テレワークを導入した事例から、これはすごい!と賞賛したくなる成功事例をまとめました。政府の推進や現在の情勢によって導入を検討している企業が増えているテレワークですが、実際にはどのように運営しているのか知りたいところです。
成功している企業のテレワーク導入のきっかけや対象者、実践して成果が上がったことなど、テレワークの事例を具体的にご紹介します!
残業時間が24%減少し、従業員満足度と平均勤続年数がUP!(大同生命保険株式会社/金融・保険)
テレワーク導入のきっかけは、2014年4月より本社職員を対象に宅勤務制度を導入。 2015年9月には、十分な情報セキュリティ対策を講じて「個人情報を取り扱う業務」も含む全業務をテレワーク対象にしました。
働き過ぎを防止するため、テレワークで使用する全て端末に自動シャットダウン機能を搭載。稼働時間延長には上司の承認が必要とするなど労働時間を適正に管理し、労働縮減と生産効率向上を目指しています。
合わせて会議、電話、メールを効率化する「仕事スリム化運動」を推進。営業担当全員にタブレット端末を配備。契約手続き等の「事務手続きの削減・簡素化」に取り組み、お客さまと営業担当者の負担を軽減しています。
これらの施策により、残業時間が24%減少(2016年1人当たり月平均、2014年比)し、従業員意識調査で総合満足度がアップ(2013年:3.70pt → 2015年:3.78pt)、 平均勤続年数は、16.3年→16.9年になるなどの成果が上がっています。(2014年度末からの比較)
どこにいても成果が上げられる、働きやすい環境整備で、産休明け復帰率は100%!(シスコシステムズ合同会社/情報通信)
アメリカに本社がある世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社、通称シスコは、2008年から、と日本ではいち早く全社員を対象にテレワークを推奨しています。
自社が手掛けるグループウェアを使ってフォローし合い情報交換をするなどのコミュニケーションを緊密に取り、社員が社外からも会社のシステムにアクセスできるVPN(仮想私設網)を構築しテレワークを成功させています。
また、希望する従業員には自宅で使えるテレビ電話用の機器を無料で貸与するなど、社外にいても社内同様の業務ができる仕組みを整備しています。
どこにいても同じクオリティの成果が上げられることは経営側にとっても社員にとっても大きなメリット。その成果として、産休を取得した女性社員の復職率は100%!出産前とライフスタイルが変化しても、働きやすさを実感しているからこそ安心して復職できるのでしょう。働きにくいことによって優秀な女性の離職や能力を活用できないという事態を防いでいます。
勤務開始時間の1時間前倒しができ、ワーク・ライフ・バランスが充実(株式会社ウテナ/製造)
育児、介護をする社員の増加や交通渋滞など、将来的な要因を見据えてテレワークを導入したウテナ。東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」にもなっています。当初は育児・介護中といった時間の制約がある社員を対象に考えていたものの、導入検証後、限定した制度にはせず、誰もが利用できる形で制度化したいという考え方にシフトしました。
本来の規定では勤務時間が9:00~17:30分ですが、在宅勤務者は勤務時間を1時間前倒しができるように。それによって「定時より1時間早く仕事を終えることができ、子供と過ごす時間が増えた」という声が多く挙がったとのことです。
その他にも、テレワークでは外線電話の取次対応等がなく、集中して業務に取り組むことができるため、作業効率が向上することを実証できました。
本格導入前のトライアルで分かった課題は、書類の電子化の必要性。特に精算、経理関連でははまだ紙で行うことが多いため、電子化ができればより多くの業務がテレワークで実施できるようになるということです。
世界中から多様なジャンルの高スキルママを積極採用し、事業拡大中!(Mamasan&Company/サービス)
400人以上のスタッフのほとんどがテレワークで勤務しているというMamasan&Company。勤務地は日本だけでなく、欧州や東南アジアで勤務しているスタッフも在籍しています。
そのスタッフの90%は育児中のママ。自宅でも働けるシステムによって、「キャリアを積み上げてきたのに出産や育児によりフルタイムでの出勤できなくなった」という事情で働くことができない、様々なジャンルからスキルの高い人材を採用することに成功しています。
そのビジネスモデルにより、同社はバックオフィスBPO業務、コールセンター業務、Eコマースサポート、システム開発、デザイン業務など多岐に渡る業務を展開でき、単体業務を請け負うのではなく、運用の改善、システム構築なども提案できています。
テレワークでも1人の判断で行動するのではなくチームで業務を担当。チャットツールでこまめに連絡を取り、月に1回の会議や定期的なオフ会を開催し、本社スタッフ、テレワーク勤務スタッフ同士のコミュニケーションを図っています。
さらにはテレワークのノウハウを活かし「テレワーク導入検討企業向けセミナー」を開催するなど事業を拡大中です。
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【前編】国内・海外在住のママ”300名”が「在宅ワーク」 Mamasan & Companyが実現した育児との「両立方法」
【後編】ルール化とコミュニケーションで「テレワーク」は上手くいく Mamasan & Companyが行き着いた”まずはやってみる”の精神
全社員がテレワーク対象!残業60%減や地方移住促進など先進的!(ネットワンシステムズ株式会社/情報通信)
2011年4月に、いち早くテレワーク制度を導入しているネットワンシステムズ。どこれあれ、最も生産性が高まる場所で働くことを推奨するポリシーの下、オフィスと同等の環境をツールを活用してテレワークを実施しています。
具体的には、仮想デスクトップ環境の確立、ビデオ会議、Web会議、内線電話をスマホと連携、クラウド型タレントマネジメントシステム、デバイスの支給、ICTヘルプデスク(24時間体制)の設置などで、テレワーク時には所定労働時間を勤務したものとみなし、労働時間帯は勤務者に合わせてフレキシブルに勤務できます。
テレワーク時は原則的に残業を禁止し、長時間労働にならないよう生産性を向上させるためのICTツールを活用し、1人当たり残業時間を約60%減少させることに成功しています。
地方創生の推進に寄与している点もポイント。実務省が推進する「ふるさとテレワーク」の取り組みを開始したり、静岡市と連携し地方移住促進の実験もしています。
四肢不自由で通勤困難な優秀エンジニアを全国から採用できる!(株式会社沖ワークウェル/情報通信)
1998年にOKIの社会貢献活動の一環で、「障害のため通勤が困難でも、IT技術のある人はネットワークを活用すれば仕事をすることが十分可能である。そのような仕組みを作ることが、OKIらしい社会貢献活動である」という趣旨で、障害者の在宅雇用を開始した沖ワークウェル。
自社開発システムによるバーチャルオフィスで労務管理を確保し、コミュニケーションが取りにくい、孤独を感じる、などのテレワークならではの課題を解消こと在宅勤務ならではの課題を解消しています。
クライアントのとの打ち合わせも、コミュニケーションシステムを使って全国の在宅勤務者も自宅から打合せに参加し、チームでソフトウェアの開発に取り組んでいます。
これにより、全国から優秀な技術者を安定して採用できたり、親会社が法定雇用率を安定してクリアできるようになりました。
また、重度障害者の在宅勤務導入を検討する他企業の支援、特別支援学校(肢体不自由)と連携した、出前授業、遠隔職場実習等のキャリア教育を実施するなどの社会貢献活動も行えています。
まず管理職がテレワークを実施することで制度が定着!自治体テレワークの先駆者(佐賀県/地方自治)
民間だけではなく、自治体でもテレワークを導入しているところもあります。平成20年1月から全国に先駆けて在宅勤務制度を導入した佐賀県。当初は育児・介護中の職員が在宅勤務の対象で、その後全職員が利用できる制度に変えたものの利用者が少なく、なかなかテレワークが浸透しませんでした。
そこで平成25年8月、管理職を対象に週1回以上のテレワークを促進。県内外13か所のサテライトオフィスを設置しテレワーク推進のための実証事業を一斉展開、そして平成26年10月からはタブレット端末やテレワーク基盤を大幅に増強、全庁全職員を対象にテレワークを推進しています。
これにより、災害時に公共交通機関が麻痺する中でもテレワークで業務を継続することができた、子どもの保育園が休みになってしまっても在宅勤務ができた、という声や、出張の空き時間に最寄りのサテライトオフィスを活用できたことにより、本来なら職場に戻る時間を業務に充てることができた、などの生産性向上につながっています。
また、災害情報を県のホームページに掲載する際、自宅からでも情報を掲載できるようになり、県民に迅速な情報提供が可能になるなど、県民にも有益な効果をもたらしています。
勤務者の不便や不安を払拭できれば、テレワークは成功する!
以上、テレワークを上手に導入している事例をご紹介しましたが、これらの成功事例では共通してテレワーク勤務者の不便や不安を払拭できる制度やシステムを構築しています。
そして社員が「働きやすい職場」と感じられることによって優秀な人材が集まり、生産性が高まり、社会貢献もできるように。今後は、テレワークの成功が企業の成功に直結するのかもしれません。
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