標語が社内コミュニケーションに効果的な理由とは?

近年、テクノロジーの進化や働き方改革により、日々の業務に革命が起きています。しかしそれに伴い、従業員間の繋がりが希薄になる懸念も浮上しています。特に新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモートワークを導入し、対面でのコミュニケーションが減少しました。このような状況の中、企業のミッションやビジョンを一貫して伝える「標語」が注目されています。標語は、文字通りの意味だけでなく、その背景にある企業の哲学や考え方を伝える力があります。

この記事では、そんな標語が社内コミュニケーションに与える影響と、その効果的な使い方や実例について探っていきます。

社内コミュニケーションとは?

社内コミュニケーションという言葉を簡単に解説すると、それは企業や組織内の人々が情報をやり取りすること、または相互に意見や考えを共有することを指します。このコミュニケーションの質と量が、企業の活力や業績に大きく関わってきます。では、その理由や重要性について、もう少し掘り下げてみましょう。

社員の繋がりと企業の競争力

昨今の企業界では、単に商品の良し悪しやサービスの質だけが競争力ではありません。企業の中での人々の繋がりやチームの一体感が、新しいアイディアや斬新な提案を生み出すキーポイントとなっています。良好なコミュニケーションが行われる場所は、まるで肥沃な土壌のように、新しい考えや創造的なアイディアが次々と芽吹く場所となります。

情報の共有

業務を効率的に進めるためには、適切な情報が適切なタイミングで共有されることが不可欠です。例えば、新しいプロジェクトの進行状況や変更点を全員が知っていることで、無駄な手間やミスを避けることができます。また、企業の大きな方針や目標を共有することで、全員が同じ方向を向いて努力することが可能となります。

チームの連携

各部署やチームがそれぞれの業務に専念するのも大切ですが、全体としての連携も非常に重要です。例えば、営業部門と製造部門がしっかりと連携していれば、顧客のニーズに合わせた商品を迅速に提供することができます。逆に、連携が取れていなければ、お客様の期待に応えるのは難しくなってしまいます。このように、チーム間の良好なコミュニケーションは、業務の効率や結果に大きく影響するのです。

社内コミュニケーションは、単に言葉を交わすだけの行為ではありません。それは、組織の目標を共有し、一致団結して取り組む力を生むエネルギー源です。そして、それが企業の成長や競争力の源泉となるのです。

標語がなぜ社内コミュニケーションに効果的なのか?

標語という言葉を聞くと、多くの人は企業のスローガンやキャッチフレーズを思い浮かべるでしょう。しかし、この短い言葉に込められた意味や力は、我々の想像を超えるものがあります。それは、単に商品やサービスを宣伝するためのものではなく、組織の中心となる価値や哲学を表現し、社員や顧客の心に訴えるものです。

標語が社内コミュニケーションに効果的な理由をご紹介します。

⒈明確なメッセージ

標語は短い言葉の中に組織の哲学や目標を詰め込むため、そのメッセージが明確であり、一貫性をもって伝えられます。

⒉モチベーションの向上

励ましや目標を示す標語は、従業員のモチベーションを高め、一体感を生み出します。

⒊方針の浸透

標語は組織の方針や価値観を簡潔に示すツールとして、これを日常的に共有することで、社員全員が同じ方向に向かうことが容易になります。

⒋共通の認識を形成

組織内の全員が標語を知っていると、その言葉を使うだけで共通の理解や目標についての認識を共有することができます。

⒌文化の強化

標語は企業文化の一部となり、それを通じて企業のアイデンティティや特色を強化することができます。

⒍業務の方向性の強調

標語は社員にとっての行動の指針となり、日常の業務の中での方向性を明確にします。

⒎認知の強化

定期的に繰り返される標語は、社員の記憶に残りやすく、その意味するところを常に思い出させる役割を果たします。

これらの要素を考慮すると、標語は単なる言葉以上のものとして、社内コミュニケーションを効果的に促進するツールとして働くことがわかります。

コロナ禍での社内コミュニケーションの変化と標語の力

新型コロナウイルスの大流行は、働き方や職場の環境に大きな変化をもたらしました。多くの企業がリモートワークを導入し、これまでのオフィスでのコミュニケーションスタイルから大きくシフトしました。こちらでは、コロナ禍での社内コミュニケーションの変化と、標語が果たす新しい役割について詳しく解説します。

物理的な距離の拡大とその影響

社員との物理的な距離が拡大することで、カジュアルなコミュニケーションの機会が減少しました。廊下での偶然の出会いや、ランチタイムの会話など、これまで自然に生まれていたコミュニケーションが減り、企業文化やチームの絆に影響を与えています。

標語を活用した絆の再構築

この新しい環境下で、標語は社員間の絆を再構築する強力なツールとなります。例えば、「一緒に乗り越える」のような標語は、離れた場所からでも共通の目標に向かって努力する意識を高めます。標語は言葉の力で心を一つにし、チーム全体の士気を向上させる役割を果たします。

標語の具体的な活用方法

標語は、会議の開始時や終了時に繰り返し使われるべきです。また、Eメールやチャット、企業の内部SNSなど、さまざまなコミュニケーションツールに組み込むことで、一貫したメッセージが伝わります。リモートワーク中も企業文化を保ち、新しい形の絆を築く助けとなるでしょう。

コロナ禍における社内コミュニケーションの変遷は確かに大きな課題ですが、標語を巧みに活用することで、組織の一体感を保ちながらこの難局を乗り越える手助けをしてくれるでしょう。

企業が実践する標語の活用方法9選

標語は、企業のビジョンやミッションを伝える効果的な手段として広く利用されています。以下では、実在する企業が採用している標語と、その背後にある意味や活用方法について詳しく紹介します。

⒈コスモ石油「ココロも満タンに」

意味:生活者を始めとしたステークホルダーの満足感と心豊かな毎日のために最善を追求する姿勢を表したブランドステイトメントです。どんな時代においても、コスモに関わるすべての人のココロまで満たす存在をめざしています。利益追求主義ではない企業のスタンスがうかがえるクリーンなメッセージが人々の心を掴む、魅力的な標語になっています。

活用方法:サービス、広告、店舗接客などでこのスローガンが活用され、お客様の心を満たすサービスを目指す企業姿勢を伝えています。特にCMは印象的です。

https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/about/company/vision.html

⒉パナソニックホールディングス株式会社「幸せの、チカラに。」

意味:世界がどんなに変わっても、幸せを求める気持ちを止めてはいけないと思う。一人ひとり異なる幸せに、「くらす」「はたらく」「環境」の領域で答えを出していく。パナソニックは7つの事業のチカラを合わせ、あなたの幸せをつくり続けていきたいという意味が込められています。

活用法: 新製品の開発やマーケティング戦略にこの標語を前面に出し、企業の目標を強調しています。

https://holdings.panasonic/jp/corporate/brand/live-your-best.html

⒊Nike 「Just Do It」

意味: 挑戦する勇気を持ち、行動に移す。直訳すると“とにかくやってみよう”というシンプルかつアクティブな一言です。

活用法: 1988年に制定したスローガンで、世界で最も有名な企業スローガンの1つとなり、直訳すると“とにかくやってみよう”というシンプルなもの。広告やキャンペーンでのスローガンとして使用し、スポーツやフィットネスを通じて人々やアスリートたちを鼓舞し続けています。

⒋ユニクロ「LifeWear」

意味:あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。美意識ある合理性をもち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着です。

活用法: ユニクロは「LifeWear」をブランドのコンセプトとして掲げ、単なる服ではなく、日常生活をより快適にするウェアを提供するという姿勢を表現しています。店舗デザインや商品展開、広告戦略にもこの標語の考え方が取り入れられています。

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear/philosophy/

⒌ファミリーマート「あなたと、コンビに、ファミリーマート」

意味:地域に密着し、顧客一人ひとりにとって家族のような存在となるという基本理念から生まれ、「コンビ」と「コンビニ」をかけた表現がユニークで、温もりを感じられるコーポレート標語です。

活用方法:店内のディスプレイ、CM、キャンペーンなどで頻繁に使われ、とても高い認知度を誇っています。2017年に「音商標」として特許庁に登録されており、誰もが口ずさめるフレーズとして世間に浸透しています。

https://www.family.co.jp/company/familymart/idea.html

⒍McDonald’s「I’m Lovin’ It」

意味: マクドナルドの食べ物や体験を楽しむ。私のお気に入りというシンプルなものです。

活用法: 2003年9月から導入された全世界統一のキャッチコピーです。テレビCMやラジオ広告などのマーケティング活動で使用し、ポジティブなブランドイメージの確立と消費者との接続を強化しました。

⒎リクルートホールディングス「まだ、ここにない、出会い」

意味: 一人ひとりの人生に多くの選択肢を提供し、新たな出会いを実現するというミッションが込められています。

活用法:2007年、メディア環境の変化は続き、情報提供だけではなく、一人ひとりの選択に最後まで伴走していくことを決め、メッセージに込めました。以来16年、リクルートは、この言葉をブランドメッセージとして発信し続けています。

https://www.recruit.co.jp/company/involvement/

⒏サントリー「水と生きる SUNTORY」

意味: サントリーのバリューは、「資源である水とともに生きる」「社会にとって水のような豊かさを与える存在となる」「水のように柔軟で創造的な企業となる」という3つです。これらの約束を総括して、「水と生きる」というスローガンとなっています。

活用方法:商品の品質、サステナビリティ活動、広告、社員教育、イベント展示、そしてパートナーシップを通じて幅広く活用されています。この標語は、サントリーの核心的な価値観と企業の取り組みを象徴し、消費者や社員、そしてパートナー企業に対してその姿勢を伝える重要なツールとして機能しています。

https://www.suntory.co.jp/company/philosophy/

⒐日立グループ「Inspire the Next」

意味:「次なる時代へ息吹を与え続ける」という意味です。歴史ある企業として社会のあらゆる問題に取り組みながら、持続可能な世界の実現を目指すという大きなビジョンを掲げています。

活用方法:製品、サービス、広告、CSR活動など、幅広い分野でこのスローガンが活用され、企業の前向きな挑戦と継続的な進化の姿勢を強調しています。これを通じて、日立は顧客や社会に対し、常に新しい価値を創出し続ける企業であるとのメッセージを発信しています。

https://www.hitachi.co.jp/about/corporate/identity/details.html

標語を社内で浸透させる戦略とは?

企業の標語は、その組織の哲学や価値観を伝える重要なツールです。しかし、標語を作るだけでなく、それを組織内に浸透させることが大切です。以下では、標語を浸透させるための具体的な戦略とその活用方法をご説明します。

1. 社内イベントのテーマとしての採用

社員の参加意欲を引き出し、標語に対する理解を深めます。方法は、年次のキックオフミーティングや社員旅行、忘年会などのイベントを開催する際、そのテーマとして標語を採用しましょう。

例えば、 標語が“一緒に成長”の場合、イベントでは前年の成功事例を共有したり、次の年の目標を共有するセッションを行い、共に成長する文化を醸成していきましょう。

2. 標語に基づいた研修やセミナーの開催

社員のスキルアップとともに、標語の背景や意義を深く理解させます。方法は、標語に関連するトピックやスキルを中心にした研修プログラムやセミナーを定期的に実施します。

例えば、標語が“顧客第一”の場合には、顧客サービスのスキルアップセミナーや、顧客の声を取り入れるワークショップを実施することで、その標語の重要性を再認識させましょう。

標語は、ただの言葉です。それを浸透させることで、組織全体の行動や価値観を形成し、組織の方向性を明確にすることができます。上記のような取り組みを通じて、組織の一体感を高めることが期待されます。

組織全体として1つの方向を向いて進むための標語を設定しましょう

近年の働き方の変革やテクノロジーの進化は、社内コミュニケーションのあり方をも大きく変えています。これまでの常識や伝統的な方法に固執するのではなく、時代の流れを捉え、柔軟に対応することが求められています。

社内コミュニケーションは、単に情報の伝達や連携の手段としての役割だけでなく、組織文化を築き、従業員のモチベーションを高める中心的な役割を持っています。その核心に位置するのが、共通の価値観やビジョン、そしてそれを体現する標語です。

標語は、その短い言葉の中に、組織の理念や方向性を凝縮しています。日々の業務の中で疲れや迷いを感じた時、標語を思い返すことで、再び目的や意義を確認し、自身を奮い立たせることができます。

新しい時代の中で、組織全体として一つの方向を向いて進むためには、標語の力を十分に理解し、それを活用することが不可欠です。この機会に、自社の標語やコミュニケーション戦略を見直し、新しい時代の社内コミュニケーションを築く第一歩を踏み出しましょう。

ワークプロセスマネジメントプラットフォーム
Tocaro(トカロ)

仕事のあらゆる行動を定量化し、成果につながるプロセスを見える化します。結果、意思決定の柔軟性を高め、チームの生産性を高めることが可能です。さっそくワークプロセスマネジメントプラットフォームのTocaroを使ってみましょう。