業務効率化は分類から。トヨタ式に学ぶムダを無くす方法

日本は今超高齢化社会を迎えようとしています。それに伴い生産年齢人口の減少や長時間労働の社会問題化を背景に、多くの企業が業務効率化を急いでいます。しかし、多くの企業が業務効率化が念頭にはあるものの、なかなか具体的な取り組みをスタートできずにいるのではないでしょうか。

業務効率化は闇雲に取り組んでも期待した効果が得られません。かえって無駄な業務が増えてしまうこともあり得ます。そんな中で、業務の効率化において最も効果を出すことに成功していて、世界でもその取り組みが注目されているトヨタの例を参考にしながら、どのように取り組んでいけば良いのか見ていきましょう。

世界が注目するトヨタ式とは何か?

トヨタ生産方式と呼ばれる業務改善の考え方があります。それは、徹底的に無駄を排し、生産性を向上させるという考え方です。一見どの企業でも取り組んでいるものに思われますが、事実、”カイゼン”と呼ばれる業務改善の考え方によって、トヨタでは無駄を一切排除したスリムな経営が行われているのです。

トヨタ式改善を自社の業務効率化に取り入れたいと考える時に、最初に取り組むとよいのがトヨタ式「5S」です。5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字を取って付けられたものです。多くの人は5Sと聞くと、そんな基本的なことで生産性は上がらないと思われるかもしれませんが、トヨタ式5Sにはトヨタ式の基礎・基本詰め込まれているのです。

探さないでも見つかるように管理する大切さ

トヨタ式5Sの目指すところは、”探す”という無駄をなくし、清潔を保つようにゴミを減らす。というものです。トヨタ式の整理整頓とは「いらないものを処分することが整理であり、ほしいものがいつでも取り出せることを整頓という。ただきちんと並べるだけなのは整列であって、現場の管理は整理・整頓でなければならない。」という徹底した考え方に基づいています。

実際にトヨタの社内では、必要な書類を頼まれた時に10秒以内に取り出さなければならないという「10秒ルール」が存在します。探す時間が無駄と考えるトヨタでは、整理・整頓されていれば、あらゆる書類が10秒以内に用意できる。いうものです。これがトヨタ式の業務効率化の基本的な考え方です。

トヨタ式分類で企画書作成の業務効率化を目指す

ここではトヨタ式の分類を取り入れることによって、企画書を作成する際の無駄をどのように省き、業務効率化へと繋げていけるのかを見ていきましょう。

トヨタ式によると「仕事」は4つに分類することができます。(1)主作業である企画書の文書作成、(2)付随作業である文書を作成するための情報収集、(3)準備・後始末作業による上司への企画書の要旨説明、(4)ムダ・例外作業と呼ばれるぼんやり時間、となります。

このように一つ一つの仕事を分類して見える化すると、注力すべきものが何かはっきりします。(1)の作業に時間とエネルギーを配分しながら、(2)~(4)の作業を進めます。情報収集では業務に無関係な情報には見向きしないことが重要です。(3)の事前準備では、それまでに社内に類似の案件がなかったか調べ、あればそれをたたき台にして、時間を節約します。

このように分類できたら、この一連の業務の中にある可能性のある、5つのムダがないか考えます。(1)品質のムダ、(2)滞留のムダ、(3)歩行・移動・流れのムダ、(4)種類・数量のムダ、(5)ミス・手直しのムダです。

例えば品質のムダについて見てみましょう。企画書作成において、パワーポイントにアニメーションなどを使用するのは品質のムダにあたります。趣向を凝らせば凝らすほど時間がかかり、その時間に見合った説得力を与えられるかといえば疑問です。また、情報収集のためといって地方の支社まで赴き、聞き取り調査をするのは移動のムダです。電話やメール、テレビ会議で十分調査はできるのです。

このように、予め作業を分類して、それぞれの業務にどの様なムダが内在しているのかということを洗い出すことによって、それらが本当に必要な作業なのか、それとも削減できるものなのかを検討することができるようになります。一つ一つの業務について、この様な精査を行うことによって、日々の業務によって積み重ねられたムダな時間を大幅に削減することにつなげることができるのです。

トヨタ式業務効率化のポイント

トヨタ式業務効率化を行う上で重要なポイントは以下になります。

業務の内容と所要時間を洗い出す

一連の業務内容とそれにかかる時間を洗い出します。業務の単位は、企画書のフォーマット作成や、インターネットで関連情報をリサーチ、など、最小区分まで分解すると、より正確に見える化することができます。

業務を4種類に分類し優先順位付けをする

トヨタ式の業務の4分類は次の通りになります。「主作業」業務の目的に関わる作業、「付随作業」主作業を行うにあたって必要となる作業、「準備・後始末作業」業務の前後に発生する作業、「ムダ・例外作業」いずれにも属さない作業。

5つのムダがないか確認する

「品質」過剰品質になってないか。「滞留」仕事が動いているか「歩行・移動・流れ」人、モノ、情報の流れにムダはないか。「種類・数量」重複がないか。「ミス・手直し」不要な時間、作業は発生していないか。

ムダを改善するための対策を考える

5つのムダを極力無くすための対策を考えます。移動のムダなら、現地まで出向かずに、電話やテレビ会議で済ませるなど、主作業の業務に最も時間を注げるように考えます。

実際の効果を計測する

施策を実施したら作業時間を計測します。改善後を基準として、さらに削減できるムダはないか繰り返し実践する事が必要です。トヨタではムダを見つけるのは一生の仕事だと言われています。続けて行くことで業務効率化をし続けることができるのです。

業務の効率化は業務の分類から

トヨタ式の業務効率化を実践するためにはまず基礎基本の5S徹底が欠かせません。5Sの徹底だけでも業務効率の向上が期待できますが、また基礎基本を通して業務を分類し、ムダを省いていく考え方を身に付けることができれば、その他どの様な業務にも活かすことができ、スリムな経営を維持できるはずです。業務効率化を実践したい方は是非5Sから始めてみてください。

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