【ビジネスチャット最新調査】企業のコミュニケーションが進化する背景とは?

近年、世界のビジネス環境は劇的な変化を遂げています。多くの企業がテレワークやリモートワークを導入し、従業員の働き方が大きく変わったことから、社内外でのコミュニケーション手段として、ビジネスチャットが注目されるようになりました。

特にコロナ禍以降、企業の業績や生産性を維持、あるいは向上させるための新しいコミュニケーションツールとして、その有効性が見直されています。リアルタイム性や多機能性を持ち、従来のメールとは一線を画するビジネスチャットツールは、働く場面や方法の多様化にも柔軟に対応することができるため、今後もますますビジネスの中心となっていくことでしょう。

この記事では、2023年度の最新調査に基づき、ビジネスチャットの現状とその進化、そして今後の展望について詳しく解説します。

ビジネスチャットの現状とは?

ビジネスチャットとは、業務におけるコミュニケーションをサポートするオンラインツールのことを指します。特にリモートワークの増加やテレワークの定着に伴い、多くの企業や組織でその重要性が増してきています。では、具体的な現状はどうなっているのでしょうか。

市場規模と利用者数の多いツール

2023年の最新調査によると、ビジネスチャットの市場規模は前年比20%の成長を見せており、多くの企業が新たに導入を検討しています。ビジネスチャット市場の2019年度の売上金額は105億6,000万円で、2022年度の国内ビジネスチャットツール市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比22.6%増の312億6,300万円でした。

利用者数の多いツールは、SlackやMicrosoft Teams、Zoom Chatなどが挙げられます。特にMicrosoft Teamsは、Office 365との統合性を生かして急速にシェアを伸ばしています。

利用する企業の業界・規模別割合

IT業界や広告業界など、デジタルツールを日常的に使用する業界では、ほとんどの企業が何らかのビジネスチャットを導入しています。

また、企業規模別に見ると、大企業の80%、中小企業の60%がビジネスチャットを利用しているというデータがあります。中小企業でもコミュニケーションの効率化やリモートワーク対応として導入が進んでいます。

2017年の伊藤忠テクノソリューションズ株式会社による「大手企業のビジネスチャットツール導入実態調査」では、会社として公式にビジネスチャットツールを導入している企業は28.1%、導入していないが 71.8%でした。6年間でかなり市場規模が大きくなっていることがわかります。

ビジネスチャットの基本的な機能と特長

ビジネスチャットの最大の特長は、リアルタイムでのコミュニケーションが可能であることです。これにより、メールよりも迅速に情報共有や意思疎通を図ることができます。また、ファイルの共有、ビデオ通話、タスク管理の統合など、業務をサポートする多様な機能が備わっています。特に最近では、AIを活用した自動応答やアシスタント機能も注目されています。

ビジネスチャットの最新の機能とトレンドとは?

近年のビジネスチャットは、単なるコミュニケーションツールとしての役割を超え、多岐にわたる機能や最新の技術を組み込むことで業務の効率化をサポートしています。日々進化する技術の恩恵を受けて、ビジネスチャットの機能も幅広く拡がってきました。以下では、最新の機能とトレンドをご紹介します。

AIを活用した自動応答やタスクアシスタント

現代のビジネスチャットには、AI技術を導入して業務をサポートする機能が増えてきています。特に、問い合わせ内容に自動で適切な回答を返す自動応答機能や、タスクの推進をサポートするアシスタント機能が注目を集めています。これにより、簡単な問い合わせや業務のリマインドなどを、人の手を介さずに効率よく処理することが可能になりました。

タスク管理やカレンダーとの連携強化

最近のビジネスチャットでは、タスク管理ツールやカレンダーとの連携を強化して、一元的な業務管理を実現しています。例えば、チャット内での会話を元にタスクを自動作成したり、スケジュールの調整をリアルタイムで行える機能などが導入されています。これにより、チャットを使用しながらも業務全体の進捗や予定を確認することが容易になりました。

高度なセキュリティ機能とデータ管理

企業のデータは非常に重要であり、それを守るためのセキュリティ対策もビジネスチャットでは強化されています。エンドツーエンドの暗号化や二段階認証、アクセス権限の詳細な設定など、データ漏洩のリスクを最小限に抑えるための機能が充実しています。また、GDPRや日本の個人情報保護法などの法的要件にも対応するためのデータ管理機能も整備されています。

ビジネスチャットを選択する際の3つのポイント

ビジネスチャットを導入する際には、単に機能の多さやブランド名だけで選ぶのではなく、自社の実情や必要性に合わせて選定することが重要です。以下に、その選定基準として考慮すべき3つのポイントを挙げてみました。ぜひご参考にしてみて下さい。

⒈企業のビジョンや文化に合致する機能の選択

企業のビジョンや文化は、組織内のコミュニケーションスタイルや働き方を大きく左右します。例えば、オープンなコミュニケーションを推進している企業では、全員がアクセス可能なグループチャット機能が求められるかもしれません。一方、部署ごとの情報区分けが重要な企業では、プライベートなチャンネル作成機能が必要になるでしょう。こうしたニーズを正確に把握し、それに合った機能を持つツールを選定することが大切です。

⒉コストパフォーマンスの分析

ビジネスチャットのサービスは、無料から高額なものまで様々です。最初は無料プランから始めて、必要に応じて有料プランに移行することも可能です。ただ、コストだけでなく、そのコストに見合った価値が得られるかを分析することが重要です。例えば、高機能なツールでも、実際に使用する機能が少なければ、コストパフォーマンスが悪いと言えるでしょう。

⒊サポート体制や導入時のサポートの有無

ビジネスチャットの導入は、従業員全員が関わる大きなプロジェクトとなることが多いです。そのため、問題が発生した際のサポート体制や、導入時のトレーニング・サポートが提供されるかは非常に重要です。特に大規模な企業では、導入時のサポートや研修が充実しているサービスを選ぶことで、スムーズな移行を実現することができます。

ビジネスチャットの効果的な利用方法

ビジネスチャットの導入は、業務の効率化やコミュニケーションの活性化を目的としていますが、その利用方法によっては逆に混乱を招くこともあります。成功の鍵は、ツールを如何に効果的に利用するかにあります。下記で効果的な利用方法を詳しく解説します。

社内でのコミュニケーションルールの設定


チャットの利便性から、無秩序にメッセージが飛び交う状況が生じることが考えられます。これを防ぐためには、事前にコミュニケーションルールを明確に設定することが重要です。

例えば、緊急の連絡や重要な報告はメールや会議を使用する、一般的な質問や情報共有はチャットで行うなど、使い分けるシーンを明確にすることで、混乱を防ぎます。

適切な通知設定のポイント


ビジネスチャットの通知は、業務の妨げになることもあります。しかし、全ての通知をオフにすると重要な情報を見落とすリスクもあるのです。適切なバランスでの通知設定が求められます。重要なグループやトピックにのみ通知を受け取る設定や、一定の時間帯は通知をオフにする「マナーモード」の活用など、個々の業務スタイルに合わせて設定することがポイントです。

教育や啓発活動の実施方法


ビジネスチャットの効果的な利用のためには、社員一人ひとりがツールの使い方やその価値を理解することが不可欠です。新しいツールを導入した際には、研修やセミナーを開催することで、正しい利用方法やコミュニケーションのノウハウを共有することがおすすめです。また、定期的に利用状況のチェックやフィードバックを取り入れて、適切な利用方法を啓発する活動も効果的です。

ビジネスチャットの活用実例

では、実際にビジネスチャットを活用して成功した実例をみてみましょう。以下は、ビジネスチャットを使用したIBMの事例をご紹介します。

企業名:IBM

IBMは、世界で最も大きなテクノロジー企業の一つとして知られています。数年前からビジネスチャットを活用し、コミュニケーションの革新に成功しました。

導入背景と当初の課題

IBMの従業員数は数万人に上るため、情報の共有や迅速なコミュニケーションは常に大きな課題でした。従来のコミュニケーションツールは、情報の遅延や断片化が問題となっていました。

利用方法と達成された成果

IBMはSlackを導入することで、従業員同士のリアルタイムでの情報共有が容易になりました。また、ビジネスチャット内で使用できる多数のアプリやボットの活用により、日常業務の自動化や効率化が進められました。これにより、プロジェクトの進捗管理やコードのレビュー、データの解析といった作業がスムーズに進行するようになりました。

ビジネスチャット導入後の変化と学び

導入後のIBMでは、距離や役職を問わず迅速なコミュニケーションが実現し、チームの一体感や生産性が大幅に向上しました。また、IBMはビジネスチャットのAPIを活用して独自のアプリやボットを開発し、社内の業務ニーズに合わせたカスタマイズも進められました。この経験から、ただツールを導入するだけでなく、独自のニーズに合わせたカスタマイズや、継続的な教育が重要であるという学びを得ました。

IBMの事例を通じて、大企業においてもビジネスチャットの効果的な導入と活用が、組織全体の生産性やコミュニケーションの質を向上させる可能性があることがわかります。

導入数が急増しているおすすめのビジネスチャット3選

多くの企業が導入しているおすすめのビジネスチャットツールを3つご紹介します。

⒈メッセージプラットフォームの先駆者「Slack」

出典:Slack

Slack Technologies, Incが提供する「Slack」は、日本はもちろん、世界的にも広く認知されているビジネスチャットのパイオニアです。世界150ヵ国以上で利用されているだけでなく、有料プランの利用企業数も16万9,000社以上と多くの国と企業で利用されています。定型的なアクションやコミュニケーションを自動化してSlackワークスペースのワークフローに変換できるツールが「ワークフロービルダー」です。業務に必要なメンバーを探し出す時間が短縮でき、情報を適切な担当チームへ自動で収集して受け渡すことが可能です。

人気のポイントは、多くの外部アプリケーションとAPI連携できるところです。例えば、問い合わせメールをSlackに表示させる、Salesforceと連携して顧客のアカウント情報を別部門の社員が閲覧できるなど、外部サービスと連携ができるだけでなく、部門を超えた情報共有がスムーズにできるため、様々なツールを使うことが多いエンジニア業界で支持されています。

他社の既読機能とは違い、「〇〇さんが入力しています」と表示する機能があり、相手の対応状況をリアルタイムで把握できるようになっています。チャットは、迅速な情報交換ができるために短いメッセージが相手とのやりとりで交差しがちですが、この機能の「入力中」の表示があれば、相手の返答を待ってから返信でき、スムーズに会話を進められるため人気があります。

【Slackの価格】
無料プラン有
プロ:850円/ユーザー/月
ビジネスプラス:1600円/ユーザー/月
Enterprise Grid :要問合せ

Slackサービスサイト :  https://slack.com/intl/ja-jp/

⒉最大1万人が参加できるライブイベントも開催可能「Microsoft Teams」

出典:Microsoft Teams

Microsoft Corporationが提供する「Microsoft Teams」は、Teams はチャットだけのツールではなく、Office 365 のサービス各種と連携する機能を持っており、業務に必要なあらゆるリソースと繋がったチャットツールです。

最大の特徴は、Office製品との連携に重点をおいている点になります。業務で利用している人も多いWord、Excel、PowerPoint、SharePointなどOffice系との連携が可能で、チーム内のメンバーで共同編集を行うこともできます。共有のワークスペースにファイルなどをまとめられるので、場所に制限されず仕事をしたり、チームとチャットが行えます。Officeをすでに利用している場合や、会議中以外にもチャットやファイル共有を行いビジネス上のコミュニケーションを活性化します。

数人~数十人単位のWeb会議だけでなく、最大1万人が参加できるライブイベントも開催可能です。ストリーミングや倍速再生機能があるため、配信を好きなタイミングで見ることができたり、社外の人に参加してもらうこともできます。社長の講話や全体研修、決算発表会といった大人数が参加するイベントに活用できる機能となっていて、コロナ禍で研修や式典などが難しい中で利用する企業が増えています。

チャットの自動翻訳機能が付いているため、様々な国の人とグローバルに仕事をする職種の方にもおすすめです。

※Microsoft Teams無料版は2023年4月12日サービス終了。新しい「Microsoft Teams (無料版)」が始まります。

Microsoft Teamsサービスサイト : https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software

⒊独自の横断検索技術が人気オールインワンコラボレーションツール「Tocaro」

出典:Tocaro

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が提供する「Tocaro(トカロ)」は、組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的として自社開発したビジネスチャットツールです。メッセージの送受信をはじめ、タスク管理、スケジュールの共有、ファイルのアップロード・共有といった機能が備わっており、企業のコミュニケーションや業務効率の向上をサポートします。

セキュリティの強化や日本語対応が特長で、チャットはもちろん、タスク管理やカレンダー、ファイルの共有といった多彩な機能を統合的に提供しています。特に金融レベルの高セキュリティが人気の秘訣で、情報漏洩防止のための2段階認証やメッセージの暗号化など、ビジネスシーンでの安全な使用を前提とした機能が充実しています。これにより、業務の進捗管理や情報の一元化が可能となり、企業の生産性向上に大きく寄与します。

独自の大量のデータの中から必要なデータを簡単に見つけ出す優れた検索機能が特徴で、検索したいワードを入力すると、メッセージや共有されたファイル全てを検索し、必要な情報を探し出せます。社内で様々なツールを同時に使用していると、必要なデータを見つけるためにツールごとに検索を行わなければいけなくなりますが、一度の操作で横断的に検索できるのは、メッセージ機能とファイル共有機能を一つのサービスで提供しているからです。

【料金プラン】
スタンダードプラン 800円/ユーザー/月
ビジネスプラン1,000円/ユーザー/月
エンタープライズプラン 要相談
※無料トライアルあり

Tocaroサービスサイト:https://tocaro.im/

ビジネスチャットは次世代のコミュニケーションツール

ビジネスチャットはもはや単なるコミュニケーションツールではありません。近年、リモートワークの普及とともに、その役割と重要性が急速に拡大しています。特にAI技術の統合は目覚ましく、過去のチャットログから的確な情報を即座に引き出すだけでなく、業務の効率化のための提案を自動的に行う可能性が広がっています。

さらに、バーチャルリアリティや拡張現実技術の進化は、ビジネスチャットとの融合が進むことで、まるで遠隔地の人々と同じ部屋にいるかのようなリアルなコミュニケーションを可能にしています。これは、グローバルに展開するビジネスにとって、コミュニケーションの質と速度を向上させる大きな一歩となるでしょう。

結論として、ビジネスチャットは今後も技術の進化と共に絶えず変わり続けることでしょう。そして、これらの進化を適切にキャッチアップし、取り入れることが、企業の競争力を高め、未来のビジネスシーンでの成功を手繰り寄せる鍵となるのです。

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