今回は、経済産業省が2019年に経営者や社内の関係者がDXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するものとして策定した「DX推進指標」について解説していきます。
経済産業省はなぜ「DX推進指標」を策定したのか?
これまでもDX推進の課題については解説をしてきましたが、現在の日本においては経営者がDXの必要性を認識し、DXを推進する取り組み自体は見られるものの、実際には検証に留まり本来の狙いであるビジネス変革に繋げられていない状況にあります。
このような状況を受け、経営者や社内のDX推進者に現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するべく「DX推進指標」を策定されました。
「DX推進指標」とは実際どのような内容か?
経済産業省が策定した「DX推進指標」は、DX推進を目指す企業が簡単な自己診断を行うことを可能にするもので、各項目について、経営者や事業部、DXを推進する部門やIT部門などが議論をしながら回答することを想定し、作られています。
DX推進指標は、「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」の2つで構成されており、日本企業が直面しているDXを推進する上での課題やそれを解決するために押さえるべき事項を中心に項目を選定しています。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html
「DX推進指標」をどのように社内で利用するか?
経済産業省では、DX推進指標は「認識共有・啓発」「アクションにつなげる」「進捗管理」という3段階に分けて活用することを想定しています。
1, 認識共有・啓発
まずはじめに、DX推進指標を構成する「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」に関して、経営層や事業部、DX部門、IT部門などDXに関わる関係者が集まって議論をしながら、それぞれの間での認識共有や社内における今後のDXの方向性について議論を活発化させます。
2. アクションにつなげる
次に、DX推進指標を元に行った議論を通じて共通認識出来た自社の現状や課題に対して、今後どのようにしていくべきかをしっかりと話し合い、実際のアクションにつなげていきます。
3. 進捗管理
アクションを開始してからは、一定期間をおいて再度DX推進指標を元にした診断を行い、当初想定したアクションプランと実行できたアクションの達成度合いを継続的に評価し、自社のDX推進状況を管理していきます。
良い点を出すことではなく、社内での共通認識とアクションが重要
DX推進指標は、ビジネスモデルそのものを評価するものではなく、企業の変化への対応力を可視化するものです。
そのため、指標において良い点数を取ることを目的にするのではなく、DX推進指標を活用した自己診断を通じて全社でDXに関わる現状や課題の認識を共有し、アクションにつなげていくことが重要となります。