事例で見る社内コミュニケーション活性化戦略

コロナ禍の影響で、多くの企業がリモートワークを取り入れ、働き方が大きく変わりました。コロナ禍を経て現在では、企業内でのコミュニケーションが以前よりも重要になっています。ですが、こうした新しい働き方の中で、どうやって効果的にコミュニケーションをとれば良いか、多くの企業が試行錯誤しています。

新しいコミュニケーションの形を模索しているこの時期に、他の企業がどのような方法でコミュニケーションを活性化させているか参考にしてみましょう。

この記事では、コミュニケーションが活発な企業の事例を紹介し、それらの成功事例から学べるコミュニケーションの活性化のヒントを探っていきます。

社内コミュニケーションの目的とは?

社内コミュニケーションとは、企業や組織内での情報の伝達や対話のことを指します。具体的には、社員同士、上司と部下、部署間など、組織内のさまざまな関係者間でのコミュニケーション活動全般を含みます。主な目的は以下の通りです。

情報共有: 新しい方針、計画、ニュースなど、組織の活動に関する情報を共有し、全員が同じ認識を持つことを確認する。

意思決定のサポート: 意見やフィードバックを収集し、より質の高い意思決定を行う。

チームビルディング: チームの絆を強化し、組織の一体感や所属意識を高める。

問題解決: 組織内の問題や課題を明らかにし、解決策を模索する。

社内コミュニケーションは、メール、会議、インターネット上の社内ネットワーク、社内報など、多岐にわたるツールやメディアを通じて行われます。良好な社内コミュニケーションは、組織の生産性や従業員の満足度を向上させる要因となるのです。

コロナ禍以前のコミュニケーションの課題とは?

多くの企業で実践されていた伝統的なコミュニケーション手法には、いくつかの限界が存在しました。これらの課題を理解することで、より良いコミュニケーションの形を模索する上での土台が築かれます。

旧来のモデルのボトルネック

多くの企業では、直接顔を合わせての会議や打ち合わせが基本でした。これにより、以下のような課題が生じていました。

場所の制約: すべての関係者が同じ場所に集まる必要があり、遠方の関係者の参加が難しく、場所を確保する手間やコストがかかっていました。

時間の制約: 実際に人々が集まる時間を合わせることが難しく、スケジュール調整に多くの時間を要することがあった。

デジタル化の遅れ

21世紀に入っても、多くの企業はデジタルツールを積極的に導入していませんでした。このため、以下のような問題が発生していました。

情報共有の遅延: 手作業や紙ベースの作業が主流であり、情報の共有やアップデートに時間がかかっていました。

オンラインツールの活用不足: 既に存在していたオンラインツールやソフトウェアを活用していない企業が多く、その結果、効率的なコミュニケーションや作業の進行が難しくなっていました。

コロナ禍以降の社内コミュニケーションの変化とは?

コロナの影響で私たちの働き方やコミュニケーションの方法が大きく変わりました。オフィスでの対面式のコミュニケーションから、オンライン上でのコミュニケーションへとシフトが起こっています。

リモートワークの台頭

リモートワークは、自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で仕事をするスタイルを指します。コロナ禍での外出制限や感染リスクを減少させるために、多くの企業がリモートワークを導入しました。この変化により、以下のような特徴が見られます。

物理的な距離の増加: 社員同士が直接顔を合わせることが少なくなり、コミュニケーションの方法やツールの選択が重要になってきました。

時間の柔軟性: 定型的な勤務時間や場所の制約が減少し、多様な働き方が可能になった。

デジタルツールの進化と活用

オフィス外での作業が増える中で、オンラインでのコミュニケーションツールが急速に進化し、普及しました。

Zoom

ビデオ会議やウェビナーを行うためのツール。画面共有や多人数の参加が可能で、仕事の打ち合わせやセミナーなどに広く使われています。

https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/

Slack

チャットベースのコミュニケーションツール。チーム内の情報共有や速やかな対話をサポートします。

https://slack.com/intl/ja-jp/

Microsoft Teams

チャット、ビデオ会議、ドキュメント共有など、複数の機能を持った統合型のコミュニケーションツール。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software

Tocaro

日本発の統合型コミュニケーションツール。タスク管理や情報共有、チャットなどの機能が一体となっており、特に日本のビジネスシーンでの導入が進められています。

https://tocaro.im/

これらのツールの活用により、物理的に離れていてもスムーズなコミュニケーションや情報共有が可能になりました。

社内コミュニケーション活性化のための3つの実践ポイント

コミュニケーションの質は、企業の成長と直結しています。特に、社内コミュニケーションの質が高いと、情報の伝達がスムーズになり、ミスの減少や生産性の向上が期待できます。しかし、その実現には意識的な取り組みが不可欠です。日常の業務の中で、どのようにしてコミュニケーションを活性化させるのか。実践的なポイントを通して、その秘訣を探っていきましょう。

⒈オンライン・オフラインのバランスを保つ

社員同士のコミュニケーションは、オンラインツールを用いた遠隔コミュニケーションが増えてきましたが、オフラインでの直接のコミュニケーションの重要性は変わりません。例えば、重要な決定事項や繊細な話題は、直接会って伝えることで誤解を避けることができます。

メリット: 直接のやり取りで、深い理解や共感を得られ、社員間の関係性も強化される。

⒉コミュニケーションツールの適切な選定と使い方

社内コミュニケーションを支えるツールは多岐にわたります。適切なツールを選定し、それを効果的に使用するトレーニングやガイドラインを整備することで、情報伝達の効率を上げることができます。

メリット: 情報の伝達速度や正確性が向上し、作業の効率化やミスの削減につながる。

⒊継続的な改善とフィードバックの導入

社内コミュニケーションの方法は定まったものではありません。時代の変化や新しいツールの出現、社員のフィードバックなどに応じて、継続的に方法を改善していくことが重要です。

メリット: 社員の声を取り入れることで、更に良いコミュニケーションの環境を作り上げることができる。これは社員の満足度向上や業績の向上にも寄与します。

社内コミュニケーションの活性化事例7選

世界中の企業が、新しい働き方やコミュニケーションの形を導入しています。以下に、その成功事例を紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。

事例1: マイクロソフト「Flexibility at Work」

マイクロソフトは、社員が自分のライフスタイルに合わせて働けるよう「Flexibility at Work」という方針を導入しました。これにより、社員の働きやすさが向上し、チーム間のコミュニケーションが活発になりました。ハイブリッドワークへの移行を成功させるためには、人々がどこでも仕事ができる柔軟性を求める一方で、より多くの人とのつながりを求めているという「ハイブリッド パラドックス」を受け入れることが重要です。

導入背景: 社員の多様性を尊重し、生産性の向上を図るため。

効果: 働き方の選択肢が増え、従業員の満足度向上。

反響: 社員からの肯定的なフィードバックが多数。労働の質の向上を実感。

事例2: ジャパンディスプレイ「クロスファンクショナルプロジェクト」

ジャパンディスプレイは、異なる部門間でのコミュニケーションを向上させるため、経営企画部門と情報システム部門が連携した、オペレーション全体に関わる改善活動を目指した社内横断的なプロジェクトを、クロス・ファンクショナル・チームを作りました。これにより、部門間の情報共有がスムーズになりました。

導入背景: 異なる部門間の情報の壁を取り払い、効果的なプロジェクト進行を目指すため。

効果: 部門間の情報共有がスムーズに。速やかな意思決定を実現。

反響: 異部門の知見やアイディアが交流され、新たなビジネスの機会も発見。

事例3: トヨタ「ハイブリッド勤務制度」

トヨタは、オフィスと在宅を組み合わせた「ハイブリッド勤務制度」を導入しました。この新しい制度により、社員のモチベーションが上がり、自然なコミュニケーションが促進されました。

導入背景: コロナ禍における働き方の多様化と、社員の安全確保。

効果: ワークライフバランスの向上、生産性の維持。

反響: 社員のストレス減少や職場環境への高い満足度が報告。

事例4: 三菱UFJ銀行「デジタル化推進」

三菱UFJ銀行は、デジタルツールの導入を積極的に行い、遠隔地の支店や部署間でもスムーズなコミュニケーションを実現しました。高度なセキュリティレベルが必要な金融業界はデジタル化が遅れていましたが、これにより迅速な意思決定や情報共有が可能となりました。

導入背景: ビジネスの迅速化と、デジタルトランスフォーメーションの需要への対応。

効果: 遠隔地でもスムーズな社内コミュニケーション実現。意思決定の迅速化。

反響: 社員の効率的な業務遂行や顧客サービスの向上を実感。

事例5:LINEヤフー株式会社「オープンオフィス」

LINEヤフー株式会社は、オープンオフィスを採用し、社員間のコミュニケーションを活性化しました。オフィスは全館フリーアドレスとして自席にとらわれず、用途に合わせてどこでもパソコンを開いて仕事ができ、社員の手で使いやすく変化させていける環境です。自由な空間での意見交換やディスカッションが促進され、新しいアイディアやプロジェクトが生まれやすい環境を実現しました。

導入背景: 社員間の社内コミュニケーション障壁を減少させる目的。

効果: 自由な意見交換やディスカッションが活発化。

反響: イノベーションの促進や新しいプロジェクト発足の増加。

https://www.lycorp.co.jp/ja/recruit/workplace/

事例6: Fast Retailing(ユニクロ)「One on One」ミーティング

ユニクロの親会社Fast Retailingでは、社員と上司が定期的に1対1のミーティングを行う「One on One」を導入しています。これにより、社員の意見や悩みが直接上司に伝えられ、より良い職場環境の構築を目指しています。

導入背景: 社員の声を直接、上層部に届けるため。

効果: 社員の悩みや提案が直接反映されることで、より良い職場環境の実現。

反響: 社員の意識向上や、業務への積極的な取り組みの増加。

事例7: 楽天「英語公用語政策」

楽天は、国際的なビジネス展開を背景に、社内の公用語を英語にする政策を2010年から実施しました。従業員間のグローバルなコミュニケーションが活性化し、国際的な視点でのビジネス展開を促進しています。また、英語の社内公用語化により、海外から優秀な人材が楽天に集まるようになりました。

導入背景: グローバルな事業展開と、多国籍の社員とのスムーズな社内コミュニケーションの確保。

効果: 国境を越えた業務連携の強化。多様な文化や考え方の共有。

反響: 英語能力の向上を実感する社員が増加。新たなビジネスチャンスの発見。

社内コミュニケーションの未来の展望とは?

これまでに社内コミュニケーションの現状や実践ポイントを見てきましたが、私たちの周りの働き方やコミュニケーションのスタイルは絶えず進化しています。特に近年は、テクノロジーの急速な進展や外部環境の変化に伴い、新しい働き方やコミュニケーション方法が求められる時代となっています。そこで、これからの時代に向けた「社内コミュニケーションの未来の展望」に焦点を当て、その方向性や期待される取り組みについて考察していきましょう。

社内コミュニケーションの価値の再確認

コロナ禍をはじめとする様々な外部要因の変化により、企業内でのコミュニケーションの形や方法が大きく変わってきました。しかし、その核となる価値、すなわち「人と人との繋がり」や「情報の共有」の重要性は不変です。今後も、それぞれの環境や文化に合った方法で、社内コミュニケーションの質を高める取り組みが求められます。

コミュニケーションの質を高めることで、業務の効率化やミスの減少、そして社員のモチベーション向上などの多くの利点が期待できるのです。

未来の働き方への期待と取り組むべき点

リモートワークやフレックスタイムなど、多様な働き方が浸透してくる中、それに伴う新しいコミュニケーションの方法が必要となります。未来の働き方を先取りし、効果的なコミュニケーションを実現するための研修やツールの導入など、前向きな取り組みが欠かせません。

未来の働き方に合わせたコミュニケーションの方法を導入することで、組織全体の柔軟性や対応力が向上し、変化に強い企業を築くことができます。

社内コミュニケーションの新しい可能を模索しましょう

コロナ禍は、予想もしなかった多くの変化を我々の生活や働き方にもたらしました。その中で、社内コミュニケーションの在り方も大きく変わり、新しい可能性が広がってきました。各企業の実際の取り組みからは、これからのコミュニケーションの形成や、それに伴う組織の変革のヒントが見えてきます。

企業は、これらの事例や取り組みを真摯に学び取り、自社の文化や制度を再評価する大切な機会と捉えましょう。新たなコミュニケーションの形は、組織の活性化や生産性の向上だけでなく、社員一人一人のモチベーションや幸福度をも高める可能性があります。新しい時代の到来に向け、勇気を持って社内コミュニケーションの改革に踏み出しましょう。

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