あなたはきっと業務で利用するツールが増えすぎて必要な情報がどこにあるかわからない、あるいは通知が多すぎて本当に重要な情報を見落としてしまう、またビジネスチャットを導入したものの期待したほど業務効率が上がらないといった課題を感じているのではないでしょうか。
ビジネスチャットは、チームのコミュニケーションを円滑にする強力なツールです。しかし、その真価は「連携」によって初めて発揮されます。単なるメッセージ交換の場としてではなく、利用中の他の業務システムと連携させることで、情報の一元化とワークフローの自動化を実現し、あなたのビジネスを次のレベルへと押し上げます。
この記事では、「ビジネスチャットの連携」がなぜ現代ビジネスにおいて必須なのかを解説し、具体的な連携の種類、導入効果最大化のためのステップ、そして連携機能に優れたおすすめツールをご紹介します。
なぜ今「ビジネスチャットの連携」が必須なのか?
現代の企業活動では、プロジェクト管理ツール、SFA/CRM、グループウェア、ファイル共有サービスなど、多くのSaaS(Software as a Service)が使われています。これらのツールが個別に存在することで発生する「情報の分断(情報サイロ化)」こそが、非効率の最大の原因です。
⒈情報サイロ化の解消と集中力向上
連携によって、異なるシステム間で情報が自動的に共有され、情報サイロ化が解消されます。
集中力の維持という点で、業務のステータスや通知を、ビジネスチャットの一つの画面で確認できるようになります。これにより、メールや複数のシステムをチェックする手間が減り、集中力を途切れさせることなく、本業に専念できます。また、「待ち時間」の削減にもつながります。承認や確認が必要な情報が自動でチャットに流れ込むことで、担当者間の「待ち時間」がなくなり、プロジェクトの進行スピードが向上します。
ワークフローの自動化と生産性の劇的向上
連携は、単純な通知機能に留まりません。複雑なワークフローを自動化し、手作業によるミスをなくします。
連携による自動化は、具体的な効果をもたらします。例えば、プロジェクトの進捗が自動で通知されるようになることで、定例報告会の準備時間が不要となり、進捗状況が常に可視化されます。また、顧客対応においては、SFAやCRMとの連携により、新規リード獲得時や商談が進展した際にチームへ自動で通知が送られ、対応漏れを防ぐことができます。さらに、勤怠や経費精算の承認フローをチャットと連携させれば、チャット上で申請内容を確認し、「承認ボタン」を押すだけで処理が完了するなど、手続きが大幅に簡略化されます。
このように、ビジネスチャットと各種システムとの連携を深めることで、ルーティンワークにかかる時間を大幅に削減し、社員がより創造的で価値の高い業務に注力できる環境を整えることができます。
2. 実現したい目標別に見る「連携」の種類と具体的な活用法
ビジネスチャットの連携は大きく分けて、外部SaaS連携と社内システム・データ連携の二つがあります。
外部SaaS連携:標準機能で即座に生産性を高める
これは最も一般的な連携方法です。多くのビジネスチャットには、主要な外部SaaSとの連携機能(インテグレーション)が標準搭載されています。
(1) プロジェクト・タスク管理ツールとの連携
プロジェクト管理ツール(例:Asana、Trello、Jiraなど)との連携では、「タスクの期限が迫っている」「ステータスが完了に変更された」などの更新情報が、指定のチャネルに自動投稿されます。これにより、プロジェクトメンバー全員がリアルタイムで状況を把握できます。
(2) ファイル共有・クラウドストレージとの連携
ファイル共有サービス(例:Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)との連携では、ファイルの共有リンクをチャットに貼り付けるだけで、プレビュー表示が可能になったり、更新通知を受け取ったりできます。これにより、最新版のファイルを探す手間がなくなります。
(3) 開発・運用ツールとの連携
開発・運用ツール(例:GitHub、Zendesk、New Relicなど)との連携では、開発リポジトリへのコミット、本番環境でのエラー発生、カスタマーサポートへの新規問い合わせなど、重要なシステムイベントを即座にチームに通知し、迅速な対応を可能にします。
社内システム・データ連携:APIを活用した高度な統合
基幹システムや自社開発ツールなど、独自の社内システムと連携させることで、真の情報一元化が実現します。
(1) Webhookを活用した「プッシュ型」通知
Webhook(ウェブフック)は、システム側で特定のイベントが発生した際に、ビジネスチャット側へリアルタイムでデータを「プッシュ(送信)」する仕組みです。これを利用した活用例としては、在庫管理システムからの「在庫が一定数を下回った際のアラート通知」や、ECサイトからの「大口注文が入った際の即時通知」、さらには人事システムからの「新規入社者の情報が登録された際の歓迎メッセージ自動投稿」などがあります。
(2) API連携による双方向のデータ操作
より高度な連携は、API(Application Programming Interface)を利用して実現します。APIを使うと、チャットからシステムへデータを「取得」したり、「登録・更新」したりといった双方向の操作が可能になります。具体的な活用例として、チャット内で「今日の売上は?」と入力するとSFAからデータを取得して回答するボットの作成や、チャット内から簡単なコマンドを送信し、社内システムのサーバーを再起動するといった操作が可能になります。
失敗しないビジネスチャット連携の進め方
単に連携機能をONにするだけでは効果は限定的です。戦略的なアプローチが必要です。
⒈連携の「目的」を明確化する
「とりあえず連携する」ではなく、「何を解決したいか」を定義します。
悪い例: 「プロジェクト管理ツールとチャットを連携させたい」
良い例: 「タスク完了時の報告漏れをなくし、マネージャーの進捗確認時間を1日1時間削減するために、タスク完了通知をチャットに集約する」
削減したい時間やコスト、解消したいミスの種類など、具体的なKPIを設定することで、連携の優先順位が明確になります。
⒉セキュリティとガバナンスの確保
連携は便利ですが、情報の拡散リスクも伴います。特に社内システムとの連携では、セキュリティ設定が重要です。
セキュリティとガバナンスを確保するためには、二つの側面から対応が必要です。一つはアクセス権限の管理で、連携による通知やデータアクセスは、特定のメンバーや部署に限定し、機密性の高い情報は連携対象から除外するか、閲覧権限を厳しく設定する必要があります。もう一つは履歴の保持で、どのようなデータが、いつ、誰によって連携されたかの履歴(ログ)を保持し、監査できる体制を整えることが重要です。
⒊スモールスタートと利用ルールの徹底
全社一斉に大量の連携を開始すると、通知の洪水になり、かえって業務効率を下げる可能性があります。
まず、最小限の連携から開始することが肝心です。最も課題が大きい部門や、影響度の高いツール(例:プロジェクト管理)との連携から始めましょう。次に、通知ルールの徹底が必要です。「このチャネルには、このツールからのこの種類の通知だけを流す」というルールを徹底し、ユーザーが通知のオン/オフやフィルタリングを柔軟に設定できる機能も活用することで、通知の洪水になるのを防ぎます。
連携力に優れたおすすめビジネスチャット5選
ビジネスチャットの連携を検討する際、特に「連携の柔軟性」「APIの公開度」「利用できる外部ツールの多さ」が重要な選定基準となります。ここでは、連携力に優れたツールを5つご紹介します。
1. Tocaro(トカロ)



Tocaroは、単なるチャット機能に留まらず、「プロジェクト管理」「ファイル共有」「タスク管理」を統合したオールインワン型プラットフォームとして設計されています。連携設定なしに、チャット内でプロジェクトに必要な情報が完結するため、情報の一元管理を重視し、情報サイロ化を未然に防ぎたい企業に最適なツールです。全ての機能が一つのプラットフォームに統合されているため、情報が分散するリスクが極めて低く、セキュリティ統制が容易です。また、チャットでの議論からワンクリックでタスクやプロジェクトを生成でき、議論が「どこまで進んだか」「何をすべきか」が明確になり、生産性向上に直結します。
ファイル共有に特化した機能も充実しており、クラウドストレージに分散しがちなファイルもチャットに関連付けて確実に管理できます。「セキュリティと管理性」、現場が求める「使いやすさ」を両立しており、特に情報の一元管理とプロジェクトの可視化を課題とする企業におすすめです。
▶ 公式サイトはこちら: https://tocaro.im/
2. Slack(スラック)



Slackは世界的に高い人気を誇るツールであり、何よりも外部サービスとの連携機能(インテグレーション)の豊富さが群を抜いています。1,000種類以上のアプリが揃う「Appディレクトリ」を持ち、ほぼすべての外部SaaSとの接続が可能です。特にAPIの公開度が高く、自社で開発したBotやカスタム自動化の構築が容易なため、柔軟な連携や高度なワークフローを実現したい開発部門や技術部門の連携には最強の選択肢の一つです。
▶ 公式サイトはこちら: https://slack.com/intl/ja-jp/
3. Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ)



Microsoft Teamsは、Microsoft 365(旧Office 365)の標準ツールとして提供されており、すでにM365を導入している企業にとって、最もシームレスに導入できる選択肢です。Outlook、SharePoint、Word/ExcelなどのMicrosoft製品との連携は群を抜いてスムーズです。Web会議やファイル編集がすべてTeams内で完結し、Office製品との親和性を重視する企業に最適です。また、Power Automate(旧Microsoft Flow)を利用することで、ノーコードで様々な外部SaaSや独自のワークフローを構築・連携できる拡張性も魅力です。
▶ 公式サイトはこちら: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/
4. Chatwork(チャットワーク)



Chatworkは非常にシンプルで直感的なUI(利用者インターフェース)が特徴で、国内の中小企業を中心に高い導入実績があります。複雑な機能が少ないため、ITリテラシーに関わらず現場での定着が早い点が魅力です。特徴的な機能として「タスク管理」がチャットと一体化しており、メッセージからワンクリックでタスク化できるため、コミュニケーションと業務を直結させやすい構造です。主要な外部SaaSとの連携に加え、APIも公開されており、社内システムとの接続も可能です。
▶ 公式サイトはこちら: https://go.chatwork.com/ja/
5. LINE WORKS(ラインワークス)



LINE WORKSは、普段使いの「LINE」とほぼ変わらない直感的で使いやすい操作性(UI/UX)を持つため、現場社員のITリテラシーに関わらず導入後の定着がスムーズに進むのが最大の強みです。全社員への普及と利用率向上を重視する企業に最適です。見慣れたインターフェースにより、トレーニングコストを抑えつつ、スムーズに全社へ浸透させることができます。また、カレンダー、掲示板、アンケートなど、チャット以外のグループウェア機能も充実しており、外部連携の前に社内業務の多くを統合できます。さらに連携APIが公開されているため、基幹システムや自社の業務システムとの接続も可能です。国内の様々なSaaSとの連携実績も豊富で、現場の抵抗なくコミュニケーションのインフラを統一したい場合や、全社的な利用率向上を目指す企業におすすめです。
▶ 公式サイトはこちら: https://line.worksmobile.com/jp/
ビジネスチャットは「連携のハブ」として活用せよ
ビジネスチャットは、単なるツールの追加機能ではなく、デジタル変革(DX)における重要な戦略テーマです。
コミュニケーションを円滑にする「場」としての役割だけでなく、情報が統合され、業務が自動で流れる「ハブ」としてビジネスチャットを活用することで、以下の成果を達成できます。
情報検索やシステム間の移動にかかる時間をゼロにし、業務のムダを削減できます。また、必要な情報がリアルタイムで集約され、意思決定を加速することで、判断スピードの向上を実現します。そして、ルーティンワークから解放され、より本質的な業務に集中できるため、社員の創造性向上につながるでしょう。
まずは、最も利用頻度の高い業務ツールとビジネスチャットを連携させるところから、スモールスタートを切ってみてください。それが、御社の生産性向上への確かな一歩となるはずです。