新型コロナウイルス感染拡大に伴い、厚生労働省が発表した方針によって、出勤者数の削減が必要になりました。その結果、急激にリモートワークが普及してします。初めてリモートワークになった企業も多くあり、ヘルプデスク業務は逼迫しています。Web会議ツールの使用方法やネットワーク環境に関する問い合わせが増加しているのです。企業のIT化が進むにつれてヘルプデスク業務の仕事量は増え、大きな負荷になっていることが珍しくありません。ヘルプデスク業務が逼迫している課題は、FAQシステムで解決できます。
FAQシステムは、ECサイトで一般ユーザー向けに利用されているのが一般的でしたが、コロナ禍のリモートワーク推奨が進む中、実は企業の従業員向けに活用されるケースが急速に増えていることをご存じでしょうか?FAQシステムを活用することで、社内の問い合わせ対応業務を効率化することが出来ます。
この記事では、コロナ禍で起きている社内ヘルプデスクの現状の課題から、FAQシステムの導入メリットまでわかりやすく解説します。
社内ヘルプデスクの現状の課題とは?
社内ヘルプデスク業務はあらゆる部門からの問い合わせに対応する必要があり、多くの企業において業務効率化が課題となっています。問い合わせにスムーズに対応出来ないと、ヘルプデスク担当者側から社員側からも、不満の声が上がり会社全体の士気が下がる原因にも繋がります。社内ヘルプデスク業務が抱える課題を考えてみましょう。
課題1)何度も同じような初歩的な問合せが多く寄せられる
社員のITリテラシー(ITを使いこなせる能力)にも個人差があるため、同じような初歩的な質問が大半を占める企業が多いのが実情です。
「PCがフリーズした」「プリンターと接続できない」など、簡単な質問は社内のマニュアルを閲覧すれば答えが書いてあるのに、何度も何度も同じような質問が寄せられる状況が多くあります。
ヘルプデスクに同じような質問が毎日寄せられる原因のほとんどは、社内マニュアルにあります。検索しても必要な情報がヒットしなかったり、逆に情報がヒットしすぎてしまうことが原因なのです。
課題2)早急な対応が必要な問い合わせが多い
社内ヘルプデスクへの問い合わせは、緊急性の高い内容である場合が多くあります。「この後すぐに打ち合わせがあるのに資料を印刷できない」「管理画面のログイン情報を今すぐ知りたい」など、各部門の社員から寄せられる急な要望に対応を迫られることもしばしばあります。
「社内マニュアルで検索すればすぐにわかるのに・・・」とモヤモヤしながら問い合わせに対応することもあります。早朝や業務時間外に緊急の問い合わせが入ることもあり、会社の損失になる場合もあるため、残業を強いられることもあるのが現状です。
課題3)ヘルプデスクの業務経験で得た知識が蓄積しない
問い合わせ内容をヘルプデスク内で共有できるような仕組みが無ければ、そのナレッジ(知識)は表に出ることなく、対応した社員の脳内に蓄積していきます。
そのため、社内ヘルプデスク業務では、特定のベテラン社員に属人化しやすかったり、新人が育ちにくかったりする人材教育の課題が生じます。
業務が属人化してしまうと、「○○さんに対応してほしい」「ヘルプデスク担当者によって回答が違う」という事態が発生してしまいます。また、上司は部下の負担がわからなくなってしまうため、業務の把握も出来なくなってしまうのです。
課題4)リモートワーク急増に伴うITシステム関連の問い合わせの増加
出典元:IIJ「徹底調査で見えてきた、コロナ禍が浮き彫りにしたITシステムの課題 ~情シス269人にIIJ独自アンケートを実施~」
Internet Initiative Japan社の調査報告書によると、リモートワークを活用した在宅勤務が急増したことで、様々な課題が出てきています。
Web会議ツールの使用方法がわからなかったり、インターネットの遅延や接続不調が起きたりなどの問題が発生しています。その結果、社員のヘルプデスクへの問い合わせが増加しており、ヘルプデスク業務の混乱を招いているのです。
社内FAQの成功する作り方とは?
社内FAQのFAQとは、「Frequently Asked Questions=よくある質問とその回答」のことです。FAQシステムなどを活用して社内FAQを構築し、ヘルプデスク担当者の負荷を軽減しようという企業が増えています。
社員とヘルプデスク部門が問い合わせ内容を管理・共有して、検索・自己解決させることで、社内ヘルプデスクへの問い合わせを減らしていく取り組みです。また、ツールなどを活用した社内マニュアルも同様に注目されている取り組みになっています。
ただ、FAQシステムやマニュアル作成ツールを導入して、社内FAQや社内マニュアルをよく考えずに作成しても「誰も見てくれない」「問い合わせや社内へルプデスクの負荷が減らない」というケースになることが多いそうです。
その原因は、社内FAQや社内マニュアルの「作り方」と「運用方法」にあります。ここでは、FAQの作り方をご紹介します。
1)問い合わせ内容を収集する
まず最初に、ヘルプデスクへの問い合わせ内容を収集してみましょう。問い合わせは、Webフォーム・メール・電話・チャットから入ります。各チャネルからの問い合わせを自動収集・一元管理できるシステムを選べば、複数のチャネルを横断せずに済むので、データ収集の手間がかかりません。
2)収集データをABC分析で整理する
次に、情報の取捨選択や優先順位付けが必要になります。そのため、問い合わせのウェイトが大きい順に並べて分類し管理する方法(ABC分析)で整理をして、知識や情報の作成の優先順位を決めていきましょう。どのカテゴリを、メンテナンスすべきかの見直しにもABC分析は活用できます。
3)FAQサイトを作成する
質問が多い問い合わせに関する会社のノウハウが詰まった過去の問い合わせをまとめた(ナレッジ)記事を作成します。ナレッジ記事の作成方法には2通りの方法があります。
①ヘルプデスク担当者が作成する場合→担当者がイチから作成
②返信メールで記事を作成する場合→返信メールで作成すると、担当者の負担が削減できます。
4)チャットボットを組み込む
FAQにチャットボットを組み込めば、ヘルプデスク業務の自動化が実現できます。チャットボットに過去の問い合わせをまとめた記事を読み込ませて、社員が質問をすれば回答に該当する返答を自動表示してくれる画期的な製品です。高額なものだと思っている方も多いかと思いますが、チャットボットは低価格化しており、気軽に導入できる製品となりました。FAQ作成システムとチャットボットを提供しているサービス会社を選べばすぐに作成できます。
5)社員から承認を得る
FAQシステムが出来上がったら、社内の関係部署に実際に体験をしてもらって承認を得てみましょう。操作性に優れていて活用しやすいFAQシステムであるかを確認してもらうことで、導入後のトラブルが防止できます。多くの方に利用されるFAQシステムにするには、社内の状況は日々変化しているため、社内FAQは定期的な見直しが必要不可欠です。実際の状況を考慮し、適宜変更を加えましょう。
社内ヘルプデスクにFAQシステムを導入するメリットとは?
リモートワーク普及にともなう社内ヘルプデスク業務の課題解決には、IT投資の強化が必要です。社内ヘルプデスクの人員を増やす企業も増えてきていますが、業務効率化を図れば人員を増やさずに対応できることもあります。FAQシステムを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット1)社内ヘルプデスクの対応コストを削減できる
ヘルプデスクに社員から問い合わせが寄せられる前に、FAQシステムが社員の疑問をスマートに解決することが可能になります。。問い合わせがあった場合には、ヘルプデスク担当者が問い合わせに対する回答を一瞬で見つけられるようになります。その結果、ヘルプデスクに寄せられる問い合わせ数がそもそも減少する上に、1件あたりの問い合わせにかかる対応時間も減少するため、対応コストの削減に繋がります。コスト削減に重きをおく場合は、AI搭載型ではないFAQシステムだと、検索キーワードの微々たる違いでヒット数が大きく変わってしまったり、自然文検索に対応できなかったりするため、AI搭載型FAQシステムをおすすめします。
メリット2)問合せ対応の品質を均一化できる
性能の高い便利なAI搭載型FAQシステムを採用すると、ヘルプデスク担当者が同じ情報を参照して問い合わせ対応するようになります。これまでは、ベテラン社員に属人化していた業務も、担当者によって回答が微妙に異なっていた回答も、全てFAQシステムに記載された流れに従って処理できるようになるのです。「ヘルプデスク担当者によって回答が違う」という事態が発生することが大幅に減ります。
メリット3)問い合わせ情報を活用し更に効率化に繋げられる
FAQシステムに打ち込まれた社員の疑問を分析することで、さらなる業務効率化に繋げられるメリットがあります。FAQシステムには、質問ごとに閲覧数や解決率を測定する機能が搭載されており、それらのデータを使って定量的な分析が可能になります。例えば、解決率が著しく低いFAQの文面を改善するといった運用方法が可能です。
社内ヘルプデスクのFAQシステム導入を検討しましょう
いかがでしたか?ヘルプデスクの現状の課題、FAQの作成方法や導入のメリットをご紹介しました。FAQシステムは、問い合わせ応答を効率化することで、本来のヘルプデスク業務に集中できる業務環境を整えることが目的です。
また、社員に対しても迅速で正確な回答を返すことができ、会社全体の生産性向上にも貢献することができるのです。企業のIT化が進み、ますますヘルプデスク業務は激務になることが予想されます。この機会に、ぜひFAQシステムを導入してみてはいかがでしょうか。
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