エンプロイーエクスペリエンス(EX)を高める5つの方法

近年、「エンプロイーエクスペリエンス(EX)」という言葉が注目されているのをご存じでしょうか。

エンプロイーエクスペリエンス(EX)の直訳は「従業員の経験」という意味です。入社・研修・日常業務・異動・退職や入社前・退職後までの従業員が企業で働く中で得られる体験価値で、従業員のロイヤルティやエンゲージメントを高めるというものです。

コロナ禍でテレワークが拡大し、働き方改革が大きく進んだこともあって、企業と社員との関係が改めて見直される動きが活発化しています。こうした環境を背景に、エンプロイーエクスペリエンスを向上することで、人材を確保するとともに、ロイヤルティを高めて退職などの流出を防ぎ定着率を上げることなどが期待されているのです。

エンプロイーエクスペリエンスは、従業員のパフォーマンスを向上させる取り組みとして、国内外で注目を集めはじめています。

この記事では、今最も注目されているエンプロイーエクスペリエンスについて徹底解説します。

エンプロイーエクスペリエンスとは?

エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience/EX)とは、従業員が会社の中で経験するすべてのスキルアップや教育、それ以外にも従業員の満足度や健康の状態など、会社や社内のキャリアの中で経験するすべての体験を包括するものです。従業員が、企業や組織内で行われる経営活動や人事施策などを通して醸成する経験価値を意味します。

従業員が仕事に取り組む場所、同僚、上司、給与、福利厚生、キャリア成長、仕事の内容や課題、コミュニケーション、文化など、仕事に関わる多岐にわたる要素がエンプロイーエクスペリエンスに影響を与えるのです。

エンプロイーエクスペリエンスが注目されている背景とは?

注目されることになったひとつのきっかけは、デロイトトーマツコンサルティングの「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド 2017」で人事部門・人材活用の10のトレンドのひとつとして取り上げられたことです。

また、ソフト化やIT化が進んでいる中で人が事業そのものに与える影響が大きくなっています。社員のモチベーションややる気次第で、業務の業績も変わってくるようになってきているのです。

日本ではコロナ禍以降に働き方の多様化により転職も当たり前になってきており、少子化に伴う労働人口の減少が止まらないことも影響して人材不足に悩む企業は多く、いかに優秀な人材を確保するか、また少ない人材で生産性を向上させるかなどが課題となっているのです。

どんどん人材の流動性が激しくなり人材確保が難しくなる中、人の重要度は上がっています。社員のエンゲージメントを高められる企業にならなければ、採用も難しくなり自社のビジネスが継続できなくなってしまいます。

エンプロイーエクスペリエンスと今までの体験の違いとは?

エンプロイーエクスペリエンスと入社後に行われる一般的な教育や研修などのこれまでに会社が用意してきたキャリアパスとの違いは、「企業側が一方的に社員に向けて行う」という点です。入社した社員の期待や希望をきちんと捉えた上で、そこの擦り合わせをすることろが大きく違います。

「入社後のギャップが埋められずに退社した」という人は年々増加しています。そのギャップは、会社側が用意した体験と新入社員がイメージしていた体験がズレることによって起こるのです。

会社側が伝えたいことよりも入社する人や社員が、どう感じたいかを双方向できちんと見ていくことが重要視されてきているのです。そのため、一方的な経験ではなく、今後のキャリアに沿って個人の気持ちを大切にしていきましょう。

エンプロイーエクスペリエンスを高める5つの方法とは?

エンプロイーエクスペリエンスを高めるために重要なのは、企業の立場ではなく社員の立場で考えることです。社員にどのような人材になって欲しいかではなく、どのような経験をしてどのような感情を持つのかが大事になります。ここでは、エンプロイーエクスペリエンスを高める5つの方法を徹底解説します。

⒈社員育成のロードマップを3年分作成しましょう

まずは、社員のロードマップを3年分作成しましょう。「入社したら3年は辞めるな」と言うように、様々な統計上社員の目立った能力差が出て来るのは3年目ぐらいからと言われています。企業側からすると配属までがゴールで、その先は自分の能力で頑張れとなりがちです。しかし、本当に大切なことは「社員が定着して活躍すること」なのです。そのため、3年後に活躍出来る社員に育てるためにも連続してロードマップを作成することが重要になります。

また、仕事をしていると部署内や同期の間で自分が業務をこなせてないのでは?と不安になることがあると思います。そのような時に基準となるロードマップがあると、人と比べることなくこのまま進めが順調だなと言う安心感を与えることが出来るのです。

⒉振り返りの機会を設定しましょう

色々な経験を積んでいく中で、そのことを正しく振り返る必要性があることを組織をして設計するようにしましょう。社員自身が、業務について自分で振り返る機会をどのように持たせるのか企業が設定することが重要です。

まだ経験の浅い社員の場合は自らを振り返ることは難しいので、上司との1on1やコーチングがおすすめです。業務上で起きた成功も失敗も本人が自分の軸で捉えてしまうので、マイナス思考の人やまだ経験が浅い社員の場合だと「こんな会社は無理だ」となってしまいがちです。しかし、それを経験してきた社員からすると「そのような失敗はみんな経験してきていて当たり前」と経験値となるのです。

注意するポイントは、多くの企業が精神的なサポートやコミュニケーションの接点作りとして振り返りの機会を設定しがちですが、大切なことは経験の浅い社員が得た経験や体験を「これは将来にこういうふうに繋がっていくよ」「これとこれが出来るようになった」と正しく振り返りをさせてあげる機会になるようにしましょう。一緒に振り返りをする先輩や上司への教育も必要です。

⒊承認の機会作りをしましょう

会社での承認というと、社内の表彰式や評価をイメージすると思いますが、それは一部の花形業務の社員のみで大体の社員は蚊帳の外なんていう企業も多いと思います。そのような結果に対する評価ではなく、業務遂行までのプロセスや今月は先月よりもよかったというような「承認欲求」を満たせる機会が大事になります。

例えば、上司との1on1や新人賞・今月頑張った人などスポットライトがどの社員にも平等に当たるようにしましょう。人間は誰でも褒められると嬉しいですよね。その気持ちを忘れないように、企業は業務の一環として社員を評価するようにしましょう。

重要なポイントは、成果を出した人を褒めるだけではなく、そのプロセスを頑張った人など個人別の一定の成果を出し成長したら褒めるのです。

⒋社員の声を聞き、結果を対策を開示しましょう

社員の声とは、今現在のモチベーションややる気を聞くことです。例えば、社員アンケートで「新しい施策はどうですか?」など社員がどう思ったかをしっかりと聞き取りましょう。

注意すべきポイントは、社員アンケートを実施する場合は、必ず匿名で行いましょう。記名式だと、言いたいことも言えず意味のないものになってしまいがちです。

⒌社内でインフォーマルなグループ活動を推奨しましょう

コロナ禍に伴う働き方の変化で、日々プロジェクトや同じ部署、同じグループで仕事をしている人以外とのコミュニケーションの機会がほとんどなくなってきています。特に入社歴が浅い社員は、誰も知らないというケースもあるでしょう。

そのようなコミュニケーションの機会の減少を解消するために、サークル活動や趣味の合うメンバーで勉強会をするなどのグループ活動を会社として推奨することが重要です。例えば、「キャンプ好きメンバーでキャンプに行く」や「部署対抗サッカー大会」などです。なぜ会社公式ではなくインフォーマルなのかというと、会社の施策としてグループ活動をすると目的や目標が必要になり、機能体となりがちです。そのため、友達・相談役・年上の頼れる知り合いのような共同体のような心の繋がりを持つことが大事になります。

社員の経験価値を重視した取り組みで企業価値向上を目指しましょう

リモートワークや在宅勤務など、多様な働き方を選べる時代になってきました。企業が優秀な人材を確保して長く働いてもらうためには、社員にどのような体験を提供できるのかが重要になってきています。

そして、優秀な人材に選ばれる企業になることが企業の成長に繋がるのです。エンプロイーエクスペリエンスを導入することで、従業員満足度の向上による離職率の低下や、モチベーションアップによる生産性の向上など、従業員と企業にとって嬉しい効果を期待できます。

労働力不足や働き方改革が叫ばれている中、自社の課題や従業員の不満などを正しく把握するとともに、経験価値を重視した取り組みを充実させていくことが重要なってきているのです。

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