ヘルプデスクの効率化は、注目の「チャットボット」におまかせ

社内や顧客からのあらゆる分野の問い合わせに対応するヘルプデスク業務。問い合わせの内容は社員や顧客によってさまざまであるため、ヘルプデスクはあらゆる疑問に対応できる柔軟性と高度なコミュニケーション能力が求められます。

ヘルプデスク業務だけでなく、システム運用やメンテナンス、セキュリティ対策など行うべき業務は山積みです。

IT利用を円滑に進める上で欠かせない業務になってきましたが、国による働き方改革の推進の中で、ヘルプデスク業務の負担改善がどの企業でも課題となっており、ITの人材確保が難しくより深刻な問題となっています。

そんな中、業務の自動化支援ツールとして期待されているのが「チャットボット」です。チャットボットが業務改善にどのような効果をもたらしているのでしょうか。

この記事にでは、注目されているヘルプデスクのチャットボットについて徹底解説します。

ヘルプデスクの現状と課題

ヘルプデスクは、社員や顧客の問い合わせに対して、主に電話やメールで対応する業務です。問い合わせ内容は多岐にわたり、ヘルプデスク担当者にはあらゆる疑問に対応できる柔軟性が求められるため、必然的に業務にかかる負担は大きいのが実情です。まずは、ヘルプデスクの課題を考えてみましょう。

【ヘルプデスク側の課題】
・同じような質問が重複し、対応に時間がかかる
・FAQを利用してもらえない
・問い合わせ件数が減らない
・ヘルプデスク対応が手一杯で、売り上げに直結する業務に注力できない
・業務が属人化し、担当者の異動や退職による後任がなかなか育たない

【社員や顧客側の課題】
・自分の疑問をどこに聞けばよいか分からない
・FAQやマニュアルがすぐに見つからない
・FAQの情報が分かりにくく、電話で聞かないと解決しない
・すぐに確認したいのに、ヘルプデスクの対応時間外でつながらない

ヘルプデスク側は、FAQに掲載されるような「よくある問い合わせ」が重複し対応に工数がかかるという課題があります。社員や顧客側は、FAQから必要な解決策が探せず、急を要する問い合わせは電話の方が早いといった理由から、ヘルプデスクの有人対応に頼るという課題があります。

重複する「よくある問い合わせ」に対して、1件ずつ有人対応することは全く効率的ではありません。近年は働き方改革促進により、勤務時間が短くなっていることもあり、ヘルプデスク業務の効率化は重要な問題となっています。

課題解決のカギは「自動化」

ヘルプデスクの課題を解決するポイントは、「自動化」です。具体的には、利用者の自己解決を促す仕組みの整備が必要なのです。

例えば、イントラネット(社内ネットワーク)などに掲載するFAQの内容を、知りたい情報に素早く辿り着けるように経路を整備したり、アクセスしやすくすることが重要です。その自己解決手段のシステムとして「チャットボット」が着目されています。

チャットボット」とは

「チャットボット(chatbot)」とは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた造語で、人工知能を活用した「自動会話プログラム」のことです。利用者が入力したテキストに対して、プログラムが対話形式で自動応対をします。

「チャット」は、ネットを利用したリアルタイムコミュニケーションのことで、「LINE」のように文字をリアルタイムでやり取りできる仕組みです。「ボット」は、「ロボット」の略で、人間に代わって一定のタスクや処理を自動化するためのプログラムのことです。


例えば、FAQなどの「よくある質問」の内容をチャットボットに組み込んでおけば、24時間、365日体制で利用者からの質問に自動で回答してくれる体制を構築することができ、質問者の自己解決を促せるというメリットが期待できます。うまく機能すれば、ヘルプデスク業務で、平日や深夜に出勤して対応することもなくなります。


また、LINEがメインコニュニケーションツールになり、チャット形式に慣れている世代には、FAQやマニュアルなどに比べて使いやすく、直感的な操作で利用者が知りたい情報にアクセスできる特徴もあり、注目されています。

チャットボットを導入する3つのメリット

ヘルプデスク業務に、チャットボット導入した際のメリットを3つを解説します。

1. 24時間・365日体制の問い合わせ対応が可能

働き方改革やコロナ禍によって、テレワークや在宅勤務の導入が多くの企業で進んでいます。社員や顧客からの問い合わせに対し、時間や場所を選ばず柔軟に、スピーディに対応できる体制が求められつつあります。

チャットボットによる自動対応は、有人対応と異なり時間と場所を選ばないため、24時間・365日体制で対応することが可能になります。これにより、問い合わせ内容により、ヘルプデスク担当者の休日や夜間出勤が大幅に減ることになります。

2. 問い合わせ対応のコスト・工数の削減が可能

よくある定型の問い合わせ対応をチャットボットにして自動化することで、オペレーターの数を減らして、人件費などヘルプデスクにかかるコストや対応の工数を大幅に削減できます。

その結果、ヘルプデスクの業務効率化や、より売上げに直結する業務に力を入れることが出来るでしょう。

3. 回答の均質化が可能

ヘルプデスク業務は、「どのように説明したら一番分かりやすく伝わるか」「問い合わせ相手が何を求めているのか」といった考えが瞬時に浮かぶような対応スキルが必要で、社員や顧客のITリテラシー(ITを使いこなせる能力)や理解度に合わせて回答をしなくてはなりません。

そのため、ヘルプデスク担当者の個々の能力にバラつきがあると、属人化しやすい弱点がありました。しかし、システムでの対応を行うチャットボットであれば、担当者によって対応の質にバラつきが生じることがなく、回答の均質化が図れます。

イレギュラーな問い合わせはAIチャットボットが最適

上記で説明した通り、チャットボットは、社員や顧客側からの質問に対し、あらかじめ想定していたパターンを仕込んでおいたプログラムによって回答が導き出されていました。そのため、プログラムされていないイレギュラーな質問に対して返答することが困難という弱点があります。アドリブが効かないため、「無能知能」と呼ばれることもあります。

一方、AIチャットボットは、文字通り「AI(=人工知能)」を搭載したチャットボットです。2016年3月、AI囲碁プログラム『AlphaGo(アルファ碁)』が、世界戦で18回も優勝経験のあるトップ棋士を相手に4勝1敗と勝利したことは当時、世界的な話題となりました。このプログラムに採用されたのが「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術で、これをきっかけに最近のAIチャットボットにも、同様の技術が使われるようになりました。

この技術を生かして、どのような質問に対しても、話し手の言葉を理解した上で回答するため、チャットボットの課題であった“自然な対話”が提供できるようになったのです。少し前までの、機械的な対応、不自然な会話はかなり軽減されました。

企業側は、AIチャットボットを活用し、商品・サービスに関するFAQを24時間自動で応答できたり、電話やメールに頼らない商品・サービスの見積もりの提供、ECサイトでの商品購入サポートなど、様々な形の価値を提供できるようになったのです。

2018年、株式会社矢野経済研究所が調査した結果、国内の対話型AIシステム市場は今後5年で10倍以上の規模に拡大する見通しと発表し、話題となりました。2022年の同市場規模は、132億円になると予測されており注目されています。

チャットボットを導入する前に自社の課題を洗い出してみましょう

チャットボットの解説はいかがでしたか?ヘルプデスク業務の効率化や対応品質向上のために、チャットボットの導入は有効な選択肢の1つです。

チャットボットの導入する際は、ツールの機能や特徴を把握して自社の課題解決につながるツールを導入することが重要です。そのためにも、自社の課題をしっかりと洗い出して検討するようにしましょう。

【関連記事】
社内ヘルプデスク業務を効率化するオールインワンチャットツール「Tocaro」

ワークプロセスマネジメントプラットフォーム
Tocaro(トカロ)

仕事のあらゆる行動を定量化し、成果につながるプロセスを見える化します。結果、意思決定の柔軟性を高め、チームの生産性を高めることが可能です。さっそくワークプロセスマネジメントプラットフォームのTocaroを使ってみましょう。