ヘルプデスクにAIを導入する3つのメリット

PC設定をはじめとする「社員のお困りごと」に答える社内ヘルプデスクと、商品の説明など「顧客対応の窓口」として問い合わせに対応する社外ヘルプデスク。情報システム部門だけでなく、経理、人事などのバックオフィス部門で、業務を滞りなく進めるのに不可欠な業務となっています。

近年、企業のIT化に伴い、ヘルプデスク業務だけでなく、システム運用やメンテナンス、セキュリティ対策など行うべき業務は山積みな企業が多いのではないでしょうか。ITの人材確保が難しく多くのリソースを割けない企業ではより深刻な問題となってきています。

そして今日、IT業界ではAIという言葉が出てこない日はありません。生体顔認証はもちろんのこと、将棋や囲碁も既に人はAIに勝てなくなってきていることは、よくニュースにもなっています。

未来のモノというイメージだったAIは、もう私たちの身近まできています。デジタルテクノロジーであるAIを用いた業務改革は、営業部門や製造部門などがフォーカスされがちですが、経理や人事などのバックオフィス部門の重要性も認識されつつあります。

「カスタマーサポートの業務負担を減らしたい」「顧客との信頼関係を改善したい」「問い合わせを少しでも増やしたい」など。これらは、ビジネスにおける課題であり、共通性がないように見えますが、全てはAIチャットボット導入によって解決できるものです。

この記事では、今注目のヘルプデスクのAI化について徹底解説します。

今、注目のAIチャットボットとは?

AIチャットボットは、文字通り「AI(=人工知能)」を搭載したチャットボットです。2016年3月、AI囲碁プログラム『AlphaGo(アルファ碁)』が、世界戦で18回も優勝経験のあるトップ棋士を相手に4勝1敗と勝利したことは当時、世界的な話題となりました。このプログラムに採用されたのが「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術で、これをきっかけに最近のAIチャットボットにも、同様の技術が使われるようになりました。

この技術を生かして、どのような質問に対しても、話し手の言葉を理解した上で回答するため、チャットボットの課題であった“自然な対話”が提供できるようになったのです。少し前までの、機械的な対応、不自然な会話はかなり軽減されました。

企業側は、AIチャットボットを活用し、商品・サービスに関するFAQを24時間自動で応答できたり、電話やメールに頼らない商品・サービスの見積もりの提供、ECサイトでの商品購入サポートなど、様々な形の価値を提供できるようになったのです。

2018年、株式会社矢野経済研究所が調査した結果、国内の対話型AIシステム市場は今後5年で10倍以上の規模に拡大する見通しと発表し、話題となりました。2022年の同市場規模は、132億円になると予測されており、大企業が続々と導入を始めています。

チャットボットとAIチャットボットの違いとは?

従来のチャットボットは、社員や顧客側からの質問に対し、あらかじめ想定していたパターンを仕込んでおいたプログラムによって回答が導き出されたため、プログラムされていないイレギュラーな質問に対して返答することが困難という弱点があります。

歴史はとても古く、1966年にコンピュータ開発者によって発表されてから始まりました。当時のものよりかは、かなり進化はしていますが、会話を機械的に処理して回答するため、会話の継続や共感し合える対話の実現には限界があります。

ユーザーは、「回答が的確ではない」「会話が機械的で不自然」「会話が途切れる・続かない」「無理のあるおすすめ(提案)をされた」など、人間同士のような対話を実現することが難しく、機械的な対応に不満を感じていました。

このような機械的な対応についての課題を解決してくれるのが、「AIチャットボット」です。

人と話しているような自然な対話ができ、AI技術(ディープラーニング)を調整して、より回答の精度向上することが出来るのです。また、従来のチャットボットの弱点であった、未設定の発話や特定のテーマ外の雑談にも対応が可能となっています。人間のように、学習能力も搭載されているので、使えば使うほど、回答の精度が高まるのです。

AIチャットボットを導入する3つのメリット

AIチャットボット導入するメリットを3つご紹介します。

1. ヘルプデスクの負荷を軽減することが可能

これまでは、社員から寄せられるすべての質問にヘルプデスク担当者(オペレーター)がひとつひとつ対応していく必要がありました。しかし、AIを活用したチャットボットを導入すれば、よくある比較的簡単なお問い合わせなどの一次対応を、すべてチャットボットに任せることができるようになります。

もちろん、チャットボットだけですべての問い合わせに対応することはできませんが、頻繁に社員から寄せられる質問に関しては、チャットボットに学習させておくことで自動回答が可能になるわけです。

そうすると、限られた担当者の人員を重要度の高い、チャットボットが回答できない複雑なお問い合わせに時間を割けるようになり、結果的に社員・顧客満足度の向上にもつながります。

そして、これまでオペレーターが抱えていた「同じ質問の繰り返しによって他の業務に手が回らない」といった課題をクリア出来ることになります。さらにチャットボットは24時間365日稼動出来るため、休日や夜勤に出社して対応する機会が格段に減ることになるでしょう。

「ヘルプデスクの対応時間が過ぎている…」「電話が面倒で苦手」「メールでの返答待ち時間を減らしたい」などの要望を持つ社員や顧客が気軽に問い合わせ出来ることで、満足度を上げることが出来、更にヘルプデスクの負荷も軽減することが可能なのです。

2. 発生したトラブルの統計を取り、社内マーケティングに活かすことが可能

社内ヘルプデスクの主な役割は、問い合わせに対応することがメインとなりがちですが、実は大きなトラブルを未然に回避することが重要なのです。そこで、AIチャットボットを導入すれば、トラブルを未然に回避するためのデータ収集を行うことも可能が可能になります。

例えば、「○部署からの問い合わせで特に多い質問は何か」「その問い合わせは解決できたのか」「チャットボットでは解決できず、オペレーターが対応したのか」といった情報をデータとして蓄積していくことで、問題の発生状況を、より俯瞰的に眺めて解析することが出来ます。

また、人によっては、ヘルプデスクのオペレーターに質問することが苦手で気を遣ってしまう人もいます。そのような場合でも、AIチャットボットを設置しておけば、人に相談しにくい些細な疑問などを時間を気にすることなく、気軽に質問することができるようになり、更にデータを蓄積出来るのです。

3. 24時間365日対応が可能

社員や顧客が、「今すぐ知りたい!」という要望に応えてくれるのが、AIチャットボットの24時間365日対応です。社員や顧客の疑問・質問に回答する機会を逃さず、AIチャットボットが、スピード感を持ちながら、しっかり対応することで、企業のイメージ向上につなげます。AIならではの、今までのデータを活用した回答や紹介を行うことが可能なのです。

また最近では、IoT技術との連携が可能なAIも増えてきており、その連携によって監視体制を強化させ、24時間体制で監視を任せることも可能になるため、従業員の負担軽減につなげられるでしょう。

例えば、社内において特に重要な機材にセンサーを組み込むことにより、機材の動作に不具合がみられた場合などにAIがいち早く知らせてくれるようになります。これまでのように、人が機材の状態を24時間有人で監視する必要がなくなるのです。

AIチャットボットの導入の進め方

社内でAIチャットボットを導入することが決まったら、どのように進めていくのでしょうか。まずは、流れを頭に入れて、しっかりイメージトレーニングしておきましょう。

1. ナレッジ(知識)の共有

既存のヘルプデスクのナレッジ(知識)を各担当者で整理し、FAQ 形式となるデータを作成します。このFAQを基本としてAIが学習していくため、しっかりと作り込むことが重要です。

2. データの投入

その1で作成したデータ化したFAQ を、AI に学習させます。初期段階では、回答精度は低いので注意が必要です。

3. 導入開始

AIにデータを投入したら導入します。実際に、利用することで学習を行い、精度が向上するのです。回答結果が参考になったか否かで、AI が学習していきます。

4. ナレッジ(知識)の更新

新たに発生した事象については、追加で学習を行うことで、継続して精度の向上を実施していきます。

ヘルプデスク業務のAI化でサービス向上を目指しましょう

いかがでしたでしょうか?未来のモノだと思っていたAIは、今日では私たちの身近なモノとなっていて、ビジネスで十分に活用出来るところまできているのです。

国内におけるAIチャットボットの市場規模が年々増加しており、2022年には132億円まで拡大すると予測されています。業務効率化が叫ばれる昨今、ぜひ導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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