安全性とカスタマイズが魅力のオンプレ型ビジネスチャットとは?

現代のビジネス環境において、企業内のコミュニケーションは高速化と多様化の一途を辿っています。その中心を担うのがビジネスチャットですが、クラウド型の普及が進む一方で、データセキュリティ、プライバシー、既存システムとの連携、そして独自のカスタマイズ性といった観点から、「オンプレミス型ビジネスチャット」に注目する企業が増えています。

特に、厳格な情報管理が求められる金融機関や政府機関、高度な機密情報を扱う製造業などにおいて、自社の環境で全てを管理できるオンプレミス型は、セキュリティと統制の確保という点で最適解となり得ます。この記事では、オンプレミス型ビジネスチャットのメリットとデメリット、導入を検討すべき企業の特徴、そしておすすめのツールについて詳しく解説します。

オンプレミス型ビジネスチャットとは?

オンプレミス型ビジネスチャットとは、企業が自社のサーバーやネットワーク内にビジネスチャットシステムを構築し、運用・管理を行う形態を指します。クラウド型サービスのように外部のデータセンターを利用するのではなく、全てのデータやシステムが企業の管理下にあるのが最大の特徴です。

これにより、企業はシステムに対する完全な主導権を持ち、セキュリティポリシーの適用、システム連携の柔軟性、そして必要に応じたカスタマイズを自由に行うことが可能になります。

オンプレミス型ビジネスチャットのメリット

オンプレミス型ビジネスチャットを導入することで、企業は主に以下のメリットを享受できます。

1. 圧倒的なセキュリティとデータ主権の確保

情報漏洩のリスクは、企業の存続に関わる重大な問題です。クラウド型サービスの場合、提供事業者のセキュリティ対策に依存せざるを得ませんが、オンプレミス型であれば自社でセキュリティ対策を徹底できます。

  • 自社環境でのデータ管理: チャットデータやファイルは全て自社サーバー内に保存されるため、外部に情報が漏れるリスクを最小限に抑えられます。
  • 情報漏洩リスクの低減: 外部からの不正アクセス対策、内部からの情報持ち出し対策など、自社のセキュリティポリシーに合致した対策を講じることが可能です。
  • 特定の規制やコンプライアンスへの対応: 金融、医療など、業界特有の厳しい規制やコンプライアンス基準がある場合でも、オンプレミス型であれば自社の要件に合わせてシステムを構築・運用し、監査要件に対応できます。

2. 高いカスタマイズ性と既存システムとの連携

企業独自の業務フローや既存の基幹システムとの連携は、業務効率化の鍵となります。オンプレミス型は、この点で大きな優位性があります。

  • 自社のシステムとの密な連携: 既存のCRM、ERP、SFAなどの基幹システムと直接連携し、業務効率を大幅に向上させることが可能です。例えば、チャット上で顧客情報を参照したり、タスク管理システムと連携してプロジェクトの進捗を共有したりできます。
  • 独自の機能追加や改修: 自社が必要とする特定の機能を追加したり、既存の機能を改修したりする自由度が高いです。これにより、既成のクラウドサービスでは実現できない、きめ細やかな業務改善が可能になります。
  • ブランドイメージに合わせたUI/UX: 自社のコーポレートカラーやロゴを取り入れたUI/UXにカスタマイズすることで、従業員の一体感を醸成し、企業ブランドの強化にも繋がります。

3. 安定性とパフォーマンスの確保

ビジネスチャットは、日々の業務に不可欠なツールです。安定した動作と快適なレスポンスは、従業員の生産性に直結します。

  • インターネット回線に依存しない安定稼働: クラウドサービスの場合、インターネット回線の不具合やサービス障害が直接業務に影響しますが、オンプレミス型であれば自社ネットワーク内で完結するため、外部要因による影響を受けにくいです。
  • 自社ネットワーク内での高速通信: 社内ネットワークの帯域を最大限に活用できるため、ファイル転送やメッセージの送受信が高速かつスムーズに行えます。

4. 運用・管理の自由度と統制

システム管理者は、オンプレミス型においてより高度な統制と自由な運用が可能です。

  • アップデートのタイミング管理: システムのアップデート時期を自社でコントロールできるため、業務への影響を最小限に抑えられます。セキュリティパッチの適用なども、計画的に実施できます。
  • ログ管理や監査の強化: 全ての通信ログやアクセス履歴を自社で詳細に管理できるため、内部統制や監査対応を強化できます。万一のトラブル発生時にも、迅速な原因究明と対応が可能です。

オンプレミス型ビジネスチャットのデメリットと課題

一方で、オンプレミス型ビジネスチャットの導入には、いくつかのデメリットと課題も存在します。

1. 初期導入コストの高さ

サーバー機器の購入、ソフトウェアライセンスの取得、構築作業、ネットワークインフラの整備など、初期投資がクラウド型に比べて高額になる傾向があります。

2. 運用・保守の負担

システムの安定稼働を維持するためには、専門的な知識を持つ人材による運用・保守が必要です。サーバーのメンテナンス、セキュリティ対策の更新、トラブルシューティングなど、IT部門の負担が増大する可能性があります。

3. スケーラビリティへの対応

ユーザー数の増加やデータ量の拡大に応じて、サーバーの増強やネットワークの拡張が必要になります。これには追加のコストと工数がかかり、柔軟なスケーリングが難しい場合があります。

4. リモートアクセスへの対応

社外からのアクセスを許可する場合、VPN(Virtual Private Network)の構築やVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の導入など、別途セキュリティ対策を講じる必要があります。これにより、システム構成が複雑になり、コストも増加します。

導入を検討すべき企業

これらのメリット・デメリットを踏まえ、オンプレミス型ビジネスチャットの導入を特に検討すべき企業は以下の通りです。

  • 高度なセキュリティ要件を持つ企業: 金融、医療、防衛関連など、個人情報や機密情報の取り扱いに厳格な規制がある企業。
  • 厳格なコンプライアンスが求められる企業: SOX法、GDPRなどの国内外の規制に遵守する必要がある企業。
  • 既存システムとの密な連携が必要な企業: 業務の中心となる基幹システムとビジネスチャットをシームレスに連携させ、業務効率を最大化したい企業。
  • 自社でITリソースが豊富な企業: システムの構築、運用、保守に必要な専門知識を持つ人材や予算が確保できる企業。

おすすめのオンプレミス型ビジネスチャット5選

ここでは、オンプレミスでの導入が可能なビジネスチャットツールを5つご紹介します。

1. Tocaro (トカロ)

Tocaroは、純国産のビジネスチャットツールで、クラウド版が広く知られていますが、高いセキュリティ要件や自社環境での運用を希望する企業向けにオンプレミス版の導入も選択肢として提供されています。プロジェクト管理、ファイル共有、Web会議など、ビジネスに必要な機能が充実しており、日本企業の商習慣に合わせたきめ細やかな機能と強固なセキュリティ体制が魅力です。

  • 主な特徴:
    • オンプレミスでの導入も可能(要問い合わせ)
    • 純国産ならではの使いやすさとサポート
    • プロジェクト管理機能が充実
    • 高いセキュリティとシンプルなUI
  • URL: https://tocaro.im/

2. Chat&Messenger

Chat&Messengerは、国産のグループウェアでありながら、オンプレミス環境での導入も可能で、チャット機能に加えてWeb会議、ファイル共有、スケジュール管理、タスク管理など、豊富な機能をオールインワンで提供しています。特に、ファイル共有機能においては、大容量ファイルをセキュアに扱える点が強みです。IT導入補助金 認定ツールです。

  • 主な特徴:
    • 国産ならではのきめ細やかなサポート
    • Web会議、ファイル共有、スケジュールなど多機能
    • 高度なセキュリティ設定が可能
  • URL: https://chat-messenger.com/

3. Rocket.Chat

Rocket.Chatは、オープンソースで提供されているビジネスチャットツールで、セルフホスト(オンプレミス)での構築が可能です。高いカスタマイズ性と柔軟性が特徴で、独自の機能を開発して追加することもできます。世界中で利用されており、多言語対応も充実しています。

  • 主な特徴:
    • オープンソースのため費用を抑えて導入可能
    • 豊富な連携機能とAPI
    • WebRTCを利用した音声・ビデオ通話
  • URL: https://rocket.chat/ja/

4. Mattermost

Mattermostは、Slackのような使いやすさとオンプレミスでの導入が可能な点が特徴のオープンソースチャットプラットフォームです。高いセキュリティとプライバシー管理が求められる企業に適しており、データセンターやクラウドプロバイダーを自由に選択できます。開発者向けの機能が充実しているため、技術系の企業にも人気ですし、無料で利用できるオープンソース版もあります。

  • 主な特徴:
    • SlackライクなUIで使いやすい
    • エンドツーエンドの暗号化など高いセキュリティ機能
    • 開発チーム向けの豊富な連携機能
  • URL: https://mattermost.com/

5. ChatLuck (チャットラック)

ChatLuckは、株式会社ネオジャパンが提供する国産のビジネスチャットツールで、オンプレミス環境での導入に強みを持っています。情報漏洩対策や監査対応など、高度なセキュリティと安定した運用が求められる企業に最適です。ファイル共有、Web会議、スケジュール連携など、グループウェアとしての機能も豊富に備えており、既存の社内システムとの連携も柔軟に行えます。

  • 主な特徴:
    • 純国産でオンプレミス導入に特化
    • 高度なセキュリティ機能とログ管理
    • 既存グループウェアとの連携もスムーズ
    • 豊富なファイル共有・Web会議機能
  • URL: https://www.chatluck.com/

安全性を選ぶならオンプレミス型ビジネスチャット

オンプレミス型ビジネスチャットは、初期コストや運用負担といった課題はあるものの、セキュリティ、データ主権、カスタマイズ性、安定性といった面でクラウド型にはない大きなメリットを提供します。特に、高度な情報管理が求められる企業や、既存システムとの密な連携によって業務効率を最大化したい企業にとって、検討に値する選択肢となるでしょう。

自社のセキュリティ要件、ITリソース、そして将来的な拡張性などを総合的に判断し、最適なコミュニケーション基盤を構築してください。

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