業務効率化は在宅勤務でも向上できる。その手法とは?

新型コロナウィルスの影響で2020年4月に緊急事態宣言が発布され、多くの企業がテレワークという新しい働き方を導入しました。自粛ムードが収まってからも、テレワークを続ける企業は多く、新しい働き方は定着してきているという見方ができます。しかし、その中で、在宅勤務だとなかなか仕事に集中できなかったり、ストレスを抱え込んでしまって、業務効率が上がらないという声も聞こえてきます。

今回は、改めて在宅勤務について、どのようなものなのか見直した上で、なぜ在宅勤務が業務の効率を低下させるのか、その理由である在宅勤務のデメリットや、在宅勤務にまつわるストレスなどについてみていきましょう。

改めて確認しておきたい、在宅勤務とは?

テレワークの手段の一つとして、「在宅勤務」があります。在宅勤務という言葉が日常的使われていますが、実際のところ在宅勤務とはどのようなことを意味するのでしょうか。その定義について、あらためて確認しておきましょう。

在宅勤務の定義

在宅勤務の定義は、会社員が会社で業務を行わず、自宅で業務を行うことです。通常、会社員は会社で業務を行いますが、在宅勤務を導入することによって、業務運営の効率化が図れることから、会社員であっても、自宅で業務を行うことができます。

テレワークとの違い

テレワークとは場所を問わない働き方のことで、業務を行う場所はかならずしも会社である必要はありません。テレワークと在宅勤務は似たようなニュアンスで使われることが多いですが、在宅勤務は、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務と3種類あるテレワーク形態の一つです。その中で在宅勤務は、業務を行う場所が自宅の場合を指します。

在宅勤務に見られる業務効率の低下の要因

企業が在宅勤務を実施しようと考えたときに、今までオフィスでやっていやことを単純に自宅で行えば良いと思うかもしれませんが、実際に在宅勤務を行なうと、オフィスワークとは違った様々な要因によって業務効率を低下させます。ここでは、その一部を取り上げて見ていきましょう。

1. 労務管理による業務効率の低下

在宅勤務を導入するにあたって、企業にとって難しい問題となるのが労務管理です。その労務管理の中でも一番ネックとなりやすいのが勤怠の管理です。勤怠管理とは出勤と退勤の時間や、休憩時間の状況を管理することを指します。

従業員が会社で勤務している時は、出勤時と退勤時にタイムカードを押すことで、勤怠管理ができますが、従業員が在宅勤務を行う場合、会社側は従業員の出勤時間と退勤時間を把握することが難しくなります。

業務の効率化を考えた場合、きっちりと勤怠管理をし、時間内で業務を終わらせるような指導が必要ですが、在宅勤務だと長時間労働になりやすく、業務効率は低下しやすくなります。

2. 評価の仕方による業務効率の低下

在宅勤務を行っていると、上司は部下の働きぶりを直接確認できないため、評価が難しいと感じます。そのような状態では、上司による部下の評価があいまいなものとなり、部下としては、評価内容に疑問を抱いてしまうこともあります。

在宅勤務を行っている企業が、正当な評価を行うためには、一定期間内に達成すべき目標を立て、期間内にその目標が達成できたかどうかを基準にする方法が適しています。そして、この評価基準オフィス勤務者、在宅勤務者共に適用することが肝心です。この方法をとることで、目標を達成できたかどうかが基準となるため、上司としても評価をしやすくなります。

在宅勤務者は自分の働いている姿を見せることができないため、モチベーションを維持することが難しくなります。また、目標設定が明確になっていないと、ダラダラと仕事をしてしまい、効率も低下します。評価の基準をしっかりと設けることで業務効率を維持することができます。

3. コミュニケーション不足による業務効率の低下

オフィスであれば、お互いに顔を合わせる機会が多いため、ささいなことであってもコミュニケーションを取りやすいですが、在宅勤務では、他の従業員と直接顔を合わせることがないため、コミュニケーションを取る機会がどうしても減ります。

コミュニケーションが不足すると、必要な情報がうまくやり取りされず、業務の遅滞や、仕事の質が低くなることもありえます。ビジネスチャットやWeb会議システムなどを利用して、オンライン上でコミュニケーションを取るようにすることで、効率を下げずに在宅勤務でも業務を進めていくことができます。

在宅勤務者のストレスも業務効率を低下させる

在宅勤務に移行すると、始めは新しい環境での業務に対して緊張感もあり、作業効率も上がりますが、在宅勤務が長期化すると、在宅勤務者がオフィスとの違いにストレスを感じ始め、作業の効率が低下していきます。実際の在宅勤務者がどのようなストレスを感じやすいのか見ていきましょう。

1. 環境にまつわるストレス

オフィスに集まって働く場合、生産性を高める職場環境を会社が整えているものです。室温、騒音、照度、作業場などが、快適に仕事をできるように設定されていますが、自宅には同じような設備はありません。極力オフィスと似たような環境整備をしないと、仕事の成果に影響しますし、在宅勤務者のストレスになります。

2. 仕事内容にまつわるストレス

在宅勤務は、裁量権を委任されているような仕事や人には業務上のストレスは少ないといわれています。そうでない仕事や役職の人が在宅勤務になると、長時間労働になりやすく、仕事へのモチベーションも低下しやすく、ストレスに繋がりやすくなります。

3. スキルにまつわるストレス

新入社員や、仕事に慣れていない人が在宅勤務になった場合、わからないことを、どのようなタイミングで周囲にサポートを求めればよいのか明確になっていない場合が多く、スキルが不十分な人には、在宅勤務自体がストレスになります。

4. コミュニケーションにまつわるストレス

オフィスでは気軽にできていたプライベートの話などの雑談が減り、仕事の話だけになることで、オンオフの切り替えができず、孤独を感じやすくなります。この状態が悪化すると、疎外感を感じることになり、大きなストレスになる可能性があります。

在宅勤務で業務効率を下げずに行なうポイントとは?

在宅勤務で仕事をしていると、オフィスとは勝手が違い、ちょっとしたことで仕事の効率が低下してしまう可能性があります。普段何気なく行っていることも、在宅勤務になると、違和感やストレスの要因となり、在宅勤務者のモチベーションを低下させ、効率を引き下げてしまうのです。

では、在宅勤務をしているなか、業務効率を下げずに業務を続けるためにはどのような工夫が求められるのでしょうか。ここではその手法を見ていきましょう。

業務のプロセスを見直す

在宅勤務の推進と従業員の理解促進のためには、労務管理を可視化し、管理者がマネジメントを適切に行うことがポイントとされています。在宅勤務になっても、業務の開始時刻や、終了時刻、中断時間などの勤怠管理や、業務プロセスの見直しが重要なポイントになります。

また、在宅勤務を導入する際には、現状行っている業務の選定や、業務プロセスやフローの見直しが必須となります。 在宅勤務でも、業務に必要な手続きや、現在利用しているシステム、帳票作成、決裁など、業務を一度洗い出し、在宅勤務でもできる業務とできない業務を選定することが求められます。

業務を見える化することによって、在宅勤務者が行っている業務の進捗が把握できるようになり、業務量の偏りや、遅滞業務を適切にマネジメントすることができるようになります。これにより、在宅勤務者の業務に関する不安が低減し、安心して業務にあたることができ、業務効率も改善することができます。

業務の評価を見える化する

在宅勤務では上司の目の届かず、完璧に従業員をマネジメントすることは難しいと言われています。常にパソコンをオンラインして、勤務を監督するツールもありますが、それでも徹底した管理ができるわけではありません。

このような状況下では、労働時間で人を管理するよりも、業務による成果を管理するやり方がおすすめです。あらかじめ業務範囲とプロセスを明確にしておくことによって、業務量が数値化できるので、仕事によって生まれる成果を、具体的な数値で評価できるようになります。

成果が可視化され従業員と共有できるようになれば、それを達成できているかどうかで正当に評価することが可能になります。労働時間を細かく管理する必要もなくなるので、管理者の負担も減り、在宅勤務者の不安によるストレスが低減され、業務の効率化にも繋がります。

社内のコミュニケーション不足を減らす

在宅勤務になると、上司や同僚と顔を合わせる機会が減ります。そのため、コミュニケーション不足が発生し、情報共有の不足や業務の遅滞が起こり、サービスの低下を引き起こしかねない大きな課題です。業務の遂行にはコミュニケーションが必須で、コミュニケーションが不足すると業務効率の低下に直結します。

在宅勤務者とのやり取りに、電話やメールで対応できないことはないですが、その効率を考えるとコミュニケーションツールとしては十分とは言えません。現在はICTツールが発達していますので、クラウドを利用したコミュニケーションツールの活用をおすすめします。チャットや、ビデオ会議などの機能を使えば、即時性の高い情報共有をスムーズに行うことができ、コミュニケーションの不足を解消することが期待できます。

従業員同士の雑談を認める

オフィス勤務にの場合、従業員同士のちょっとした雑談によって、リフレッシュできたり、業務に関するヒントにつながったりすることがあります。 実際、行き詰まったときに、雑感から業務進行の手がかり得たことがあるという人もいるのではないでしょうか。

在宅勤務でも例外ではなく、このような雑談の機会を設けることで、気持ちの切り替えができるようになり、ストレスが低減されたり、新しいアイディアが生まれたりするかもしれません。休憩中にチャットやWEB会議システムなどを利用して雑談することができれば、在宅勤務の孤独感を防ぐこともでき、モチベーションの向上や気持ちの切り替えによる業務効率向上も期待できます。

在宅勤務の課題点を理解して業務効率を改善しましょう

在宅勤務には様々なメリットが有り、導入に成功している企業からは多くのメリットが語られます。しかし、その裏には、多くの課題があることも理解しなければなりません。業務効率化のためにイニシャルコストをかけて在宅勤務を導入したのに、結果的に業務効率や、企業の生産性が低下してしまっては意味がありません。

在宅勤務という働き方は、今後日本の企業に求められる、多様な働き方の中で必要となる勤務形態ですので、今一度在宅勤務のメリット・デメリットを見直して、業務の改善に繋げていきましょう。

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