情報セキュリティとは?

情報が私たちの生活やビジネスのあらゆる側面に浸透し、デジタルトランスフォーメーションが急速に進展する現代社会において、情報セキュリティの重要性は日増しに高まっています。特に新型コロナウイルスのパンデミックは、リモートワークやオンラインコミュニケーションの増加を促し、企業や個人が依存するデジタルツールと情報技術の重要性を一層際立たせました。

その一方で、デジタルの進展は情報セキュリティの脅威を増大させています。企業が情報技術を最大限に活用し、競争力を維持・拡大するためには、情報セキュリティ対策の充実が不可欠となっています。しかし、情報セキュリティとは具体的に何を指すのでしょうか? また、その具体的なリスクと対策は何でしょうか?

多くの人々がこのような疑問を抱きつつデジタル化の中働いているのではないでしょうか?

この記事では、情報セキュリティの基本概念から現代社会で直面する具体的なリスク、対策、そして将来への展望までをわかりやすく解説します。一緒に情報セキュリティの世界を探求し、理解を深め、安全なデジタル空間を作り上げるための知識とツールを手に入れていきましょう。

情報セキュリティの基本

「情報セキュリティ」という言葉を皆さんはどこかで聞いたことがありますよね?ニュース、社内会議、あるいは新しく導入したシステムの説明会で聞いたことがあるかもしれません。しかし、この「情報セキュリティ」とは具体的に何を指すのでしょうか?

情報セキュリティとは、企業が抱える価値ある情報、例えばそれが顧客データであったり、内部の業績データであったり、商品開発に関わる秘密情報であったり」を守るための一連の活動のことを指します。この情報セキュリティは「機密性・完全性・可用性」の3つの要素が基本となります。

では、それぞれ具体的に何を意味するのでしょうか?

機密性

機密性とは、情報が不正な方法で盗み見られたり、漏洩したりすることを防ぐための原則です。例えば、あなたがオンラインショッピングをする際にクレジットカードの情報を入力します。この情報が第三者に見られたり盗まれたりしないように保護するのが「機密性」の役割です。

完全性

完全性とは、情報が正確であること、そしてその情報が不正に改ざんされることから保護されることを確保する原則です。例えば、あなたが銀行の口座残高をオンラインで確認する場合、その表示される金額が正確であることが重要です。これを確保するのが「完全性」です。

可用性

可用性とは、必要なときに必要な情報にアクセスできることを確保する原則です。サーバーがダウンしていたり、システムが過負荷で動作が遅くなっていたりすると、情報へのアクセスが難しくなる場合があります。そういった状況を避け、情報へ迅速にアクセスできる環境を維持するのが「可用性」の役割となります。

これら3つの原則「機密性・完全性・可用性」が、情報セキュリティの基本的な目指すべき点です。そして、これら3つは相互に関連し、バランス良く維持されることで初めて、情報セキュリティが確保されます。一つでも欠けてしまうと、情報資産はリスクに晒され、企業の価値や信頼性が損なわれてしまうのです。

情報セキュリティのリスクと脅威

情報セキュリティを確保するためには、具体的なリスクや脅威を理解することが不可欠です。これらのリスクがもたらす結果は、企業にとって非常に深刻です。

例えば、顧客データの流出は、企業のブランドに対する信頼を失墜させ、それがビジネスの損失に直結します。また、法規制に違反すれば、法的な罰金や訴訟を引き起こす可能性もあります。

それでは、具体的にどのような脅威が存在するのでしょうか? 主な脅威は以下のようなものがあります。

⒈マルウェア

マルウェアとは、「悪意のあるソフトウェア」の略で、ウイルスやワームなど、マルウェアは、「悪意のあるソフトウェア」の略で、ウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェアなど、さまざまな種類が存在し、コンピューターシステムを侵入・破壊したり、不正に情報を取得したりするものを指します。これらは主にメールの添付ファイルや偽装ウェブサイト、ダウンロードしたソフトウェア内に潜んでおり、不用意にこれらを開くと感染します。一度感染すると、コンピューターシステムを破壊したり、不正に個人情報を盗み出したりすることが可能となります。

例えば、あるウェブサイトをみただけで、知らず知らずのうちにマルウェアが自身のパソコンに侵入し、個人情報が盗まれてしまうという事態があり得ます。

対策としては、定期的なセキュリティソフトのアップデート、メールの添付ファイルやリンクの開封を控える、公式な場所からのみソフトウェアをダウンロードする、などがあります。

⒉フィッシング

フィッシングは、詐欺的な手段を用いて個人情報を騙し取る行為です。フィッシングの手法は多岐にわたりますが、一般的には、信頼できる組織や個人を装ったメールやウェブサイトが使われます。これらのメールやウェブサイトから、パスワードやクレジットカード情報、社会保障番号などの個人情報を入力するよう求められます。

対策としては、URLを確認し、メールの内容に疑問を感じたら開かない、情報を求められた場合は直接組織に連絡を取る、などがあります。

⒊内部者の脅威

内部者の脅威は、組織内部の人間が意図的に、または無意識に情報を漏洩するリスクを指します。これは意図的な行動であれば、従業員が企業の秘密情報を競合他社に漏らす、不満の表明として故意に情報を外部に出す、などがあります。一方、無意識の行動であれば、重要な会議の資料を誤って公開場所に置き忘れる、セキュリティの甘いパスワードを設定する、などが考えられます。

対策としては、アクセス権限の厳格な管理、セキュリティ教育の徹底、重要情報へのアクセスログの管理と監視などが必要です。

これらのリスクは、誰もがネットワークやデジタルデバイスを使う現代社会において、常に身の回りに存在しています。しかし、これらの脅威を理解し、適切な対策を講じることで、情報セキュリティを高め、自社の資産と信頼を守ることができます。

情報セキュリティ対策とは?

情報セキュリティ対策は、情報リソースを保護し、情報の漏洩、改ざん、破壊から守るための重要なステップです。これらの対策は、技術的対策と組織的対策の2つの側面で考えられます。では、情報セキュリティ対策をご紹介します。

ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク対策

ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの各レベルでのセキュリティ対策が求められます。ハードウェアレベルでは、不正な物理的アクセスを防ぐための施錠やカメラの設置、不正なデバイスの接続を防ぐUSBポートのロックなどがあります。ソフトウェアレベルでは、アンチウイルスソフトウェアによるマルウェア対策、OSやアプリケーションの定期的なパッチ適用、権限管理システムによるアクセス制限などがあります。ネットワークレベルでは、ファイアウォールによる不正な通信の防止、VPNの利用による通信の暗号化、侵入検知システムによる不正アクセスの検知などがあります。

セキュリティポリシーと社員教育

技術的対策だけでなく、人間の行動に関する対策も重要です。そのために、企業は明確なセキュリティポリシーを作成し、社員に周知することが必要です。また、情報セキュリティの重要性を理解し、日々の業務に適用するための教育や研修を定期的に実施することも大切です。これにより、意図せずに情報セキュリティを脅かすような行動を防ぐことができます。

バックアップと災害対策

万が一のデータ漏洩やシステム障害に備えて、定期的なバックアップを実施することが重要です。また、災害時にも情報システムを速やかに回復できるように、災害復旧計画も準備しておく必要があります。

定期的なセキュリティ監査

定期的にセキュリティ監査を行い、情報セキュリティ対策が適切に機能しているかを確認します。この監査により、新たな脅威に対応するための改善点や弱点を発見することができます。

情報セキュリティ対策は、企業全体で取り組むべき課題であり、技術的対策と組織的対策、人間的対策が一体となって初めて効果を発揮します。そして、それらは一度設定すれば終わりというものではなく、絶えず見直しと更新を繰り返しながら、新たな脅威に対応していく必要があります。

情報セキュリティマネジメントの4つの要点

情報セキュリティは技術問題だけでなく、組織全体での戦略的な課題でもあります。経営者やシステム部門責任者は情報セキュリティマネジメントを行うことで、情報リソースを全体的に守る戦略を策定・実行します。

以下に情報セキュリティマネジメントの4つの要点を詳しくご説明します。

⒈リスク管理

リスク管理は、情報セキュリティマネジメントの中心的な役割の1つです。組織は、様々な情報セキュリティのリスクを定期的に評価し、それらのリスクが組織の目標や業績にどのような影響を及ぼすかを理解する必要があります。リスク評価の結果に基づいて、リスクを適切に管理するための対策を決定します。これには、リスクを受け入れる・リスクを軽減する・リスクを転送する・リスクを回避するという選択肢があります。

⒉ポリシーと手順

情報セキュリティポリシーは、組織が情報セキュリティをどのように理解し、それに対してどのように対応するかを明示したものです。これによって、組織の価値観や規範を示し、社員の行動を指導します。

また情報セキュリティ手順は、ポリシーを具体的な行動に落とし込んだもので、具体的な作業手順やルールを定めます。組織全員がこれらのポリシーと手順に従うことで、情報セキュリティの一貫性と効果性を保つことができます。

⒊教育と訓練

社員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、適切に行動することは、情報セキュリティマネジメントの成功に不可欠です。定期的な教育と訓練を通じて、社員のセキュリティ意識を高め、セキュリティポリシーと手順の理解と適用を促します。

⒋監査と改善

組織は、情報セキュリティ対策が適切に機能しているかを定期的に監査し、その結果に基づいて対策を改善します。内部監査だけでなく、第三者による外部監査を行うことで、客観的な評価と信頼性の向上を得ることができます。

情報セキュリティマネジメントは、組織の経営戦略の一部として取り組むべき課題です。情報セキュリティを単なるITの問題としてではなく、ビジネス全体に影響を及ぼす重要な要素と理解し、適切な管理と投資を行う必要があります。

おすすめの情報セキュリティツール

情報セキュリティ対策には様々なツールが存在します。その中でも特に広く利用されているツールをいくつか紹介します。ただし、各ツールはその使用目的や組織のニーズに応じて適切に選定されるべきです。自社に合ったツールを見つけましょう。

【アンチウイルスソフトウェア】

ウイルス、トロイの木馬、ワームなどのマルウェアを検出し除去するためのソフトウェアです。Norton, McAfee, Avast などが有名です。

Norton

出典:Norton

Nortonとは、ノートンライフロック社が販売しているウイルスセキュリティソフトです。不要な追跡をブロックして、オンライン広告企業などによる追跡を防止します。 デバイスのカメラへのアクセスを狙うアプリやユーザーを監視し、アクセスのブロックや警告を表示することが可能です。 

https://jp.norton.com

McAfee

出典:McAfee

McAfeeとは、ウイルス対策で国内シェアナンバー1を誇る高機能セキュリティソフトです。パソコンとは別で購入する場合もありますが、パソコンを購入するとすでに入っていることもあります。多種多様なデバイスに対応しており、きめ細かいサポート体制が充実していて、迷惑メールやスパムを自動でブロックしてくれるなどマカフィー1つで全てに対応できるほど対応力があり、セキュリティ性能が非常に高いソフトとして人気です。

https://www.mcafee.com/ja-jp/index.html

暗号化ツール

情報を暗号化することで、情報が盗まれても内容が理解できないようにします。このツールは、データの送受信や保存時に特に有用です。BitLocker、VeraCrypt などが利用されます。

BitLocker

出典:BitLocker

BitLockerとは、OSエディションが「Windows10 Pro」以上のパソコンに標準で搭載されている暗号化機能のことです。有効化しておけば、ノートパソコンを紛失した際などに情報漏えいのリスクを減らせます。

また、Windows標準の暗号化機能なので、暗号化の専用ソフトなどを導入する必要がない点もメリットです。また、内蔵ストレージだけでなく、USBメモリなどの外部記憶装置も暗号化できます。

VeraCrypt

手軽に暗号化された仮想ドライブを作成できるオープンソースの仮想ドライブ作成ソフトです。

任意のファイルに仮想暗号化ドライブを作成し、マウントすると実際のドライブと同様に利用でき、アンマウントするとただのファイルに戻る仕組みです。本ソフトでパスワード入力してマウントしない限りデータを閲覧・編集できないため、他の人には見せたくない、触られたくないデータを保存しておく用途などに便利です。

【ビジネスチャット】

情報セキュリティの観点から見るとビジネスチャットも重要な要素です。機密情報が会話の中に含まれることがあり、その情報が外部に漏れるとビジネスに重大な影響を及ぼす可能性があります。そこで、情報を適切に保護するための高セキュリティのビジネスチャットツールが必要なのです。

Slack

出典:Slack

Slackは非常にポピュラーなビジネスチャットツールで、セキュリティ対策も万全です。情報を暗号化して送受信し、不正アクセスを防ぐ二要素認証をサポートしています。

https://slack.com/intl/ja-jp/

Tocaro

出典:Tocaro

日本発のビジネスチャットツールで、エンドツーエンド暗号化をはじめとした高度なセキュリティ対策が施されています。また、直感的な操作感や日本語に最適化されたUIが特徴です。

https://tocaro.im/

LINE WORKS

出典:LINE WORKS

日本国内では非常に高い利用者数を誇るLINEが提供するビジネスチャットツール。企業情報を保護するための高度なセキュリティ機能を備え、便利な機能と併せて信頼性の高いコミュニケーションを実現します。

https://line.worksmobile.com/jp/

これらのビジネスチャットツールを使用する際には、パスワード管理やアクセス制御にも十分な注意が必要です。そして、従業員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、不審なメッセージやリンクを開くなどの行動を避けるような教育や情報共有が重要です。

情報セキュリティをしっかりと理解して新しい道を切り開きましょう

情報セキュリティは、単に技術的な問題を解決するだけでなく、組織全体が関与する重要な課題であり、その取り組みは企業の成長と存続に直結しています。この問題に対して適切な対策を講じることは、企業の信用性、競争力、そして長期的な成功に寄与します。

情報セキュリティの理念としては、社員一人ひとりが情報の扱いに対する意識を持つことが重要であり、これは組織全体で取り組むべき課題であることを忘れてはなりません。さらに、リーダーシップの視点から、経営者自身がセキュリティリスクを理解し、対策をリードすることで、組織全体のセキュリティ対策が進むのです。

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