ヘルプデスク管理ツールで予兆保全的なインシデント管理を実現しよう

企業のなかで顧客からの問い合わせや、社員からの問い合わせに対応するのがヘルプデスク業務です。コロナ禍でのデレワーク推奨などが影響し、問い合わせ件数が増え続けており、担当者の負担が大きくなってしまい、対応に限界がきてしまっている企業もあります。そんな対応管理に役立つのが、ヘルプデスクの管理ツールです。

働き方改革や業務効率化で、人手不足が社会問題になっていることもあり、この目的を限られたリソースで実現する手段として、ヘルプデスクを管理するツールが注目されています。限界を超え、かつヘルプデスク業務を効率良く行うためのITが“ヘルプデスクツール”です。欧米諸国ではヘルプデスクを設置することが一般化しており、エンタープライズ企業や中小企業など規模を問わず、ヘルプデスクツールを活用しています。

今回は、ヘルプデスク管理ツールについて解説するとともに、導入の際の注意ポイントなどについてもご紹介します。

ヘルプデスクの管理とは?

膨大な問い合わせ内容をヘルプデスクのメンバーが個別に管理している、メンバー同士の知識(ナレッジ)を共有する場がない、ユーザからリクエストがメールで来るので誰が対応しているのかわからないなど、常に稼働率の高いヘルプデスクを効率化するためには、管理ツールが必要なのです。

管理することで、管理者が全体の仕事を把握することが出来るため、担当者たちの負荷を考慮し、タスクの割り振りを変えたりするなど、ヘルプデスク業務の効率化が可能となります。

ヘルプデスク管理ツールの5つの基本機能

ヘルプデスク管理ツールとは、どのような機能があるのでしょうか?基本的な機能を5つご紹介します。

1)発生した問題(インシデント)の管理

発生した問題の状況・問合せ内容を可視化し、ヘルプデスク担当者間で情報を共有することで、状況に応じて適切な対応が取れ、効率化が可能になります。社員や顧客は、PCやスマートフォンなどからWebブラウザで、時間や場所を問わずすぐに発生した問題(インシデント)を報告します。

その他にも多言語にも対応しており、ブラウザの表示言語に合わせて、メニューや項目の表示言語を自動的に切り替えることが可能です。

2)知識(ナレッジ)の管理

過去の発生した問題(インシデント)の対応策を記録し、公開することで、ヘルプデスク担当者間で情報共有し、インシデントを早急に解決することが出来ます。

また、社員や顧客にもよくある質問を公開することで、ユーザ自身での解決を促し、ヘルプデスクへの問合せ件数を劇的に減らすことができます。公開とは、社内FAQや HP内のよくある問い合わせ一覧などのことです。

知識の情報には、文章だけではなく、画像やドキュメントを添付すると幅広い層が理解出来ます。知識(ナレッジ)が役に立ったかどうか、社員や顧客が5段階で評価する仕組みもあります。

3)サービスカタログ

サービスカタログとは、社員や顧客からのサービス依頼を一覧化(メニュー化)して公開することで、申請フォーム、承認フローを標準化できる機能です。

社員や顧客は、Webブラウザから申請や状況の確認ができます。申請のステータスがログに記録されるため、あとから監査することも可能となります。

4)申請・承認ワークフロー

企業の運用ルールに合わせて、ワークフローシステムをカスタマイズが出来ます。新規のサービスメニューに合わせて、ワークフローを新規作成することもできます。

5)ダッシュボードとレポート

発生した問題(インシデント)の状況をダッシュボードで可視化することで、ヘルプデスク管理者がインシデント状況の全体を把握でき、重要度が高いインシデントを優先的に対応したり、担当者の負荷を考慮し、タスクの割り振りを変えたりするなど、状況に応じた適切な対応が可能になります。

インシデントの解決までにかかった時間を自動計測し、集計することもでき、サービスレベルの分析や改善に役立てることも可能です。

ヘルプデスク管理ツールを導入する際に注意する3つのポイント

ヘルプデスク管理ツールの導入を検討する段階になったら、注意すべきポイントが3つあります。しっかり確認しましょう。

ポイント1)「ITIL」に準拠していること

Information Technology Infrastructure Libraryは、1989年に英国政府から発行されたITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインのことです。発行から現在に至るまで3回の改訂を経て、2011年に発行さたれた「ITIL 2011 Edition」が最新版となっています。

ITILに準拠しているということは、ITサービスを安定的に提供し、かつ継続的に改善を加えていくための基盤が整うという意味でもあり、ヘルプデスクによって、ユーザーの日々のIT活用業務を支えていく上で強力な武器となります。

ポイント2)システム同士の連携性の確認

導入する際に、先のことを見据えたうえでツールを選びましょう。例えば、導入時は管理ツールだけが必要であっても、導入後にFAQシステムやチャットボットなどが必要となる可能性もあります。

このようなケースでは、システム同士の連携性が重要となります。導入する前に、同じシリーズで何が提供されているかを確認して選ぶことが大切です。

ポイント3)メンテナンスや拡張性の確認

導入後のメンテナンスと、柔軟な拡張性も大切です。ヘルプデスクツールをはじめ、ソフトウェアは機能を維持するために更新やメンテナンスが不可欠となります。

また、ビジネス環境も常に変化しており、機能の追加が必要となる場合もあるでしょう。拡張性と柔軟性が高いヘルプデスク管理ツールならば、導入後もカスタマイズを加えて業務に即したシステムへと仕立てることが可能です。

管理ツールを選ぶ際にメンテナンスのしやすさと拡張性を確認することが大切です。

「予兆保全的なインシデント管理」を目指しましょう

予兆保全的なインシデント管理とは、企業を取り巻くIT環境を専用ツールによって可視化することで、様々なシステムパフォーマンスの低下に繋がっているボトルネックをトラブル発生前に特定し、事前に対策をすることができることを言います。

ヘルプデスク業務は、問題が発生してからが仕事だと思われがちですが、管理ツールを使用することで、トラブルになり得る事柄を取り除くことが可能となるのです。

これにより問題自体を減らし、よりサービスレベルの高いヘルプデスクを実現することができるでしょう。

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