見える化の使い方一つで見えなかった「未来」を引き寄せる!

「見える化」という言葉の意味は、問題・課題を見えるようにして情報をメンバーで共有し、なるべく早く解決につなげるための取り組みや仕組みのことです。

作業プロセスについての共有だったり、情報を視覚化したり、数値のデータ化などあらゆる取り組みについて使われ、製造・営業・経営・医療などの業界を問わず使用される言葉です。

最近ではニュースでも「見える化」という言葉が使われます。言葉の響きはそのままの意味に聞こえる言葉ですが、定義や意味までしっかりと知っている人はそこまで多くないようです。

そこで、今回の記事では「見える化」という言葉がどのように使われ始め、今ではどのように使われているのか探っていきましょう。

見える化の使い方はトヨタが発祥

「カンバン」に「アンドン」と言われてパッとイメージが湧く人はかなりの専門家です。この2つの言葉は、トヨタ自動車が、企業理念でもある業務改善をするためのツールとして開発したあるものに付けられたものです。

その一つ「カンバン」は、トヨタを代表する生産理念、JIT(ジャスト・イン・タイム)、『必要なものを必要な時に必要なだけ調達』することを可能にするシステムのことです。

不要在庫を発生させないというトヨタのこのシステムは、「カンバン」というツールに必要な物と必要な数量を入れると、担当者や納入業者に目で見て分かる情報が流れる仕組みになっています。

一方「アンドン」は、生産ラインでトラブルが発生した時に、ボタンを押すと点滅するランプのことです。このランプが点灯するとそこにいる皆がその異常に気づくことができます。

これらが問題を見える化させた、トヨタが世界に誇る見える化の原点です。

見える化の正しい使い方は?可視化?それとも見える化?

見える化はその響きからイメージすると、見えなかったものを見えるようにするという意味に聞こえますが、実は同じように使われる「可視化」とは、そもそも言葉が持つ意味が違うのです。その違いを見てみましょう。

「可視化」とは、本来目で見えないはずのものを、目で見て分かる状態にすることです。従業員のやる気や、顧客のニーズなど形がないものは目で見ることが出来ません。

しかし、商品の販売数を定期的に記録しておけば、商品の販売数が目で見てわかる状態となります。 

このデータから顧客のニーズを確認する事ができるため、ニーズが”可視化”された状態と表されます。

このように、本来見えないものを必要な時に見ることができる形(情報)にする事を、可視化と言います。

一方で「見える化」は、例えば先程のカンバンのように、「在庫がこれ以上増えた場合は、生産を一時停止する。そのために在庫状況を常に確認できる状態にしておく」というような目的を伴います。

「可視化」も「見える化」も本来見えない物を見える状態にしておくという点では同じですが、「すぐに目で確認できる状態にする」という可視化と、「常に見えている状態にしておく」という見える化では本来の目的が異なるのです。

見える化の使い方改革。内閣府がサイトで見える化した内容は?

見える化という言葉は、使われかたによって様々な意味に変化します。数値をデータに置き換えるのも見える化ですし、可視化と似たようなニュアンスでも使用されます。

見えなかったものを見えるようにしていく取り組み全般を、現在では「見える化」と呼ぶようになっています。そんな中、政府機関もその用語のわかりやすさ、伝わりやすさに着目して、以下のようなサイトを立ち上げました。

2014年(平成26)に内閣府男女共同参画局のウェブサイトとして、「女性の活躍『見える化』サイト」が登場しました。このサイトでは女性の管理職や役員が活躍している企業情報が提供されています。

今後の一億総活躍社会に向け、企業における女性の活躍を推進して行くことを目的として各企業の現状を投資家や消費者、就活中の学生などに「見える」形にしています。さらに、企業の自主的な取り組みが他の企業にも波及していくことを目指して作られています。

このように、工場の現場で産声を上げた「見える化」という言葉も、政府機関までもが意識して使うほどキャッチーな言葉へと昇華したという一例です。

見える化の効果を「見える化」しましょう!

そんな見える化ですが、実際に業務に使うのと使わないのではどれほどの差が生まれるのでしょうか。

見える化の本来の目的は、問題を見える化して早期の問題解決を図り、ひいては業務改善に繋げていくというのがその役割です。ではどのように実際に導き出された成果を見える化したら良いのでしょうか。

見える化を社内に導入した際には、すぐに実行に移してどれだけの効果があったかを測定し、担当者同士で共有することが大切です。現在では効果を測定・レポートするためのツールも開発されています。

最初は大掛かりなものではなく、会議を減らして時間を見える化していくなど、始めやすい取り組みから徐々に始めるとよいでしょう。

こうして労力をかけて得られた結果を皆で共有して効果を体感すると、従業員もどんどんと主体的に改革に取り組むようになります。そのために効果を見える化して積極的に共有しましょう。従業員の業務改善への意識を高めるという効果が、見える化のいちばん大事な部分なのです。

見える化を正しく使ってビジネスの未来を「見える化」する!

ここまで色々な切り口から見える化を見てきました。様々な言葉の利用のされ方をしてますが、本当の目的はやはり、業務の改善、そして社員に一人一人にそれに取り組む意識を持たせることではないでしょうか。

また、明確なビジョンを持って取り組めば、「業務」の見える化ではなく「企業の未来」の見える化につながっていくはずです。

計画性無く、一つ一つの業務の効率化や最適化を図るのはもう時代遅れかも知れません。従業員に改善点をしっかりと意識させ、改善に繋げることができるのも「見える化」のメリットです。

業務を見える化をすることで、現状認識の共有を行うことが出来ます。また、見えることにより、気付きを得られやすくなるのです。今まで見えなかった未来を引き寄せるために、まずは業務の見える化による現状把握から始めてみることが重要なのではないでしょうか。

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