オンプレミスとは?メリット・デメリットを徹底解説

「オンプレミス」という言葉を聞いたことはありますか?オンプレミス(On-Premises)とは、組織が自社の物理的な場所にデータセンターやサーバールームを構築し、ITインフラストラクチャー(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)を自社「on the premises(敷地)」で運用管理することを指します。つまり、オンプレミスではデータやシステムは組織のプライベートな環境内にあるということなのです。

コロナ禍以降、多くの企業がリモートワークや柔軟な働き方を採用する必要が生じ、デジタルトランスフォーメーションの推進を加速させ、オンプレミス環境に対する需要や運用方法が変化しました。オンプレミス環境におけるリモートアクセスや安全な遠隔作業のニーズが増加しました。しかし、オンプレミスは迅速なスケーリングやリソースの調整が難しい場合もあり、柔軟性の必要性が浮き彫りになってきています。

企業へのサイバー攻撃も年々増加しています。リモートワークの普及に伴いセキュリティの重要性が増している昨今、自社のデータを守るためにもオンプレミスのことをしっかりと理解することが必要です。

この記事では、オンプレミスについて、メリットデメリット、オンプレミス環境のおすすめのビジネスチャットなどを徹底解説します。

オンプレミスの特徴とは?

オンプレミスは、自社でシステム運用するために必要なハードウェアやソフトウェアを保有し、「on the premises(敷地)」で運用管理することです。一方、同じくよく聞く「クラウド」は、自社でハードウェアなどを自社で保有しない運用のことです。オンプレミスの特徴を詳しくご説明します。

物理的な制御が可能
オンプレミス環境では、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データセンターなどを自社で所有し管理します。企業は、データとシステムに対して完全に制御出来るため、セキュリティポリシーの適用やアクセス制御などを自社で好きなように管理できます。

自由にカスタマイズ可能
オンプレミス環境では、企業はハードウェアやソフトウェアを自由にカスタマイズすることができます。特定のニーズや要件に応じて、システムやアプリケーションをカスタマイズし、柔軟な運用が可能です。また、独自のセキュリティポリシーやアクセス制御を設定することも出来ます。

ネットワークの制御が可能
自社内のネットワークをオンプレミス環境にすると、企業は完全にネットワークを制御できます。ネットワークトポロジーやルーティング、セキュリティ設定などを自由に設定し、組織のニーズに合わせたネットワーク環境を構築することが可能です。

データの保管とコンプライアンスを厳重に管理可能
オンプレミス環境では、企業は自社内でデータを保管することができます。これにより、データの管理やコンプライアンス要件をより綿密に管理することが可能です。企業特有のセキュリティ基準や法的要件に対応するために、データの所在地やアクセス制御を自社で管理できます。

高度なパフォーマンスと応答性
企業がハードウェアやネットワークリソースを独自に管理するため、高度なパフォーマンスと応答性を実現できます。データセンターやサーバールームを自社で管理することで、ネットワーク遅延を最小限に抑え、アプリケーションのスムーズな動作を実現できます。

柔軟なコスト管理が可能
オンプレミスは、ハードウェアやソフトウェアの購入や保守費用、電力消費など、自社に合わせてコスト管理ができます。企業は、投資費用やランニングコストを自社の予算やニーズに合わせて管理し、将来の拡張やアップグレードを計画することが可能となります。

他のツールとの連携が可能
オンプレミスなら、自社のシステムやアプリケーションを総合的に統合し、一元的に制御することができます。データのフローとプロセスを自由に設計し、他のシステムやツールとのシームレスな連携を実現出来るのです。

様々な業界に適用可能
オンプレミスは、さまざまな業界に適用可能です。特に、セキュリティやコンプライアンスが厳格な産業(金融、医療、官公庁など)では、データの保護やセキュリティ管理を自社で行う必要があります。これらの業界でのセキュリティレベル要件に適合させることができます。

上記は、一般的なオンプレミス環境の特徴です。組織や業界によって異なる場合があります。オンプレミス環境を選択する際には、組織の要件、予算、セキュリティニーズ、運用管理能力などを総合的に評価する必要があります。

オンプレミスの6つのメリットとは?

では、オンプレミスのメリットとはどんなことでしょうか?オンプレミス環境には、以下のようなメリットがあります。

⒈データとシステムを完全に制御すことができる

オンプレミス環境では、企業が自社内でデータとシステムを完全に制御できます。データセンターやサーバールームを所有し管理することで、セキュリティポリシーやアクセス制御を自社で定義し、データの管理や保護に関する絶対的な権限を持つことが可能です。

⒉セキュリティを強化できる

オンプレミス環境は、自社のネットワーク内でシステム運用を行うことになるため、第三者がシステムに侵入しづらくなり、セキュリティの面でも優れています。 企業の機密情報や顧客の個人情報などの管理には、オンプレミスを活用していると安心です。機密情報や重要なデータの保護を強化したい場合は、オンプレミス環境がおすすめです。

⒊自由にカスタマイズができる

オンプレミスは、ハードウェアやソフトウェアを自由にカスタマイズすることが可能です。自社が求める特定のニーズや要件に合わせてシステムやアプリケーションを設計し、柔軟な運用が出来ます。また、独自のアプリケーションやサービスを開発することもできます。

⒋パフォーマンスと応答性の最適化

オンプレミス環境では、ハードウェアやネットワークリソースを自社で管理するため、高度なパフォーマンスと応答性を実現できます。データセンターやサーバールームを自社で所有し、適切なハードウェアとネットワーク構成を選択することで、アプリケーションのスムーズな動作と高速なデータ処理を実現できます。

⒌長期的なコスパが良い

オンプレミスは、初期投資が必要ですが、長期的にはコスパが良いとされています。クラウドサービスのように定期的な使用料が発生しないため、ランニングコストを予測しやすく、予算管理がしやすいからです。また、将来的な拡張やアップグレードに伴うコストをより効果的に管理できる場合もあります。

⒍ネットワーク帯域幅と可用性の管理

オンプレミス環境は、自社でネットワーク帯域幅(特定の時間内にネットワーク接続を介して送信できるデータの最大容量)やシステムを継続して使用することを独自に管理できます。特に、大量のデータやリアルタイムな応答性が要求される場合には、オンプレミス環境が適していると言われています。企業はネットワークの設計と最適化を行い、帯域幅やレイテンシー(通信の遅延時間)の制御を調整することが可能です。

オンプレミスのデメリットとは?

メリットもあれば、もちろんデメリットもあります。導入前にデメリットに対する対策を万全にしておけば安心出来ます。これから紹介するデメリットは、組織や業界によって異なる場合があります。オンプレミス環境を導入する際には、組織の要件や予算、セキュリティニーズ、運用管理の能力などを考慮し、クラウドサービスとの比較検討を行うことが重要です。
では、デメリットを4つご紹介します。

⒈高い初期費用

オンプレミス環境を構築するためには、ハードウェアやソフトウェア、データセンターの設備などの高額な初期投資が必要となります。これには、設備の購入費用、インフラストラクチャーの構築費用、専門スタッフの雇用費用などが含まれます。

一方、クラウドサービスのように月額料金は発生しないためトータルでみるとコスパが良い場合もあります。

⒉メンテナンスとアップグレード・運用の負担

オンプレミス環境では、ハードウェアやソフトウェアのメンテナンスやアップグレードを自社で行う必要があります。これには、システムのアップデート、パッチの適用、ハードウェアの故障対応などが含まれます。

組織内に情報システム部門などの専任の担当者を配置することで、すぐに対応できるようになる場合もあります。また、ハードウェアやネットワークの管理、監視、トラブルシューティングを行う必要もあるため、専門知識と適切なリソースが必要です。

⒊災害復旧の課題

オンプレミス環境では、自社のデータセンターやサーバールームに物理的な災害(地震や津波などの天災や、テロ、不正侵入などによりシステムが壊滅的な状況)が発生した場合、システムやデータの復旧に時間と労力がかかる可能性があります。適切な災害復旧プランやバックアップ戦略を入念に用意する必要があります。

⒋技術の進化への対応

クラウドサービスは迅速に進化しており、新しい機能やサービスが継続的に提供されています。オンプレミス環境では、自社でハードウェアやソフトウェアのアップグレードを行う必要があり、最新の技術や機能への追従には時間とリソースが必要です。専任のスタッフなどを配置し、常にアップデートする必要があります。

コロナ禍で影響を受けたオンプレミス

コロナ禍以前は、特に大企業はセキュリティ重視でオンプレミス環境を選んでいました。しかし、コロナ禍で多くの組織がリモートワークや柔軟な働き方を採用する必要が生じました。これにより、オンプレミス環境に対する需要や運用方法が変化しました。

まず、オンプレミス環境におけるリモートアクセスや安全な遠隔作業のニーズが増加しました。また、デジタルトランスフォーメーションの促進が進み、企業はオンプレミス環境からクラウドベースへの移行を検討し、オンラインコラボレーションツールの導入を進めることでビジネスの継続性を確保しようとしています。

一番ネックになったのは、インフラストラクチャーの柔軟性が難しかったことです。オンプレミス環境では、迅速な規模の拡大や資源の調整が難しい場合があり、柔軟性の必要性が浮き彫りになりました。

また、リモートワークの普及に伴いセキュリティの重要性が増しました。オンプレミス環境は、組織はセキュリティポリシーやアクセス制御を自社で管理するため、リモートアクセスのセキュリティ対策、ユーザー認証やアクセス制御の強化、セキュリティ監視の強化が求められています。

新型コロナウイルスの影響により、オンプレミス環境には柔軟性やセキュリティの強化、リモートワークへの対応などの課題が生じました。これにより、一部の企業では、クラウドベースのソリューションへの移行やハイブリッド環境の採用を検討するなど、ITインフラストラクチャーの見直しが行われてしまっています。

オンプレミス環境を提供しているおすすめのビジネスチャット3サービス

オンプレミス環境で利用できるおすすめのビジネスチャットを3つご紹介します。

Tocaro(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)

出典:https://tocaro.im/

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が提供する「Tocaro(トカロ)」は、組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的として自社開発したビジネスチャットツールです。

【料金プラン】
エンタープライズプラン 要相談

Tocaroサービスサイト:https://tocaro.im/

InCircle(AI CROSS株式会社)

出典:https://www.incircle.jp/

AI CROSS株式会社が提供する「InCircle」は、日本国内での法律適応・国内での仕様設計など日本での利用を中心に検討・設計されたビジネスチャットです。

【料金プラン】
オンプレミス 別途お見積り


InCircleサービスサイト : https://www.incircle.jp/

Rocket.Chat(三和コムテック株式会社)

出典:https://rocketchat.jp

三和コムテック株式会社が提供する「Rocket.Chat」は、オープンソースのオンプレミス型ビジネスチャットツールであり、カスタマイズ性とセキュリティに優れています。組織内でのリアルタイムコミュニケーションやファイル共有、ビデオ会議などが可能です。また、APIの利用や多くのプラグインのサポートも特徴です。

【料金プラン】
Enterpriseプラン 別途お見積り

Rocket.Chatサービスサイト:https://rocketchat.jp

自社はオンプレミス環境が適しているかよく検討しましょう

オンプレミス環境は、セキュリティとコントロールの要求が高い企業や、特定の業界でのデータ保護や規制への対応が必要な場合に適しています。

ただし、適切な費用や資源とスキルセットを持つことが重要であり、初期投資や運用管理の負担があることも考慮すべきです。

組織のニーズや要件に基づいて、クラウドベースのソリューションとオンプレミス環境を比較し、最適な選択を行う必要があります。また、アフターコロナ以降は多様化する働き方に対応していかなくてはいけなくなってきています。

ぜひ、貴社はどちらの環境が適しているのかよく検討しましょう。

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