見える化で組織を変える そのメリットと具体策

ビジネスの現場では毎日膨大なデータと情報が生成されています。これらは重要な意思決定や戦略策定の基盤となりますが、一方でその管理や活用は容易なものではありません。ここで役立つのが「見える化」のアプローチです。

見える化とは、データやプロセス、成果などを明確かつ理解しやすい形で表現し、共有することを指します。これにより、組織全体での意思疎通が容易になり、迅速かつ適切な意思決定を促進します。
そして、デジタルトランスフォーメーションの波が広がる中、「見える化」は企業が情報を効果的に管理し、利活用するための重要な手段となっています。

この記事では、見える化がもたらすメリットと、その具体的な活用方法について詳しく解説します。見える化が企業の競争力向上や生産性向上にどのように貢献するのか、具体的な実例と共にご紹介します。

見える化とは?

「見える化」とは、通常、データや情報、プロセス、成果などを視覚的な形にすることを指します。この目的は、抽象的な情報や複雑なプロセスを理解しやすく、明確にすることです。その結果、それらの情報がより直感的に理解でき、使いやすくなります。業務や組織内のさまざまな要素を可視化し、全員が同じ情報に基づいて議論や判断ができる状態をつくることが重要です。

以下に、見える化の主な用途と方法についてご説明します。

データの見える化

データの見える化とは、情報をグラフ、チャート、マップなどに変換することで、データ内のパターンやトレンドを明らかにします。
例えば、売上データを時間による折れ線グラフにすることで、売上の変動やトレンドが一目で理解できます。

プロセスの見える化

プロセスの見える化とは、業務手順やワークフローを図解化することで、その手順の理解を深め、無駄や効率性の問題を明らかにします。
例えば、製品の製造工程をフローチャートで描くことで、各工程の役割と、全体の流れが明確になります。

成果の見える化

成果の見える化とは、達成した目標や結果を視覚的に表示することで、その成果を明確にし、モチベーションを高めます。例えば、売上目標と実績をバーのグラフにすることで、目標達成の進捗が分かりやすくなります。

見える化は、情報の理解を助け、意思決定を促進し、組織のコミュニケーションを向上させる強力なツールなのです。

見える化がもたらすメリットとは?

見える化がもたらす主なメリットは以下の通りです。

⒈データに基づく意思決定の推進

データを見える化することで、関連性やパターン、トレンドが明確になり、結果としてより効果的な意思決定を行うことができます。視覚的に整理された情報は、読み取りや理解が容易であるため、直感的な理解を促し、より早くかつ正確な決定を下すことが可能になります。

⒉コミュニケーションの改善

データやプロセスの見える化は、組織内のコミュニケーションを助けます。それぞれの部署や個人が行っている作業やプロジェクトの進行状況、またはデータといった情報が共有されることで、全体の理解と協調性が向上します。さらに、共有の認識を形成することで、間違いや誤解を減らすことができます。

⒊プロセス改善の機会を提供

ビジネスのプロセスを見える化することで、無駄や非効率性が明確になり、それらを改善するための機会を提供します。流れ図やフローチャートを使用してプロセスを視覚化すると、どこに時間がかかっているのか、どの部分が複雑すぎるのか、またはどこにボトルネックが存在するのかがはっきりとわかります。

⒋パフォーマンスの向上

 個人やチームのパフォーマンスを見える化することで、具体的な目標設定や進捗確認が可能となり、結果としてパフォーマンスの向上を促します。また、進捗が可視化されることで、モチベーションの向上や、目標達成の喜びを共有することができます。

これらのメリットは、企業の生産性向上、業績の改善、組織のエンゲージメントの向上に大いに貢献します。

見える化における3つの注意点と対策

「見える化」には数多くのメリットがありますが、その効果を最大限に引き出すためには、以下の注意点と対策を理解することが重要です。ぜひ参考にしてみて下さい。

⒈適切な情報の選択と表示方法

全てのデータを見える化しようとすると、情報過多となり、必要な情報が見えにくくなる可能性があります。見える化するべき情報は、その目的やタスクに直結したものを選びましょう。また、情報をどのように表示するかも重要です。適切なグラフやチャートを選び、色彩や大きさなども考慮することで、情報の理解を助けます。

⒉データの更新と整合性の維持

見える化した情報は常に最新であることが求められます。古い情報や不正確な情報をもとに判断すると、誤った結論につながる可能性があります。データの更新と整合性の保持に努め、自動化や定期的なレビューなどを行うことが重要です。

⒊個人情報保護とセキュリティ対策

データの見える化は、個人情報保護法や企業のセキュリティポリシーを遵守することが必要です。顧客データや従業員の個人情報を扱う場合、プライバシーを尊重し、データを適切に管理する必要があります。また、データの不正アクセスや漏洩を防ぐためのセキュリティ対策も重要です。

これらの注意点を理解し対策を講じることで、「見える化」は組織にとって強力なツールとなるでしょう。

見える化の実践的な例とその効果とは?

「見える化」の効果を具体的に理解するために、以下に実践的な例をいくつかご紹介します。

製品開発プロセスの見える化

製品開発プロセスは、複数のステップとチームから成り立つため、一般的には複雑と言われています。プロジェクト管理ツール(例:Trello、JIRAなど)を使用して、各タスクとその進行状況を見える化することで、全体像が明確になります。これにより、プロジェクトの全体の進捗、各チームの進行状況、未解決の問題点などを容易に把握でき、より効果的なプロジェクト管理とリソース配分が可能になりました。

売上データの見える化

営業やマーケティングの分野では、売上データを見える化することが一般的です。これにより、時系列に沿った売上のトレンド、地域別の売上、商品別の売上などを明確に把握することができます。特にダッシュボードを使用することで、これらの情報を一目で確認することが可能になり、迅速な意思決定や戦略策定を行うことができます。

社員のパフォーマンスの見える化

社員のパフォーマンスを見える化することで、それぞれの社員がどの程度の成果を出しているのか、どのタスクに時間がかかっているのかなどを明確にすることが可能です。これは、パフォーマンスの評価やフィードバック、教育・訓練の計画などに有用な情報を提供します。さらに、個々の社員が自分自身のパフォーマンスを理解するための手段ともなります。

製造プロセスの見える化

製造業においては、各製造プロセスのステータスや品質管理データを見える化することが重要です。例えば、リアルタイムで生産ラインのステータスをモニタリングし、ダッシュボード上に表示することで、問題が発生した場合に迅速に対応できます。また、不良品の発生パターンを見える化することで、その原因を特定し、改善策を導入するための情報を得ることができます。

顧客サービスの見える化

カスタマーサポートやサービス業では、顧客からの問い合わせやクレームのステータス、処理時間、満足度などを見える化します。これにより、問題の傾向やパターンを明らかにし、サービス改善のための具体的なアクションを計画できます。また、サービスパーソナルのパフォーマンスを見える化することで、教育やトレーニングのニーズを特定することができます。

これらの例は、見える化がどのようにデータを活用し、組織の業績を改善するのかを示しています。上記の例からもわかるように、見える化は各部門や業務の特性に合わせてカスタマイズ可能であり、データを活用して業務効率を向上させるための強力な手段となるのです。

パフォーマンス向上する見える化におすすめなITツール3選

ITツールの中でもコロナ禍以降に導入する企業が急増しているビジネスチャットツールも、チームのコミュニケーションを助け、タスクの進捗や情報の流れを「見える化」するために有用です。おすすめのツール3つを紹介します。

⒈ビジネスチャットのパイオニア「Slack」

出典:Slack

Slack Technologies, Incが提供する「Slack」は、日本はもちろん、世界的にも広く認知されているビジネスチャットのパイオニアです。リアルタイムでコミュニケーションを行うためのツールで、メッセージのやりとり、ファイルの共有、ビデオ通話などが可能です。また、チャンネルと呼ばれる話題別のグループを作成できるため、情報の整理と共有がしやすいです。

さらに、他のビジネスツール(例えば、Google DriveやTrello)との連携も容易で、情報の一元管理に役立ちます。

Slackサービスサイト :  https://slack.com/intl/ja-jp/

⒉最大1万人が参加できるイベントの中継も可能「Microsoft Teams」

出典:Microsoft Teams

Microsoft Corporationが提供する「Microsoft Teams」は、Teams はチャットだけのツールではなく、Office 365 のサービス各種と連携する機能を持っており、業務に必要なあらゆるリソースと繋がったチャットツールです。ビデオ会議、ファイル共有、スケジュール管理など、多機能を一つにまとめたコミュニケーションプラットフォームです。

特に、同じMicrosoft製品を使用している組織にとっては、他のアプリケーションとの連携がスムーズで便利です。

Microsoft Teamsサービスサイト : https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software

⒊仕事を完遂させるオールインワン・コラボレーションツール「Tocaro」

出典:Tocaro

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が提供する「Tocaro(トカロ)」は、組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的として自社開発したビジネスチャットツールです。

仕事に必要なあらゆる情報を、簡単かつ安全に共有するための様々な機能が満載で、業務の依頼や仕様変更など重要な連絡を見える化して、業務の抜け漏れや遅れを防ぎます。

Tocaroサービスサイト:https://tocaro.im/

これらのツールは、適切に使用すれば、チーム間のコミュニケーションをスムーズにし、情報の透明性を向上させるための重要な役割を果たします。

データとプロセスの見える化が組織改革への一歩に

見える化は、データに基づいた意思決定、コミュニケーションの改善、プロセスの改善、パフォーマンスの向上といった多くのメリットをもたらします。しかし、その実施に当たっては、適切な情報の選択やデータの管理、セキュリティ対策に注意を払う必要があります。

これから見える化の取り組みを始める企業は、まずは自社の課題を明確にし、それに対する解決策として見える化がどのように役立つかを考えるところから始めてみてください。

既に見える化の取り組みを行っている企業も、その効果を最大限に引き出すために、見える化の方法やツールの改善、情報の選択と表示方法の見直しなどを行うことをお勧めします。

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