ビジネスチャットの導入事例とメリットデメリットを徹底解説

新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、2020年以降に働き方が大きく変化しました。リモートワークや時間差通勤、感染による自宅待機などで社員が毎日同じ空間で働く時間が減少しています。そのような状況の中で、社内コミュニケーションに変化が生じ始めました。これまでオフィスで日常的に行われていたちょっとした連絡や相談がしづらくなってきています。

そのような状況下の中で、オンラインでのコミュニケーションが重視されるようになりました。リモートワークが増える中、打ち合わせや会議はもちろん、雑談や情報の共有までオンラインがメインとなりつつあります。

様々なツールがありますが、ビジネスチャットは、リモートワークなどの環境下でも顧客とコミュニケーションを取ることができるため、コロナ禍下でも重要な役割を担っていて導入する企業が増えています。即時性・気軽さといった使い勝手で、メールよりも手軽で、案件ごとにグループ分けなども可能、セキュリティ面も安心です。

今回は、ビジネスチャットの導入についてやメリットデメリット、導入事例やおすすめのビジネスチャットを徹底解説します。

ビジネスチャットとは?

ビジネスチャットとは、企業や個人のコミュニケーションを効率的に行うためのチャット機能を提供するツールです。導入することで、気軽にメッセージのやりとりが出来て、Webミーティングやタスク管理、スケジュール共有、ファイル共有なども行えます。ビジネスチャット1つを導入すれば、ほとんどのビジネスコミュニケーションを賄うことができるのです。

LINEやTwitter、FacebookなどのSNSがコミュニケーションツールとして生活に欠かせないものになりつつあります。チャット形式のリアルタイムのコミュニケーションの手軽さや利便性を日常的に体感している人々にとって、一方通行かつ形式張った定型文を強いられるメールや相手の時間を拘束する電話に対して、抵抗感が高まっていることもあり、チャット形式のビジネスチャットが浸透しているのです。

そして、個人向けチャットよりも、セキュリティ面が強化されていることが特徴の1つです。

導入には、チャットプラットフォームの選定や導入方法、顧客とのやり取りのガイドラインの作成などが必要になります。

ビジネスチャットの導入率とは?導入が進んだ背景とは?

テレワークを検討する理由として、新型コロナウイルス感染症防止のためのテレワークの普及率の増加や介護や育児などをしながらの働き方の変化などがあります。

ビジネスチャットはどれぐらいの会社が導入しているのでしょうか?ビジネスチャットの導入状況を2017年と2021年で比べてみましょう。

2017年(伊藤忠テクノソリューションズの調査より:従業員数200名以上の企業に勤務する役職者412名)
ビジネスチャットを公式に「全社導入」あるいは「一部導入」している企業は28.1%(「全社で導入している」が12.1%、「一部で導入している」が16.0%)

2021年(日経BPコンサルティングのアンケートシステムより:調査モニター2319人)
「導入している」と答えたのは43.0%
従業員規模別にみると1万人以上の企業では、導入率73.0%という結果になりました。

コロナ禍の影響もあり、全体の約4割がビジネスチャットを導入しています。また、従業員規模が大きくなるに従い、対面のコミュニケーションが難しくなるためビジネスチャット導入比率が高まる傾向がみられました。

テレワークの導入が進むと、社内コミュニケーション不足が課題となることが分かっています。テレワークを導入する時に、情報共有や社内コミュニケーションツールとして、ビジネスチャットがあると、導入後も業務をスムーズに進められるでしょう。会社勤務とテレワークの両方に対応できる環境が整います。

ビジネスチャットを導入する6つのメリット

ビジネスチャットを導入すると、6つのメリットが期待されます。下記の内容をご覧ください。

⒈ コミュニケーションの効率化

ビジネスチャットツールを導入する1番のメリットは、社内のコミュニケーションの効率化です。メールと違い、チャットは定形の挨拶や署名が不要で、要件だけを簡潔に伝えられるので、文書を作成する時間や読み手の内容理解の時間の削減ができ、コミュニケーションの効率が上がります。


メールは、受信者がいつメッセージを見てくれるかもわからないため、会話のテンポはどうしても遅くなってしまいがちでした。ビジネスチャットは、メールよりもテンポよく会話が可能で、タスク管理やスケジュール管理も一元化できるため、部署内やチーム内におけるプロジェクトの進捗具合を可視化・共有し、無駄なミーティングなどを減らすことで、業務効率化を可能にします。

⒉ 高いセキュリティの中での情報共有で安心

個人用SNSとビジネスチャットの違いはセキュリティの高さです。ビジネスチャット内で、企業の情報や個人情報のやり取りをすることもよくあるため、情報が流失しないように高いセキュリティレベルで安心です。

金融レベルの環境を求める場合には、クラウドではなく自社ネットワークを利用するオンプレミス型のビジネスチャットツールを選ぶのがおすすめです。

⒊ 自由な場所でのワーキングスタイルが可能

インターネット環境さえあれば、社内外どこからでもどの端末からでもアクセスができます。そのため場所や時間を問わないコミュニケーションが可能です。コロナ禍でのテレワークや出張で社外にいる場合にも、リアルタイムな情報の共有が簡単にできるので様々な勤務体系に対応できます。

⒋ タスク管理で個別、チーム別管理が簡単に

ビジネスチャットの基本機能の1つであるタスク管理機能を使えば、効率の良い作業が可能になります。作業ごとにその日にやるべき仕事や進捗を確認できるので納期の漏れやミスを防ぐことができ、効率的に働くことができるようになります。

プロジェクトや部署、チームごとにまとまった管理ができることに加えて、場所や人数を問わない自由なコミュニケーションが可能になります。チームの進捗状況を一目で確認できるので、報告のための会議や連絡をしなくて良くなり効率的に業務を進行できます。

スピーディな情報共有が可能

ビジネスチャットツールは、プロジェクト別、あるいは部署別などでチャットルームを設けてやりとりできるため、周知させたいことの共有やファイルのシェアなども簡単に行えます。
LINEなどの一般的なチャットツールと同様にポップアップ通知が届くため、スピーディにやり取りができます。既読機能がついているものであれば、いつメッセージを見てもらえたのか確認することも可能です。

⒍ 必要な情報だけを把握することが可能

従来のメールでは、迷惑メールやメールマガジンなどの関係のない情報が届くこともあり、必要な情報を探すのに時間がかかってしまったり、重要な情報を見逃してしまうリスクが常にありました。

またプロジェクトチームなどの複数人でのやりとりになると、やりとりする量も多くなります。メールだと、不要と判断できるものもありますが、1つずつ開封して確認する必要があります。また、最後まで読まなければメールの趣旨がわからないものもあります。ビジネスチャットなら、プロジェクトチームや部署メンバーでグループを作成できるため情報共有がしやすく、ファイル転送も簡単でスピーディに進められます。

ビジネスチャット導入による3つのデメリットと対処方法

ビジネスチャット導入には、もちろんデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、その対処方法もあわせてご紹介します。

⒈ 対面のコミュニケーションが減少する

ビジネスチャットでの手軽なコミュニケーションが増えていくと、対面のコミュニケーションが減少してしまいます。チャットを通して気軽に会話を行えるということから、わざわざ直接会話する必要がないという空気が生まれてしまいがちなのです。便利になった半面、社内でのコミュニケーション不足による誤解を招くケースが増えてきます。

対処方法は、文字だけでは感情や雰囲気が伝わりづらく、ニュアンスを100%理解することは難しいので対面のコミュニケーションよりも伝え方、語尾などを工夫する必要があります。

例えば、一方的に報告や文字だけの文面にせずに絵文字やスタンプで感情をつけ加えるなど、相手がどのように受け取るのか考えるようにしましょう。さらに、重要な内容や複雑な話はメッセージだけで終わらせず、ビデオ機能を使用するなど状況にあったコミュニケーションを心がけましょう。

⒉ 情報がスピーディーに流れていくので見逃す可能性がある

ビジネスチャットは、メールよりもスピーディにやりとりできるのがメリットですが、スピーディであるからこそメッセージが膨大で流れていきやすいことも事実です。そのため、過去の重要なメッセージを見逃してしまうことも考えられます。

対処法は、ミスを未然に防ぐためにも、「タスクの個別割り振り機能を活用して確認漏れを防止する」、「返信には個別にメンションをつけてメッセージを送る」、「より重要な内容の場合は個別でグループを作成して伝える」などといったルールを部署内で決めておきましょう。

⒊ 社員へのシステム教育が必要

社員の中には、新しいシステムにすぐに対応できる人もいれば、従来のやり方(メールなど)に慣れており変化に対応するのに時間がかかる人もいます。はじめは研修や周知をする必要があり、全員が使いこなせるようになるまでは時間と手間がかかります。導入しても、社内に定着しなければ教育や研修で割いた手間や費用が無駄になってしまうのです。

対処法は、導入する際にビジネスチャットを利用する目的と効果を周知し、積極的に使っていこうとする意識を高めることも重要です。また無料で始められるツールもあるので、まずはグループや部署などに限定して自社の社員がどの程度ツールを使いこなせるか検証しましょう。

ビジネスチャットの導入事例

ビジネスチャットを実際に導入した企業はどのように変化したのでしょうか?伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が開発したビジネスチャット『Tocaro』の導入事例を2つご紹介します。

立命館大学
「導入によってコミュニケーションの効率化とセキュリティ上の懸念払拭を実現した」

出典:https://tocaro.im

Tocaro導入前の課題
・メール全返信のやりとりで、やりとりの履歴が追えなくなった
・メールでの資料やデータのやりとりにセキュリティ上の懸念があった

Tocaroの導入の効果
・チャットのコミュニケーションで議論の整理が可能になった
・セキュリティに不安を感じずに資料やデータのやりとりが可能になった

導入後の変化
業務における活発なコミュニケーションは、対面とメールでのコミュニケーションが基本となっていましたが、新型コロナウィルス感染拡大後は、対面でのコミュニケーションが難しくなりました。相談や打ち合わせなどもメールをベースに行うことが増え、 時には数十人が入るメールを全返信でやり取りをしていたため、 情報整理が追いつかない、資料を送ると各社から次々と修正依頼が全返信でメールが飛んできてしまうことで、 最新資料が把握できなくなってしまうということもあったため導入に踏み切りました。その結果、チャットで気軽に最新情報をやり取りすることができるようになり、ミスが減りました。また、元々メールへのファイルやデータの添付に対してセキュリティに関する懸念があったのですが、 Tocaroであればセキュリティに不安がなかったのと参加企業各社もセキュリティの観点から利用をしているBoxとのリンクがしやすかったです。

富士電機株式会社
「導入によって複数の会社とのコミュニケーションがスムーズに行えるようになり、社員の工数削減・業務効率が向上」

出典:https://tocaro.im

Tocaro導入前の課題
・電話・メールにかかるコスト
・複数業者との調整業務コスト
・シャドーITの懸念・リスク

Tocaroの導入の効果
・コミュニケーション効率の向上
・遠方・複数業者との業務効率UP
・利便性とセキュリティの両立

導入後の変化
お客様とは電話、協力会社とはメールや電話といったコミュニケーションが主流でした。 ただ、社員のプライベートなコミュニケーションではLINEやSNSが主流になってきていたため、先行してコミュニケーションツールを導入しなければ、プライベートツールがメインになってしまう、いわゆる「シャドーIT」リスクへの危機感がありました。 協力会社が複数にわたることも多く、調整業務の効率化も課題でした。会社同士の紹介や会議日程の調整などは、メールや電話では煩雑になってしまっていました。導入後は協力会社とのコミュニケーションがほとんどで、使い方としては個人同士でのチャットではなく、グループチャットを使うように誘導しています。 それによって、担当業務やお客様ごとに各グループが立ち上がり、その中で話題が展開し、情報が残っていくので、 あとから参加した人も会話の流れが分かり、メールと比べて検索が容易になりました。 外出時はスマホを使い、音声入力でメッセージ送信をしています。 辞書に単語を覚えさせると、ほぼ修正せずにメッセージが送れるようになるので、非常に便利です。遠方の協力会社とも仕事がしやすくなり、複数の協力会社とのやりとりも、調整業務が一気に省けるようになった感じです。

おすすめのビジネスチャットツール3サービスを徹底解説

導入後も操作が比較的簡単にできると評判のビジネスチャットツール3サービスを徹底解説します。

⒈同じ使い勝手だから導入してすぐに使えるLINEのビジネス版「LINE WORKS」

出典:https://line.worksmobile.com/jp/

ワークスモバイルジャパン株式会社が提供している「LINE WORK」は、チャットやスタンプはもちろん、掲示板、カレンダー、アドレス帳、アンケートなど、現場で活用できる充実したグループウェア機能を揃えたLINEのビジネス版ビジネスチャットツールです。LINEでお馴染みの使用感を踏襲しているので、どの年代の方もすぐに使いこなせる点が人気のポイントです。LINEと同じく「既読」表示機能があります。既読機能は、既読のお伺いをする必要がなく、スピーディーにやり取りができ便利です。

トークやメール、アドレス帳、ホーム(掲示板)での社内通知、メンバーの予定が把握できるカレンダー、ファイルを閲覧できるDriveなど業務の効率化に必要な機能が満載。セキュリティにおいてはユーザーの利用履歴をモニタリングできるためリスクを事前に察知し、トラブルが発生したあとの追跡も迅速に行えます。

LINEであればつかえるという学生インターンや20代の社員が多いカジュアルな企業におすすめです。

セキュリティレベルは、日本の法令はもちろん国際規格を遵守し、国際認証を取得した高いレベルの情報管理システムでサービスを管理しています。LINE WORKSのデータは、全てセキュリティ専門のエンジニアチームによる24時間365日の体制でモニタリングしているので安心です。

【料金プラン】
スタンダード 450円/ユーザー/月(年間契約)
アドバンスト 800円/ユーザー/月(年間契約)
※フリー(はじめてビジネスチャットを利用する会社が無料で100人まで利用できるプラン)

LINE WORKSサービスサイト : https://line.worksmobile.com/jp/

仕事を完遂させるオールインワン・コラボレーションツール「Tocaro」

出典:https://tocaro.im

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が提供する「Tocaro(トカロ)」は、組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的として自社開発したビジネスチャットツールです。仕事に必要なあらゆる情報を、簡単かつ安全に共有するための様々な機能が満載で、業務の依頼や仕様変更など重要な連絡を見える化して、業務の抜け漏れや遅れを防ぎます。

金融レベルの高セキュリティが人気の秘訣で、IPアドレス制限・モバイル端末制限・機能制限・ユーザー権限など、多くのセキュリティ機能を組み合わせることで、あらゆるセキュリティ問題・社内ルールの壁を乗り越えて、利便性を損なわずに安全なコミュニケーション環境を構築します。また、世界中で数十万社が利用するセキュアなファイルストレージサービスBox®︎と強度な連携ができる唯一のツールです。

『プロジェクト管理』『リアルタイムチャット』『ワークボード』の3つの特徴的な機能を始め、『ワークフロー』『ファイル共有』『既読管理』『ビデオ通話』『検索』『​​API・連携機能』『アクセス管理』『専用アプリケーション』などを装備しています。

【料金プラン】
スタンダードプラン 800円/ユーザー/月
ビジネスプラン1,000円/ユーザー/月
エンタープライズプラン 要相談
※無料トライアルあり

Tocaroサービスサイト:https://tocaro.im/

⒊国内利用者数No. 1 国産ビジネスチャットのパイオニア「Chatwork」

出典:https://go.chatwork.com/ja/

Chatworkは、Chatwork株式会社が提供する導入社数37.6万社を超える国産ビジネスチャットツールです。ツールには珍しく既読機能がないので、外部とのやり取りにおすすめです。国産ツールのため、タスク管理機能に優れており、チームでのコラボレーション機能が充実しています。

送受信できるファイルの容量が無制限になったので、作り込んだ資料や大きなデータの共有が簡単にできます。ビデオ通話で円滑なコミュニケーションも可能なので、リモートワークでもサクサクと利用できます。

大企業や官公庁も導入できるセキュリティ水準で、サーバーとの通信はすべて暗号化されており、送信したデータは高い信頼性と実績をもつデータセンターに厳重に保管されています。また、国際的なセキュリティ規格を取得し、第三者機関によるセキュリティ監査の実施などを通じて、安全な情報管理に努めているので安心して利用できます。

【料金プラン】
ビジネス 500円/ユーザー/月(年間契約価格)
エンタープライズ 800円/ユーザー/月(年間契約)
※フリープラン有り
利用可能サービス:コンタクト無制限、累計14グループチャット、1対1でのビデオ通話 / 音声通話、2段階認証、5GBストレージ

Chatworkサービスサイト : https://go.chatwork.com/ja/

ビジネスチャットの導入はメリットデメリットを考慮し慎重に!

ビジネスチャットツールは、コロナ禍を経て現代のビジネスにおいて欠かせない存在となりつつあります。しかし、現在多くの会社がビジネスチャットツールを提供しており、選定が難しくなってきています。

今後もビジネスチャットの導入率は高くなることが予想されています。リモートワークなどの働き方の多様化が進む中、業務効率化やコミュニケーションの活性化を図るためのメインのコミュニケーションツールとなっていくことでしょう。

ビジネスチャットの導入は、自社の導入目的やメリットデメリットをよく検討してからにしましょう。

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