ヘルプデスクの効率化を実現するための6つのポイント

「テレビ会議に繋がらない」「作成した書類の印刷ができない」など、PCの使い方などに関する社員からの問い合わせに対応するヘルプデスクは、IT利用を円滑に進める上で欠かせない業務となっています。

ただ、企業のIT化が進むにつれてその業務量が増えており、IT部門などが本来の業務に加えて問い合わせに応対することが多いため、大きな負荷になっていることが珍しくありません。

IT利用におけるヘルプデスク業務だけでなく、総務や庶務関係の問い合わせにも対応している企業が多いのが実情です。「出張申請書のフォーマットがほしい」や「宅配便の送り状が保管されている場所を教えて」など、さまざまな問い合わせが会社中から寄せられます。

その数が増えれば、緊急を要するITに関するヘルプデスク業務に支障が出ることになります。

この記事では、このようなヘルプデスク業務の負担を解消し、効率化するための方法を紹介します。

ヘルプデスクの3つの問題点

業務過多でパンク寸前のヘルプデスク業務の3つの問題点を解説していきます。

問題点1:対応状況が見えず、仕事が属人化してしまう

社員からの「これが欲しい」「パソコンが壊れた」などの幅広い相談は、ヘルプデスクの担当者に直接連絡をもらって対応している企業が多いのが実情です。

そのため、業務が属人化してしまい、担当者以外は対応できなくなってしまい、上司は部下の負担がわからなくなってしまいます。日々の対応に追われてしまって、対応履歴が共有されていない企業が多いのです。

問題点2:対応範囲の不明確さ

ネットの接続確認やPCの設定などに加えて、総務関係の質問など、業務範囲外の質問に対応しなければいけない場合があり、対応範囲が不明確なのが大きな課題の1つになっていることが多いです。

ヘルプデスクの業務範囲が不明確であると、社内で「なんでも屋」として認識されてしまうため、専門外の問い合わせにも対応しなければならないことも多くあります。

問題点3:人材育成が難しい

社員のITリテラシー(ITを使いこなせる能力)や理解度が個々に異なるため、部署内でのヘルプデスクの教育や引き継ぎが大変な企業が多いのではないでしょうか。

さらに、ヘルプデスクは「どのように説明したら一番分かりやすく伝わるか」「問い合わせ相手が何を求めているのか」といった考えが瞬時に浮かぶような対応スキルが求められるため、経験的要素が重要になります。

実際に対応していく中でスキルを習得することが多い業務なので、ヘルプデスクの人材の育成には時間を要する可能性が高く難しいのです。

ヘルプデスクの効率化を実現するための6つのポイント

ヘルプデスクの業務を効率化するためには、さまざまなポイントを意識する必要があります。ヘルプデスクにはたくさんの問題点・課題があるものの、工夫次第でスムーズに業務を進められるようになります。ここでは、効率化のために意識したい具体的なポイントを徹底解説します

1. ヘルプデスクの体制を整える(属人化しない)

問い合わせ対応を個人ではなく、複数人で担当する体制を整備する必要があります。

例えば、ヘルプデスクとしての役割・スキルを再定義した「統合ヘルプデスク」を構築することで、PDCA(計画、実行、評価、改善のサイクル)を効率的に回せるなどの効果が期待できます。

統合ヘルプデスクの役割は、問い合わせがあったときにどの担当者が解決するか振り分けするという内容です。

統合ヘルプデスクを専門のヘルプデスクの前に設けることで、複数の問い合わせ窓口がそれぞれ独立運用してユーザーがたらい回しになっている事態や、繁忙期の問い合わせ量に対応しきれないなどの課題を改善することができます。

そのためには、各社員の対応状況や進捗状況を可視化出来るようにすることが重要です。

2. 問合せ業務の対応範囲を明確化する

問い合わせ業務について、ヘルプデスクが対応する範囲を明確に定めることが大切です。どのような問い合わせにもすべて対応していると、「何でも屋」になってしまうため、ヘルプデスクの担当者の負担が大きくなります。

対応できる範囲を明確化することで、ヘルプデスクで対応できない内容も明らかにできます。業務を標準化し、ヘルプデスクとして一律の対応を実現することで、問い合わせの対応時間を削減し、1人当たりにおける業務の時間が短くすることが出来ます。

3. 知識やノウハウを共有しマニュアル化する仕組みを構築する

ヘルプデスク業務には、知識やノウハウのマニュアル化も重要です。マニュアル化すれば、それぞれの社員が自力で問題解決のための情報を検索できます。

「PCがフリーズした」「プリンターと接続できない」など、簡単な質問はマニュアルで解決できるため、ヘルプデスクへの問い合わせ数も減らせる可能性が高いのです。

また、それぞれの社員が業務経験において培ってきた知識やノウハウを共有できるため、社内全体の生産性向上にも役立ちます。社員がスムーズに閲覧できるマニュアルを作ってみるのも有効です。

4. 社内FAQを公開し、自力解決を促す

役立つ情報やよくある質問は、まとめてマニュアルを作成し、社内FAQとして公開することがおすすめです。簡単な質問であれば、社内FAQを開くだけですぐに解決できるようになります。

社内FAQは、キーワード検索を導入したり、イラスト・図や動画での解説を掲載したりすることで、社員にとって分かりやすい設計にする必要があります。分かりやすい社内FAQが完成すると、社員が知りたい情報を効率的に探せるため、社内ヘルプデスクへ問い合わせなくても解決しやすくなります。

また、社内の状況は日々変化するため、社内FAQは定期的な見直しが必要不可欠です。実際の状況を考慮し、適宜変更を加えることが、成功の秘訣です。

5. チャットボットの導入を検討する

さらに効率化を目指すためには、専用のシステムの導入も検討しましょう。チャットボットは、社内FAQで解決策を探しきれなかった社員に役立つツールで、FAQと同様にヘルプデスクの業務負担を大幅に削減できます。

チャットポットとは、LINEのようなチャット機能を利用した問い合わせ自動回答ツールです。ユーザーが求める情報に辿り着くまでのサポートをしてくれる機能になります。

担当者が対応するわけではないことから、早朝や深夜でも各社員がすぐに疑問を解決できるため、残業や休日出勤で対応することが極端に減ることになります。

6. ヘルプデスクツールの導入を検討する

効率化のためにヘルプデスクツールを導入する企業が増えています。ヘルプデスクツールの基本的な機能である問い合わせ管理ツールとは、メール、電話、対面など問い合わせ方法に問わず、問い合わせ内容や回答状況を一元管理することができるツールです。

問い合わせ管理システムに蓄積されている過去の問い合わせ履歴も表示することができるなど、ヘルプデスクとして業務の効率化に役立つ便利な機能が揃っている便利なシステムです。

ヘルプデスクツールを導入することで、業務の属人化を防止することや、対応漏れ、ミスを防ぐことが期待できます。

注目されているAIチャットボットとは?

チャット自体は、『LINE』のように文字をリアルタイムでやり取りできる仕組みで、ボットとは、同じ処理をプログラムで自動化することを意味します。

さきほど紹介したチャットボットは、ユーザー(社員)側からの質問に対し、あらかじめ予測したパターンを仕込んでおいたプログラムによって回答が導き出される仕組みです。そのため、プログラムされていない質問に対して返答することが困難なことが弱点でした。

今注目されている「AIチャットボット」は、「AI(=人工知能)」を搭載したチャットボットです。2016年3月、AI囲碁プログラム『AlphaGo(アルファ碁)』が、世界戦で18回も優勝経験のあるトップ棋士を相手に4勝1敗と勝利したことは当時、世界的な話題となりました。

このプログラムに採用されたのが「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術で、これをきっかけに最近のAIチャットボットにも、同様の技術が使われるようになりました。

この技術を生かして、どのような質問に対しても、話し手の言葉を理解した上で回答するため、チャットボットの課題であった“自然な対話”が提供できるようになったのです。

今後、「AIチャットボット」は、業務効率化の実現や商品・サービスの売上向上を目的としたさらなる活用が期待されています。

まずはヘルプデスクの課題を洗い出してみましょう

企業によっては、ヘルプデスク担当者の育成に力を入れたり、アウトソーシングを行ったりして対策しているケースもあります。

それもひとつの方法ではありますが、社内ヘルプデスクの負担を減らすには根本的な対策も必要です。この記事で解説した効率化を実現するポイントである、体制を見直したり社内FAQやチャットボットなどのシステムを導入したりするなどです。

ビジネスへのIT導入は今後も加速し、AIなどの最新技術による業務効率化もより一般的になると考えられます。そのような状況も考慮しつつ、積極的に効率化を目指しましょう。

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