テレワークの増加に伴いビジネスの連絡手段として、使い慣れたメールから、ビジネスチャットツールを導入する企業が増加しています。
ビジネスチャットは、レスポンスが早くて、文章でのやり取りから気軽にコミュニケーションを図ったり、タスク管理やビデオ会議も可能なため、導入することで、業務効率の改善や生産性の向上に繋げることができます。一方で、ビジネスチャットにはデメリットもあるので、現状ではメールも使いながら、ビジネスチャットとメールの2つのコミュニケーションツールを使い分けている場合が多いでしょう。
ITコンサルティング・調査会社のITRが発表したデータによると、2023年頃にはビジネスチャットのWeb会議システムの市場規模は2019年の3倍になると予測されています。当たり前のように対面で打ち合わせや商談をしていましたが、今後はテレワークがさらに推進されて、働く場所を固定しないweb会議などで、コミュニケーションが取れるようになるでしょう。
この記事では、実は幅広いビジネスチャットの用途やメリット・デメリットを徹底解説します。
ビジネスチャットとは?
ビジネスチャットとは、チャットツールを会社で利用できるサービスです。個人向けチャットよりも、セキュリティ面が強化されていることが特徴の1つです。
従来は対面でのやり取りや、メールを利用していた企業が多かったのですが、それよりも気軽にやり取りができる、テーマごと・チームごと・プロジェクトごとにグループを作成できるメリットから、導入する企業が増えています。
ビデオ通話や、スケジュール共有、タスク管理も行う事ができ、ビジネスチャット1つを導入すれば、ほとんどのビジネスコミュニケーションをまかなうことができます。
ビジネスチャットツールの幅広い用途と3つのメリット
「ビジネスチャットツールの導入でメールのやり取りが減った」という効果が一人歩きして、ビジネスチャットを「メールを代替するもの」としてイメージされる方が多いのではないでしょうか。
しかし、ビジネスチャットツールがカバーする領域はそれ以上に大きなものです。ビジネスチャットツールの導入でコミュニケーションがどのように変わるのか、用途やシーン別にご紹介します。
1. メールの代替として
社内外との連絡、報告、相談等、これまでメールで行っていたやり取りの多くは、ビジネスチャットツールに移行できます。社外の人でも、相手のメールアドレスさえ教えてもらえればアカウントを発行できるツールが多いので、常にやり取りが発生する社外の関係者も利用できるようにすれば、さらに効果的な活用ができます。
メールでのコミュニケーションをビジネスチャットに置き換えると、以下のようなメリットが期待できます。
<手間や時間の削減>
メールと違い、チャットは定形の挨拶や署名が不要で、要件だけを簡潔に伝えられるので、文書を作成する時間や読み手の内容理解の時間の削減ができ、コミュニケーションの効率が上がります。また、メールと違いリアルタイムで相手へ届くため、直接会話しているレベルで意思疎通ができるため、コミュニケーションの時間を削減出来ます。
<必要な情報を把握しやすい>
従来のメールの特徴は、受信箱に色々なメールが届くことです。プロジェクトチームなどの複数人でのやりとりになると、量も多くなります。一目見るだけで不要と判断できるものもありますが、1つずつ開封して確認する必要があります。また、最後まで読まなければメールの趣旨がわからないものもあります。ビジネスチャットなら、プロジェクトチームや部署メンバーでグループを作成できるため情報共有がしやすく、ファイル転送も簡単で効率良いのです。
グループでやり取りしていると自分に不要な情報も流れてきますが、全体をざっと確認しつつ、自分がメンション(ツールにより@やToで伝えたい相手を指定すること)されている投稿は注意して確認するという方法で、チェックに費やす時間を短縮しながら重要な連絡を見落とす危険を少なくできます。
2. ミーティングの代替として
ミーティングや会議も、対面で行う必要があるもの以外は全てビジネスチャットで済ませることが可能です。
Webミーティングは、決まった時間に参加者全員がチャットにログインし、リアルタイムでやり取りすることができます。最近多いWeb会議は、2つの締め切りを設けて各自が都合の良いときに投稿する方法です。2つの締め切りとは、1つ目は報告資料や議論したいテーマなどを投稿する最初の期限と、それに対して質問や意見があればこの日時までに投稿するという2つ目の期限です。
もし同じ時間に集まってディスカッションした方が良いテーマがある場合は、あらためて時間を決めてビデオ会議や対面で話し合うのが効率的でしょう。
Webミーティングをビジネスチャットに置き換えると、以下のようなメリットが期待できます。
<業務時間の節約につながる>
上記で説明した通り、締め切りを設けてそれまでに報告や意見を出し合うという形にすれば、参加者のスケジュール調整が不要となり、各自の拘束時間が大幅に減り、業務時間の節約につながります。不足しがちな会議室の解放にもつながります。
<適切なタイミングで「報・連・相」やフィードバックができる>
上司や関係者に報告や相談したいことがあるとき、「次回の会議の時間まで置いておこう」と考えることはないでしょうか? いわゆる「報・連・相」をミーティングのタイミングで行おうとすると、時機を逃してしまったり、限られたミーティングの時間内ではじっくり話し合えなかったりします。ビジネスチャットであれば、いつでも必要なときに投稿でき、報告や相談を受けた側も都合の良いタイミングできちんと検討して対応できるため、質の高い「報・連・相」が可能となります。
また、上司の立場で部下の行動について何か気づいたことがあるときも、即時にフィードバックを送ることができます。面談の機会にまとめて指摘するよりも、部下も納得しやすく、コミュニケーションが気軽に取れるようになるでしょう。
3. リモートワーカーや時差勤務の際のコミュニケーションツールとして
在宅勤務やフレックスタイムを導入した結果、チームメンバーが直接顔を合わせる機会が減り、コミュニケーション量も減ってしまったということはないでしょうか。
コロナ禍で、ますますリモートワーカーや時差勤務者が増えており、ビジネスチャットツールを導入すると、以下のようなメリットが期待できます。
<顔を合わせなくてもコミュニケーションを維持できる>
すれ違いがちなメンバーとのコミュニケーションを維持するために、ビジネスチャットツールは非常に役に立ちます。電話やメールよりもスムーズに会話のキャッチボールが可能で、ほとんどのツールにはスマートフォンアプリがあるので、どこにいても必要なときにすぐ利用できます。
<雑談ができる>
顔を合わせないでいると、特に減っていくのが雑談などのコミュニケーションの機会です。雑談には、チーム内の協力し合う雰囲気づくりや、有用な情報の共有、新しいアイデアにつながる刺激を得るといった大事な役割があります。「雑談専用」やちょっとした気付きを書き込むためのグループを作り、かつ盛り上げ役を任命するなどして気軽に書き込みができるような雰囲気作りをすることが円滑な人間関係を築くことになります。
ビジネスチャットツールの2つのデメリット
メリットがあれば、もちろんデメリットもあります。あらかじめ内容を理解しておけば未然に防げるので、しっかりとデメリットも確認しましょう。
1. 無駄なコミュニケーションが増えて生産性が低下する
ビジネスチャットは手軽にコミュニケーションがとれる反面、手軽だからこそ無駄なコミュニケーションが増えてしまう場合があります。メールであれば熟考するところ、手軽さゆえ個人SNSの要領で必要以上にメッセージを送ってしまうこともあります。
それにより、飛び交うメッセージに時間と集中力を奪われ、業務の生産性が低下することも考えられます。メッセージが増えれば増えるほど、重要なメッセージが埋もれてしまう可能性もあるのです。
2. 対面でのコミュニケーションが減る
ビジネスチャットは、顔と顔を合わせることがないので、どうしても対面でコミュニケーションをとる機会が少なくなってしまいます。対面や電話でのやり取りは情報伝達力が高いので、認識違いなどの誤解は生まれにくいです。
一方のビジネスチャットは、伝達スピードは早いですが、情報の正確さが疎かになってしまいがちです。また、対人コミュニケーションの機会が減ると、社員のコミュニケーション能力が低下するリスクがあります。
柔軟な働き方を実現するためにビジネスチャットツールを導入しましょう
ビジネスチャットツールは従来のコミュニケーションの効率化だけでなく、コミュニケーションの質の向上や組織の活性化にも役立つものです。
さらに、人材の多様性の向上、テクノロジーの発展といった時代の変化も、ビジネスチャットツールを導入するべき理由となっています。コロナ禍の影響もあり、今後はますます多様な働き方を許容する必要が出てきました。
まだビジネスチャットツールを導入していない会社でしたら、是非導入の検討をしてみてください。