少子高齢化社会を迎えた日本では、人手不足の問題を補うため、ビジネスの現場において生産性の向上が最大の課題となっています。ビジネス用語としても定着している「業務効率化」について見直す企業も多く、社内でも身近に感じる機会が増え、業務効率化の推進について、職場でも一度は議題に挙がったことがあるのではないでしょうか。
しかしいざ取り組んでも、簡単に効果がでるものではありません。成果を得るまでに多大な時間と労力を要してしまうこともあり得るのです。また、コロナ禍に伴う職場環境の変化で業務効率化が滞っている企業も多いのでしょうか?
業務効率化は、その手順や具体的な実践方法について、正しい手順を踏まないと逆に業務効率が落ちる可能性もあります。
この記事では、業務効率化を導入する前にすべき3つのことや業務効率化を成功させる3つのアイディア、そしておすすめのITツールなどをご紹介します。
ビジネス用語の「業務効率化」とは?
ビジネス用語の業務効率化とは、会社の業務を進めるためのプロセスから無駄となっている部分を省き、よりスムーズに業務ができるような状態にすることで、あらゆる業務を効率化し生産性を高めていくことです。
例えば、ITツールの導入や自動化、社外へのアウトソーシングなどの企業全体で取り組む業務効率化は導入から実践まで時間がかかりますが、個人的にすぐにできることには、会議時間の短縮やPC操作時にショートカットキーを使用するなどの時短テクニック活用なども業務効率化の1つになるのです。
「業務効率化」と「生産性向上」は似た意味で使われますが、「業務効率化」は、「ムリ」「ムダ」「ムラ」を排除し、業務に要する時間的・経済的コストを抑えることで、「生産性向上」は、より少ないリソースで、これまで以上のパフォーマンスを得ることです。生産性向上」のための1つの施策として位置づけられるのが、「業務効率化」なのです。
業務効率化の効果がきちんと出る導入前にすべきこと3つ
企業全体で業務効率化を進めようとすると、マニュアルの作成や新しいITツールを導入する必要があり、簡単にできるものではありません。しかし、業務の効率化が適切に行われ定着すれば、取り組みの際にかかった時間や労力のコストを十分に取り戻せるほどの効果が期待されます。そのためには、業務効率化の効果がきちんと出るようにするためにやるべきこと3つをご紹介します。
⒈現状を把握して業務の可視化をしてみましょう
まずスタートラインになるのが、現状の把握と業務の可視化(見える化)です。全体像を正しく把握し、「何をどのように」合理化・効率化させれば良いかを考えてみましょう。
例えば、「担当部署・担当者」「作業に要する時間」「発生する頻度」「作業工程」や「使用しているツール」「必要なスキル」などを詳細に洗い出すことで、業務効率化に向けて正しい改善プロセスを描くことが出来るようになります。可視化が甘いと導入に失敗する可能性が高まるため、各部署でしっかり洗い出しましょう。
⒉どの業務を効率化するのか優先順位を決めましょう
現状の把握と業務の可視化が終わったら、次はどの業務を効率化させるのか、何がボトルネックになっているかを特定し、どの業務から業務効率化すべきか優先順位を決めましょう。ポイントは、定型化が図りやすい、発生頻度が多い、マニュアル化しやすいといった業務(効果が見えやすい業務)を優先することです。
例えば、社員同士で重複して行っている作業がある、同じような作業が数回発生するなどがあります。一般的にこれらの工程には「ムダ」が潜んでいる可能性が高いと言えます。担当者以外にできない業務がある場合は、その人の異動や退職などを考慮して属人的な業務として課題にすべきです。時間がかかりすぎている業務なども洗い出します。コアではない業務は、できる限りアウトソーシングすることも効率化に繋がります。
⒊スケジュールを立て、社内で共有しましょう
業務効率化する業務の優先順位を決めたら、いつまでに時間や工数を削減するのか?を明確にしましょう。重要なポイントは、いつまでに既存業務の効率化を図るかを明確にしておかなければ、課題が先延ばしにされて解決されないままになりかねません。
すぐに取り掛かれそうな社員同士で重複して行っている作業などは、重複している工程を省くことなどができれば、コストをかけずすぐに業務効率を改善することが可能です。
業務効率化にいつから取り組むのか?いつまでに効率化を図るのか?実現に向けて無理のない範囲で最適なスケジュールを立てて、社内で共有することが重要です。
業務効率化を成功させる3つのアイディア
業務効率化を成功させる3つのアイディアをご紹介します。
1. 業務のマニュアル・フローチャートを作成する
「何から手を付けていいか分からない」という場合は、まず業務の洗い出し、マニュアル化、フローチャート化といった資料の作成から取り掛かりましょう。
こうした現状の把握と業務の可視化(見える化)は効率化において基本であり、どんな局面でも大きな役割を果たします。業務効率化は1回やれば終わりというものではなく、日々工夫と失敗を繰り返してゴールを目指すものなので、改善の土台としてもこうした資料作りは必須なのです。
2. 業務の優先順位を決定し、自動化やIT化を検討する
効率の良い作業を行う場合に「迷い」は効率化の天敵です。1日の業務をスタートする前に、何をどういう順番で処理するべきか、その優先順位を決定しておけば迷いなく進められます。
単に締め切りが遅い業務を後回しにするのではなく、どの程度の時間を要する作業か、万が一その業務が時間内に終わらなかった場合、どのような影響が出るかなどを総合的に判断して優先順位を定めないと、予期せぬアクシデントが起こり、逆に業務効率を下げてしまうことも覚えておきましょう。ルーティン業務などは、自動化やビジネスチャットツールなどで簡単にできるものについては積極的に取り入れましょう。
3. データベース化し社内で情報共有をする
データベースの作成と活用も業務効率化には重要です。複数の社員が活用できるような汎用的な情報(例えば顧客名簿など)はぜひデータベース化し、みんなが閲覧できる状態にしておきましょう。例えば、ある社員が知っている情報を、別の誰かが知らないために検索するなどのムダな時間が生じるようなケースも往々にしてあるからです。
また、社員が異動や転職した場合にも、こうしたデータベースが用意してあれば後任への引き継ぎがスムーズになるという利点もあります。ただし、データベースの運用には、重要な情報が外部に流出してしまったりすることを防ぐために、閲覧者の制限や記入の際の表記など、いくつかのルールを制定する必要があり管理が大変です。情報共有は、セキュリティレベルが高いビジネスチャットツールなどを導入することもおすすめです。
業務効率化におすすめなビジネスチャット・タスク管理ツール4選
業務効率化におすすめなビジネスチャットとタスク管理ツール4つをご紹介します。自社でどのような業務効率化が必要か分かったらぜひ導入してみましょう。
ビジネスチャットツール
⒈自分がやるべき仕事をワークボードで管理しプロセスを見える化して業務効率化「Tocaro」
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社がサービスを提供する「Tocaro」は、仕事のプロセスを可視化し、生産性を大幅に向上できるビジネスチャットツールです。通信暗号化や定期監査を徹底することで堅牢なセキュリティを実現しており、Enterpriseプランでは、より多彩な管理・バックアップ機能も用意しています。
先端的な暗号化アルゴリズムによってモバイル端末のキャッシュデータからサーバーに保管するログまであらゆるデータは不可逆的に暗号化されており、情報共有におけるグローバルスタンダードの安全性をどのプランのユーザーにも提供されています。
プロジェクトをチームで進めるときに必要なタスク機能や、作業の進捗状況などをリアルタイムで定量化してそのプロセスを見える化できる機能が搭載されています。
また世界中の数十万社が利用するセキュアなファイルストレージサービスBoxと合わせて使えば、、Tocaro上でのやり取りで共有された全てのファイルをTocaroサーバー上に残すことなく、お使いのBoxフォルダー内に全て蓄積させることも可能になります。
Tocaro:https://tocaro.im
⒉LINEとつながる唯一のビジネスチャットで誰でも簡単に使える「LINE WORKS」
ワークスモバイルジャパン株式会社がサービスを提供する「LINE WORKS(ラインワークス)」は、LINEと同じ使い勝手で導入したその日から誰でもすぐに使えるビジネスチャットツールです。LINEおなじみのチャットやスタンプは、多くの現場で楽しい職場づくりをサポートしています。
グループで共有できるノートや予定、フォルダの機能を活用すれば、無駄のないコミュニケーションも可能となり、LINEや他社のLINE WORKSユーザーとのトーク機能で、さらに社外とのつながりも広がります。
トークやメール、アドレス帳、ホーム(掲示板)での社内通知、メンバーの予定が把握できるカレンダー、ファイルを閲覧できるDriveなど業務の効率化に必要な機能が満載。セキュリティにおいてはユーザーの利用履歴をモニタリングできるためリスクを事前に察知し、トラブルが発生したあとの追跡も迅速に行えます。
PCは苦手だが、LINEであればつかえるという学生インターンや20代の社員が多いカジュアルな企業におすすめです。
LINE WORKS:https://line.worksmobile.com/jp/
タスク管理ツール
⒊複数のプロジェクトをふせんで可視化しルーティンは自動化「Asana」
Asanaがサービスを提供する「Asana」は、世界195カ国で何百万人ものユーザーが利用しているツールです。どのような場所からでも、タスクを整理し、変化する業務の優先順位を管理するなどの作業がしやすくなっています。
また、タスクの設定や割り当てを全て1カ所で行うことも可能です。進捗状況が常に全員で把握できるので、チーム一丸となって効率的に取り組めるツールです。Asanaはシンプルで見やすいデザインが人気のタスク管理ツールですが、最大の魅力はAsanaならではの、オートメーション機能など独自の機能があることです。
面倒な手作業を自動処理してくれるオートメーション機能も搭載しているので、単純作業・反復的な作業はルールを設定するだけでシステムによる自動化にすることが可能です。独自ルールの設定は数秒で完了でき、専門的な知識を必要とせずにステップに沿って入力するだけで自動化が実現可能なので、手軽に業務効率化を図ることができるでしょう。
Asana:https://asana.com/ja
⒋ルーティンワークは繰り返しタスクとして設定が可能「Taskworld」
Taskworld株式会社がサービスを提供する「Taskworld」は、タスク管理をオールインワンで解決できる豊富な機能をもつプロジェクト管理ツールです。世界基準のタスク・プロジェクト管理に対応しています。
直感で操作できるのが特徴です。横断的でシームレスな仕事を可能にし、テレワークでの業務効率向上もサポートしています。直感的な操作にも特化しており、チーム全体の業務効率を底上げするのに役立つでしょう。プロジェクトの内容や性質に合わせて柔軟に活用できる機能・設定が充実していて、プロジェクトそのものは、複数の関連するタスクをまとめることで1つのプロジェクトとして管理出来ます。
業務の進行に役立つタスク管理機能を豊富に搭載して、タスクには期限や担当者を適宜設定できるだけでなく、ルーチンワークは繰り返しタスクとして設定が可能です。タグや色付きラベルを使ったタスク整理、関連するタスクをグループとして整理できるタスクリスト、タスクの難易度・複雑度設定など、単にタスクを立てるだけでなく、業務効率化に繋がる豊富な機能が満載です。
あらゆるタスクやレポートを視覚的にチームメンバーと共有・管理できる機能が人気です。
Taskworld:https://taskworld.com/ja/
会社が抱えている問題をしっかりと把握・分析して業務効率化を目指しましょう
業務効率化は、すぐに売上に直結しなとこともありどうしても後回しになってしまうことがあります。しかし、ロスが多く業務のコストが肥大化してくると、経営を圧迫しビジネスに大きな影響を与えることにもなりかねません。
業務効率化のメリットとして、業務時間・経費の削減と従業員のモチベーション向上、新規ビジネスへの注力などがあり、いずれも企業が厳しい市場競争に打ち勝っていく上で不可欠になってくるものです。
業務効率化を図ることで、長期的には生産性が上がりやすいスリムな経営体質になり、収益性も上がるようになります。この機会に業務効率を見直してみてはいかがでしょうか。