ヘルプデスクのチャットボット導入のメリット・デメリット

ヘルプデスクとは、社内や企業のIT環境を総合的にサポートしている部門です。その業務内容は、パソコンやネットワーク環境など広範囲にわたり、さらに昨今の急速なIT環境の進化にともなってどんどん複雑になってきています。

企業のヘルプデスクは、顧客からの商品の問い合わせやクレーム対応が主な業務です。社内ヘルプデスクは、社員のITサポートを行っています。ITサポートの主な内容は、パソコンや周辺機器に関する問い合わせ対応です。

例えば、「パソコンが起動しない」「アプリの使い方がわからない」と社員からの問い合わせを、解決までをサポートします。その他にも、各種IDの管理、パソコンや周辺機器・アプリやソフトウェアの管理等も社内ヘルプデスクが担っている企業もあります。

企業のIT化が進むにつれて、ヘルプデスク業務がどんどん複雑化してしまい対応に追いつかない企業も増えてきています。今、その状況を改善するために、多くの企業が、IT技術を活用した業務改善を進めています。
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ヘルプデスクの業務改善に、チャットボットを導入してみませんか?この記事では、ヘルプデスクでのボットの活用例や、そのメリットなどについて解説していきます。

ヘルプデスクのチャットボット導入メリット

ヘルプデスクにチャットボットを導入すると、問い合わせする従業員もヘルプデスク担当者もどちらにもメリットがあります。メリットは下記の通りです。

ヘルプデスク担当者のメリット

メリット1)属人化からの脱却

ヘルプデスク業務の悩みで多いのが、属人化です。ヘルプデスク業務は、対応範囲が幅広く業務内容は多岐に渡ります。担当者は、どんな問い合わせにも対応するため、幅広い業務内容の知識を習得し、アップデートしていかなければなりません。しかし、知識の習得には個人差があり、対応できる範囲が担当者によって異なってしまいます。その結果、難しい質問が属人化され、対応に遅れが出てきてしまうのです。チャットボットの導入は、FAQの整備から始まります。FAQの整備により知識がデータ化され、属人化から脱却できます。

メリット2)問い合わせに対応する時間を削減できる

最初の対応をチャットボットに委ねることができるため、「PCが動かない」「テレビ会議のつなぎ方を教えて欲しい」など、よくある簡単な問い合わせはその場ですぐに解決することが出来ます。チャットボットで対応出来なかった問い合わせのみを担当者が解決することになるため、ヘルプデスク対応にかかる時間を削減できます。

メリット3)深夜や休日対応がなくなる

チャットボットLINE WORKSやMicrosoft Teamsなどのチャットツールを導入している場合は、チャットボットを追加することができます。いつも使っているチャットツールから質問できるため、利用率が高くなるほか、有人のチャット対応にも切り替えやすくなります。(2021年12月現在)

社員や顧客のメリット

メリット1)いつでも気軽に問い合わせできる

「平日夜や休日に電話しても担当者がいないため、すぐに回答が得られない」ということがなくなります。365日24時間対応が可能なため、深夜残業や早朝勤務などヘルプデスク担当者が出社していない時間帯でも大丈夫です。社内ヘルプデスクの問い合わせの中には、「PCが繋がらない」「プリンターが動かない」などすぐに対応しないと業務が滞ってしまう内容が多いため、スピーディば対応が求められます。

メリット2)口頭での対応よりもわかりやすい

回答がテキストで残るだけでなく、既存のマニュアルや説明書にリンクできるため、電話を通じて口頭で回答を聞くよりも理解しやすくなります。また、「同じ質問を何度も聞くことが恥ずかしい」「いつも同じ担当者ばかり」などの人対人の悩みは解消され、気軽な気持ちで問い合わせできるようになります。

メリット3)探す時間が短縮できる

マニュアルが点在していると、探すだけでも一苦労です。チャットボットなら見たい文書を検索するだけで、ダイレクトに参照することが出来ます。

ヘルプデスクのチャットボット導入のデメリット

メリットがたくさんある一方で、チャットボット導入にはデメリットももちろんあります。デメリットをマイナスととらえず。よく理解しておくことで、チャットボットの導入効果を最大化できます。

デメリット1)回答の精度を上げるまでに時間がかかる

社内ヘルプデスクの場合、担当者が本来の業務とは別に片手間に対応するケースも多く、今までの問い合わせ履歴やFAQがないことも珍しくありません。

その場合は、まず今まで行ってきたメールでの問い合わせ対応などを参考にして、FAQを作っていく必要があります。また運用後もシナリオの追加や、カタカナやアルファベットなど言葉の揺らぎ、AIの間違った判断について正解データを投入などの、メンテナンスが発生します。

このような作業を継続して行っていくことで、回答の精度が上がっていきますが、時間がかかってしまいます。

デメリット2)完全な自動化が難しい

チャットボットは過去のデータをもとに回答するため、新たなシステムについての問い合わせや、複雑な問題を抱えた問い合わせの場合は、回答できない場合があります。

そのため、有人対応を完全になくすことは難しいと考えたほうがよいでしょう。完全なヘルプデスク業務の無人化は難しいのです。

ヘルプデスク業務に最適なチャットボットツールを選ぶ際のポイント

何が何でもチャットボットが便利なわけではなく、実は利用用途によってはチャットボットが適さないケースも存在するのです。それは、想定されるFAQ数によって適切なシステムが異なるからです。FAQ数が多く、広い範囲で対応したい場合は適切なシステムが変わります。FAQ数ごとにどのようなシステムが最適なのかをご紹介します。

登録するFAQが50件程度の場合

シンプルなサービスの問い合わせ対応で用いる場合などが該当します。社員や顧客から寄せられる質問のパターンが多くないため、AIなしのチャットボットで十分対応出来ます。

登録するFAQが50~300件程度の場合

サービスに対して顧客からの問い合わせが幅広い場合や、企業内の社員からの問い合わせに対応する場合などが該当します。ある程度内容が幅広く、人によって聞き方も異なるので、AI搭載のチャットボットが最も効果を発揮します。

登録するFAQが300件以上の場合

サービスに関する問い合わせの種類が多い、社内の複数部署の問い合わせを扱う、コールセンターのオペレーター向けに使いたいなどの場合は、AIチャットボットよりも「AI搭載のFAQシステム」がおすすめします。

なぜなら、チャットボットは会話型のデザインをしていますが、これは問題解決の最適な手段ではないからなのです。会話型にすることでFAQサイトに比べて画面に表示できる情報量が少なくなるため、多くの質問の中から回答を見つける場合は、FAQシステムの方が解決率は高まる傾向にあります。

チャットボットとFAQサイトの使用の境界線は、

・類似度が高くない少ないFAQの中から簡潔に回答したいのか
・多くのFAQからピンポイントに見つけてしっかり回答したいのか

になるため、しっかり検討して選びましょう。

チャットボットでヘルプデスク業務を効率化しましょう

社内・社外ヘルプデスクも、人件費を削減しサービス向上するにはチャットボット導入が有効です。しかし、実際に導入するには時間がかかります。チャットボット利用経験者の8割が利用時にストレスを感じたことがあるというデータもあるように、現時点のチャットボットの技術では簡単には精度が上がりません。しかし、チャットボットは今後も進化を続け、業務の効率化に新たな可能性を開いてくれるはずです。

導入や運用の作業負荷が心配…という企業は、チャットボット導入の他に社内ヘルプデスクのアウトソースも検討してみてはいかがでしょうか。まずは外部の情報を活用してしっかりとFAQを構築し、将来的に蓄積したデータをもとにチャットボットへ移行する方法も考えられます。

そのため、導入前後のサポートが充実しているかどうかは、きちんと検討したほうが良いでしょう。

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