時間を要してしまうことが発生します。

課題3)業務に関する知識の習得が追い付かない

ヘルプデスク業務は、対応範囲が幅広く業務内容は多岐に渡ります。担当者は、どんな問い合わせにも対応するために情報管理システムや経理関連システム、マニュアル作成、IT環境の整備など幅広い業務内容の知識を習得し、アップデートしていかなければなりません。

しかし、実際は日々の業務に追われ、知識の習得にあまり時間が割けないといったことが問題視されています。また、習得する知識量が多く、全ての情報を把握するのが難しいことも課題です。その結果、担当者によって知識のムラができてしまい、業務が集中し、属人化する原因になってしまいます。

ヘルプデスクの6つの改善ポイント

多くの企業では、このヘルプデスク業務自体の生産性向上を目指しています。上記で解説した見直しが求められる課題を含め、業務改善に欠かせないポイントを6つご紹介します。

1. 問い合わせを解決した割合を管理する(インシデントのクローズ率)

ヘルプデスクで日々発生するインシデントのクローズ率とは、社員や顧客から受けたITに関するトラブルの問い合わせのうち、解決したものの割合を指します。このクローズ率=問題解決率の可視化が大事なのです。

一般的なヘルプデスクでは、各担当者が対応し、問題解決した問い合わせを担当者ごとに管理されています。これらを業務終了後に統合してクローズ率を集計することは難しいため、あらかじめ1つのデータベースで管理することが大切です。

2. 問い合わせ解決に要した時間を管理する(インシデントのクローズ時間)

社員や顧客からの問い合わせを受け付けてから解決までにかかった時間の計測が大切です。特に大企業になると、毎日数十件の問い合わせを受け付けることになるため、解決に要した時間(クローズ時間)をいかに短縮できるかによって、ヘルプデスクの生産性が決定してしまいます。

解決に要した時間(クローズ時間)に関しても、担当者ごとに管理するのではなく、やはり1つのデータベースで一括で管理することが大事なのです。

3. FAQへの誘導を徹底する

ヘルプデスクには、ITの基本操作に関する質問や誤操作によるトラブルなどの問い合わせが毎日寄せられ、その中には内容が重複したもの多いのが現状です。

そこで、業務効率化のためにFAQを作成する企業が多くなっていますが、社員や顧客がFAQを参照せずとりあえずヘルプデスクに連絡するというケースが減らないのです。このような場合、丁寧に対応をしているといつまでも減らないため、徹底してFAQへ誘導する姿勢が大切です。

4. 状況把握の精度を高め、スピーディな対応を徹底する

ヘルプデスクの業務改善に欠かせないのが「初動を早めること」です。そのためには正確な状況把握が必要であり、ヘルプデスクの業務改善における要とも言えます。問い合わせの方法は企業によって様々です。

電話に加えてメールやWebページでも、問い合わせ受付が行えるようにするのもおすすめです。例えば、社員がExcelフォーマットに発生したITトラブルを記入し、それをメールに添付してヘルプデスクに送信する方法もあるでしょう。電話では、回線が混雑してお待たせする可能性があるため、メールで問い合わせを受け付ける企業も増えています。内容によっては口頭での説明が難しく、相手の具体的な状況が把握しにくいのに加え、案内が不十分になってしまう可能性があります。

また、チャットボットを導入する企業も急増しています。スピーディーな対応は、顧客や社員の満足度をUPにも繋がり、企業の信頼度も向上します。ヘルプデスク担当者は、状況把握と問題の特定を迅速化し正確に行えるよう、仕組みを整えることが大切です。

5. 対応できない問題には「NO」とはっきり言う

企業の中には、社員が独自にインストールしたり、情報システム部門が関与していないアプリを使っていることもあります。そうしたアプリケーションで発生した問題に関しては最初から「対応できない」という旨をハッキリと伝えることが大切です。

独自に使っているアプリの問い合わせへの対応は効率性が非常に悪く、セキュリティリスクが増加します。また、雑務やクレーム処理のような問い合わせには、関係する部署を紹介したり、「NO」とはっきり言いましょう。

6. ​​ヘルプデスクをサポートする強力なITツールを導入しよう

ITツールとは、ヘルプデスク業務をサポートをしてくれる業務改善に繋がるツールのことです。顧客対応や情報管理といった重要な役割を担うヘルプデスクは、業務が煩雑化しており、より効率的でスムーズな業務運営ができるようにするため、ITツールを導入することがおすすめです。

例えば、ヘルプデスクツールを使えば、問い合わせ内容や顧客情報を管理・共有できるので、都度問い合わせする必要がなくなります。問い合わせ対応業務も効率化できるので、よりスムーズな対応が可能になります。またデータの収集・分析もでき、その後のフィードバックに活かせるというメリットもあります。また、チャットボット導入で土日・夜間対応も可能になります。

課題を見直しヘルプデスク業務の改善を始めましょう

ヘルプデスクの業務効率化を行うには、課題をしっかりと洗い出し、それらを解決する改善策を見つけることが大切です。ヘルプデスク業務のパンクは、サービスの品質低下を引き起こし、企業の深刻なトラブルへと発展させる恐れもあるため、企業全体で「ヘルプデスク業務改善」について考えていくことが大切です。

今回ご紹介した6つのポイントと現場の声を参考にしながら、ヘルプデスクの改善をしていきましょう。

【関連記事】
社内ヘルプデスク業務を効率化するオールインワンチャットツール「Tocaro」

ワークプロセスマネジメントプラットフォーム
Tocaro(トカロ)

仕事のあらゆる行動を定量化し、成果につながるプロセスを見える化します。結果、意思決定の柔軟性を高め、チームの生産性を高めることが可能です。さっそくワークプロセスマネジメントプラットフォームのTocaroを使ってみましょう。