リスク管理と危機管理。今さら聞けない違いについて

皆さんは「リスク管理」と「危機管理」という用語を聞いたことがあるでしょうか。経営や運営に携わっている方なら聞いたことがあるでしょうし、なんとなく知っているという方もいるかと思います。

しかし、いざその違いを説明しろと言われてもその違いを明確に述べられる人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は「リスク管理」と「危機管理」の違いについて、例を出しながら解説していきます。是非今後の参考にしてください。

管理とはマネジメント。これだけは押さえておきたいポイント!

まず、ことばの持つ意味から見ていきましょう。「リスク管理」と「危機管理」はそれぞれ「リスクマネジメント」、「クライシスマネジメント」とも呼ばれます。まずこのマネジメントということばをみていきましょう。

世界的に有名な経営学者、ピーター・ドラッカー自身の著書『マネジメント』の中でドラッカーは「マネジメント」をこのように定義しています。

『マネジメントとは、組織の適切な責任範囲を設定し「目標・案件・プロセス」に積極的・能動的に関わり、組織の目標を達成すること』

としています。「リスク管理」も「危機管理」も何か策を講じたらそれで完了ではなく、関わり続けることが重要だということがわかります。ではここでの”目標達成”とは何を指すのか見ていきましょう。

リスク管理と危機管理のが目指す目標とは

「リスク」も「危機」も頭の中でイメージしてみると同じようなニュアンスに響くのではないでしょうか。どちらも危険・警告・警鐘のようなサインをイメージするかと思います。では実際にこの2つはどのようなものなのでしょうか。

リスク管理(Risk Management:リスクマネジメント)

リスク管理とは、『何かの活動をする際に、その活動を始める前から終わった後までの、活動全般において発生しうるリスクを洗い出し整理することで、想定される損害を最小限に抑える活動』のことです。

リスク管理においては、想定されるあらゆるリスクは徹底的にリストアップされて、実際発生するリスクの影響がどれほどあるかを事前に分析します。

また、一つ一つのリスクの発生を抑止するための方法を考えます。それぞれのリスクの影響度の度合いによって優先順位を決め、リスク防止策を講じることを言います。

危機管理(Crisis Management:クライシスマネジメント)

危機管理とは、『事業の目標の達成や事業の継続を脅かすような危機が発生した時に、もたらされる影響をできる限り小規模にとどめ、危機的な状況から正常な状態へ、なるべく早く回復するための管理活動』のことです。

事前に講じた策によってその危機の発生自体を防ぐことができれば最良ですが、時には自助努力では防ぎきれない自然災害や、外部要因による人的災害、事故なども発生するのです。

危機管理もリスク管理と同様に、発生しうるリスクをリストアップすることが必要です。危機が発生したときに、災害やマイナスの影響をいかに小さく抑えることができるか、早く復旧するためにはどうすればよいかについて、事前に考え対策を講じることを言います。

リスク管理と危機管理は「予防」と「対処」

リスク管理と危機管理をよりわかりやすく解説するために、健康に生活している人にとっての怪我や病気という生活リスクを例に、日常生活に置き換えてみましょう。

リスク管理は、多くの人が日々の生活を営む上で習慣的に行っています。万が一の事故のために保険に加入したり、軽い病気に備えて常備薬を用意したりしています。このように”万が一”を想定して準備をすることがリスク管理です。生活を阻害する要因を明らかにして、その発生を回避したり最小限に抑える活動のことです。

一方で危機管理は「何かが起こってからの備え」です。つまり、「風邪を引いたときにはこのように対処する」、「怪我をしたらこのような手順で病院まで行く」などです。そして、快復するまでの期間どのように生活するか、どうしたら早く快復するか、という、快復のプロセスも含まれます。怪我や病気による被害や損害をどのように最小限化するかを管理すること、それが危機管理です。

日常生活にも活かせるリスク管理と危機管理

以上見てきましたように、リスク管理とは、損害を最小限にとどめる管理手法のことです。活動に関連するリスクを事前から管理するには、まずリスクを認識することが必要で、この手法は、個人が生活を営む上でも、大切な考え方です、

一方で危機管理は、事故は必ず発生するという前提に立って、状況に応じて柔軟な対応をすることが必要です。日頃から不測の事態に意識を向け続けることによって、いざという時に迅速な対応ができるのです。

ぜひ、日々の生活や仕事にもこの2種類の管理手法の視点を取り入れてみてください。

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