テレワークの3種類を徹底解説。そのメリットやデメリットは?

新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、多くの企業が導入し、今では社会に定着しつつあるテレワークという働き方ですが、働き方改革関連法案がまとまった頃から、日本政府が推進する働き方改革の一環としてテレワークを導入している企業もあります。

働き方改革は労働力不足の解消を目的として、労働人口減少への対策や生産性の向上を目的にテレワークの導入が進められています。テレワークを活用し多様な働き方を実現することで、働き手を増やす、生産性の向上、出生率の向上が期待されています。

その中でも今回はテレワークの導入を進めるにあたり、どのような種類がテレワークにはあり、また、実際に実施するにあたって期待されるメリットと、注意しなければならないデメリットついて見ていきましょう。

雇用型の代表的な3種類のテレワーク

テレワークには大きく分けて2種類あります。それは雇用型と非雇用型です。一般的に使われるテレワークは雇用型とされ、3種類に分類されます。まず、雇用型のテレワーク3種類をみていきましょう。

1. 在宅勤務

在宅勤務とは、会社のオフィスに出勤をせずに、自宅を就業場所として働く勤務形態のことをいいます。主にノートパソコンなどのIT機器を使って作業し、会社との連絡は、インターネットを使ったコミュニケーションツールや電話、FAXなどを使って行います。

今のところ、全社員在宅勤務で一切出社しないという働き方を導入している企業は少なく、対象の社員に対して週に1~2日ほどを実施している企業が多いようです。職種はエンジニアやプログラマーなど、パソコンを使う専門職の人が向いているといわれていますが、他にもさまざまな職種で実施されています。

自宅で勤務をすることで、仕事と家庭のオンオフの切り替えが難しく、業務効率が低下することがあります。予め在宅勤務する従業員のためのガイドラインなどを作成しておくことで、在宅勤務のデメリットを低減させることができます。

2. モバイルワーク

モバイルワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して時間や場所に縛られずに働く、可動性のある働き方のことを指します。特に営業職の方のように、顧客先での勤務が多い人が、移動中や顧客先、カフェなどを利用して働く働き方です。この働き方を取り入れることで、作業効率や顧客満足度の向上が期待されます。

3. サテライトオフィスワーク

サテライトオフィスワークとは、所属するオフィス以外の他のオフィスや遠隔勤務用の施設で働くことを指します。サテライトオフィスなどに通うための通勤時間は発生しますが、施設は本社や支社よりも近い場所にあることが多く、通勤時間は短くなるのが一般的です。

周囲に同じようにテレワークで働く人がいることで、テレワーカーが孤立感を感じづらく、自宅に就業環境を作れない人でも受け入れられる点は、経営者側からみてもメリットと言えます。さらに、サテライトオフィスを設置すれば、モバイルワークで働く従業員の臨時拠点として利用できることもメリットです。作業効率の向上はもちろんですが、遊休施設や空き家を活用することにより、地方創生にもつながると注目されています

デメリットとしては、オフィスの賃料や利用料が発生することが挙げられます。賃料の安い郊外エリアに施設を作るなど立地を考える必要があるでしょう。また、コワーキングスペースのような共同利用オフィスの場合、ショルダーハッキングと呼ばれる画面覗き見や、端末の紛失、置き忘れによるセキュリティ事故発生のリスクが増大する可能性があります。

非雇用型のテレワークは2種類に分類される

雇用型と異なる、非雇用型と呼ばれるテレワークもあります。個人事業主などが、ICTや情報通信機器を使って働くスタイルです。フリーランス、在宅ワーカー、ノマドワーカーなどとも近い働き方です。テレワークにおいては次の2種類の名称で分類されています。

1. SOHO

専業性、独立自営の度合いが高い人の自営型テレワークの形はSOHOと呼ばれています。特徴は特定の事業に従事し、個人事業主的経営者意識が高く、営業活動や宣伝活動にも積極的であることです。自宅やレンタルオフィスで仕事をしますが、取引先へも必要に応じて出向きます。

2. 内職副業型勤務

専業性が比較的低く、容易な業務を中心に行うスタイルの自営型テレワークは、内職副業型勤務と呼ばれます。案件はクラウドソーシングサイトなどから探すことが多く、得られる収入もSOHOに比べると低めです。副業として行っている人もいて、ほとんどの場合は自宅内で仕事を行います。

テレワークで期待される5つのメリット

ここまで、テレワークの種類について見てきました。実際にテレワーク導入を考えている方は、テレワークを導入する際にどのようなメリットがあるのか気になると思います。ここではテレワークを行なう際に期待されるメリットを5つ紹介します。

通勤時間の削減

テレワークを実施することによって、通勤にかかる時間やコストを削減することが可能です。特に往復で数時間など長時間の通勤時間がかかっていた場合には、通勤時間の削減によって、業務への集中力を向上させることが可能です。結果として生産性が向上すると期待できます。通勤時間は同乗者とのトラブルや遅延など、精神的面でも悪影響を受けることも少なくありません。通勤によるストレスを無くすことができます。

人材確保

テレワークの実施によって、親の介護やパートナーの転勤などの事情により、通勤が難しくなってしまう人の雇用を続けやすくなります。企業にとっては、優秀な人材を確保できるというメリットがあります。従業員の場合は、世界中のどこにいても業務に取り組むことが可能です。また、場所を選ばず、日本全国の優秀な人材を採用し、個人の事情にも柔軟に対応できるため、人材不足の解消にも繋がります。

モチベーションの向上

テレワークの場合、自分の思い通りの作業スペースを整備することができます。働きやすい環境での仕事が可能となれば、モチベーションが向上します。テレワークの休憩中に運動を行ったり、自己啓発の時間を作ることも可能です。また、働く場所を自分で選べるので、集中しやすい環境を選んで、業務に取り組むこともできるでしょう。

離職率の低下

育児や介護を理由にして、仕事を退職しなければならなかった場合でも、テレワークによって、退職せずに、仕事を続けられるようになります。企業にとって離職率が低下すると、企業のイメージもよくなります。従業員もワークライフバランスを実現することが可能になり、仕事に対する満足感向上により、離職を選択する人も減ります。

企業の固定費を削減

完全にテレワークが定着すると、企業におけるデスクやイス、交通費などが不要となり、通信費や光熱費の負担も減らすことができます。また、パソコンやタブレット、スマートフォンを利用して仕事を行うため、ペーパレスが実現でき、固定費を削減できます。

また、完全にテレワークを実現できると、オフィス自体不要となるため、大きな負担である家賃費用を削減することができます。コワーキングスペースなどを活用する場合でも、利用回数や利用時間での契約にすれば、オフィスを設けずに、最小限の費用に抑えることができます。

テレワークに潜む代表的なデメリット

テレワークを導入する際に必ず知っておかなければならないのがデメリットです。メリットも多いテレワークですが、実際に導入してみると思わぬ課題に直面することもあるでしょう。事前にデメリットを知っておけば、リスクヘッジもでき、スムーズにテレワークを導入することができるはずです。では、テレワークのデメリットについて見ていきましょう。

情報漏洩のリスク

テレワークでは、顧客情報や機密情報を含む、全ての情報のやり取りを、インターネットを介してすることになります。顧客の情報が外部に流出するようなインシデントが発生した場合、その補償のための費用が必要になったり、顧客の信頼を失ってしまいます。セキュリティ対策が不十分な場合や、従業員の危機意識やスキルが低い場合、情報漏洩のリスクが高まります。テレワークの導入前に、想定されるリスクの種類や大きさについて考えておく必要があります。

労働実態の把握

テレワークを導入すると、管理の目が行き届かなくなり、従業員の働きぶりを把握しにくくなります。裁量労働制を導入しても、怠けたり、適当な報告をするリスクを払拭することはできません。労働実態の把握は、給与計算や従業員の評価、従業員管理に関わる問題ですので、テレワークに則した評価基準を改めて設けることが、テレワーク成功の鍵を握るといえます。

人材育成

テレワークでは、従業員に対して、経営者が直接指導することや企業理念を共有する機会が減り、将来を担う人材の育成などが難しくなります。従来のように上司が部下に背中を見せるといった教育もできなくなるため、部下の成長機会が失われる懸念があります。モチベーションやノウハウの共有もオフィス勤務の方がしやすく、テレワーク勤務者と差がつきやすいため、公平になるような仕組み作りや、管理者の意識向上が求められます。

組織力が低下する

テレワークの従業員とオフィス勤務の従業員との間ではコミュニケーションが不足しやすくなるため、組織の連帯感が下がったり、仕事に対する熱意が低下することも考えられ、企業の組織力を低下させることになります。各個人で完結するような仕事が多いため、チームで仕事をするという意識の低下や、仲間と目標を達成するという意欲が低下する可能性もあります。

プロジェクト・タスク管理

オフィス勤務者とテレワーク利用者合同でプロジェクトを立ち上げる場合、プロジェクトの管理方法を考える必要が出てきます。全員が協力してプロジェクトを進められる管理方法が整わなければ、円滑に作業をこなしていくことができません。また、プロジェクトメンバーのタスク管理をする方法を確立しなければ、テレワークでプロジェクトをスタートさせる際に大きな問題となります。業務形態に合ったITツールの活用を検討する必要があります。

これからの時代に求められるテレワークという働き方

以上見てきたように、テレワークの3種類にはそれぞれ特徴があり、そして、容易に見えるテレワーク導入にもメリットとデメリット共に多くあります。メリットだけ見ると様々な恩恵がありそうですが、実際に導入を検討されているのであれば、デメリットも考慮した上で、各企業が最適な働き方を導入していくことが大切です。

これからの時代は従業員自らが生産性を高められる場所を見つけながら、働く場所を選択していくようになると考えられます。企業は、自社にはどんな働き方が求められているのかを把握し、従業員がより柔軟な働き方を実現できる制度を整えて行くことが重要です。是非、この機会にテレワーク導入の可能性を検討してみてはいかがでしょうか。

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