働き方改革の一環として、業務内容を変えるだけでなく、これまでの業務の進め方や働き方を見直し、社員ひとり一人の生産性を高めようと考えている企業は非常に増えています。その働き方改革推進の一環として、「ビジネスチャット」を活用する企業が増加しています。
また、コロナ禍によってテレワークが急激に浸透し始めました。そこで、遠隔でもコミュニケーションが気軽に取りやすい「ビジネスチャット」の利用が広がっています。例えば、ビジネスチャットを利用すれば、コロナ待機や介護、子育てなどで在宅勤務している社員が、会社で仕事をしているかのように社員同士の意思疎通や情報共有を簡単にすることが可能なのです。遠く離れた場所にいても、すぐにやり取りができる便利なツールですが、テキストだけのコミュニケーションのため、誤解が生まれたり、細かなニュアンスや温度感が伝わらなかったりして、ストレスに感じる方もいるかもしれません。
この記事では、働き方改革と新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務の増加により急成長しているビジネスチャットのトラブルやうまく利用するコツ、おすすめのビジネスチャットツールをご紹介します。
コロナ禍で約5割の企業が導入するビジネスチャットとは?
ビジネスチャットは、主に業務連絡・ビジネス上のコミュニケーションのための利用が想定されたチャット用のツールやサービスのことを指します。個人向けチャットよりも、セキュリティ面が強化されていることが特徴の1つです。
ビデオ通話や、スケジュール共有、タスク管理も行う事ができ、ビジネスチャット1つを導入すれば、ほとんどのビジネスコミュニケーションをまかなうことができます。
ビジネス用途チャットツールを導入することで、社内外におけるコミュニケーションスピードの向上やツールを前提とした業務プロセス刷新による業務効率化、サービス品質改善の両立などの成果を得られることが可能です。
コロナ禍で導入した企業が急増加しており、2021年に日経BPコンサルティングが実施した調査では、勤務先でビジネスチャットを導入しているかどうかを尋ねたところ「導入している」と答えたのは43.0%、「導入予定なし」が37.6%となり、導入している企業が半数に近い数字になりました。社員規模別に見ると、導入比率は99人以下の企業では16.5%なのに対し、1万人以上の企業では73.0%という結果となりました。社員の規模が大きくなるに従い、ビジネスチャット導入比率が高まる傾向が顕著となっています。
ビジネスチャットで多いトラブルベスト3とは?
ビジネスチャットは非常に便利なツールな反面、使い方を間違えると業務効率の悪化や社内の人間関係を悪くさせる原因になってしまいます。では、そのようなトラブルが多いのでしょうか?ベスト3をご紹介します。
1位:情報が正確に伝わらずに業務に支障が発生してしまった
業務でトラブルが発生した時やその場にいない人へ現場のややこしい状況を説明するときに起こりがちなトラブルです。主語が抜けていたり、因果関係が矛盾していたり、主観と事実が混在していたりすることで、情報が正確に相手に伝わらず、業務の遅滞やミスを引き起こしてしまいます。曖昧で相手に考えさせる表現はなるべく避けて、事実を自分の主観からではなく客観的に伝えるようにしましょう。
2位:質問にはっきり答えずに、言い回しで相手を怒らせた
伝えた側が悪意はない場合でも、受け手側が「不愉快な思いをした」「攻撃されたと感じた」と誤解し、関係が悪化するパターンもあります。トラブル等の事実を伝えることに必死で、どのような感情で伝えているかまで配慮できていないことで発生することが多いです。相手に気を使う事なく、チャットでは相手からの質問には簡潔にはっきり答えることがコツです。
3位:会話のテンポが合わず、ストレスが溜まってしまった
ビジネスチャットは、メールよりも気軽にレスポンス出来る手軽さからスピーディーなやり取りになりやすく、人によっては話についていくのでやっとで疲れてしまうこともあります。既読機能があるツールだと、返信を急かされている気がして落ち着かない人もいるでしょう。また、対面やビデオ通話のように、相手の表情や雰囲気などをうかがい知ることができないため、会話のテンポを合わせることが難しくなり、ストレスに感じることがあるかもしれません。
ビジネスチャットを上手く利用するコツとは?意識するべき6つのマナーを徹底解説
ビジネスチャットは、テキストコミュニケーションツールですが、メールとは似て非なるものです。よって、メールとは全く別のマナーやルールがあると認識することが重要です。ここでは、ビジネスチャットの6つのマナーについて解説します。
1. 可能な限り、オープンにコミュニケーションしましょう
多くのビジネスチャットツールには、複数人数でトークができるグループやスレッドの他に、ダイレクトメッセージ機能があります。情報共有の即時性を保つためにも、1to1のダイレクトメッセージではなく、グループチャットやスレッドでの会話を心がけましょう。
例えば、業務の質問を部署内のグループチャットでしてみるようにしましょう。オープンにすることで、よりポジティブで生産的なコミュニケーションが生まれますし、相互不信が生まれる心配もなくなります。
2. カジュアルな意思疎通のツールであることを意識しましょう
メールは私的な想いや感情を差し挟むというより、挨拶や署名など基本のビジネスマナーにしたがって伝えたい情報を記載する「情報伝達」をすることが重視されます。
それに対し、ビジネスチャットはLINEやTwitterのようなスピーディーで砕けたカジュアルな会話が好まれます。淡々と情報伝達をするよりは、感情や表情を伝える意思疎通が重視され、感情を表すスタンプのみでやり取りをすることもあります。
メール世代の方からすると「この人失礼だな」「怒っているのかな?」と感覚のずれが生じてトラブルになることもあるので、チャットのカジュアルさを理解しましょう。
3. 即時のリアクションを期待しないようにしましょう
チャットは、「非同期コミュニケーション」の手段として使うものだと社内で認識することが重要です。非同期コミュニケーションとは、即時に対応する必要のないコミュニケーションのことです。対面の打ち合わせや電話はその場で対応することが求められる同期コミュニケーションですが、チャットやメールは違います。しかし、そのことを社内で認識していないと、トラブルになることがあります。特に自分と相手の時間と集中を奪うことが、一番トラブルになる要因になります。
例えば、「オンライン中」と表示されるチャットツールを使っている場合は、即時に対応してもらえるだろうと相手に期待していませんか? 逆に自分が、即時に対応しなければとプレッシャーを感じて、今やっている仕事を中断して返信をしてしまうこともあります。生産性を上げるには、各人が集中して仕事に取り組むことが肝心です。チャットは「非同期コミュニケーション」だと社内で認識して、メリハリをつけて使うことが重要です。
4. 感情が伝わるように、感嘆符や絵文字スタンプを使いましょう
ビジネスチャットはコミュニケーションツールなので情報だけでなく、自分の感情や想いを相手に伝えることが重要です。先ほども説明したように、ビジネスチャットは情報伝達ではなく、意思疎通が重要視されるからです。
そのため、チャットだと冷たく見えドライな印象を与える「。」や「、」だけにせず、ときには「!(感嘆符)」や「…(3点リーダー)」、関係性が親密であれば顔文字や絵文字などを、なるべく感情が伝わるように工夫しましょう。
会社において、若い人が自ら率先して絵文字を使うのはハードルが高いので、経営者や上司の立場にある人のほうから「絵文字は使わないといけないもの」と発信していくことが重要です。
5. チャットハラスメントを社内で啓蒙しましょう
ビジネスチャットでつながるということは、相手の個人の連絡先を知ることと同等の意味があるため、経営者や上司の知らないところで、勝手に異性を口説くといったハラスメントが生まれるリスクがあるのです。
チャットだと気軽さゆえに、発生する率が高くなる傾向があります。また、上司や同僚の悪口を言うためだけのグループが作られたりすることも考えられます。
そのようなチャットハラスメントを防ぐためには、社内でチャットハラスメントを啓蒙したり、グループを作ることができるのは管理者のみなどのルールを決めておく必要があります。
6. 休みの日にはチャットは見ないルールを決めましょう
真面目な人ほど「全部読まないと」「返信しないと」と思ってしまい、いつでも確認してしまい、休みの日でも対応してしまうことがあります。これでは、休みの日も休むことができません。
緊急時の対応の仕方は前もって決めておくといいでしょう。休みの日に返事がこないことを許す社風とセットでチャットを導入するとよりベストでしょう。
おすすめのビジネスチャットツールをご紹介
上記でご説明したビジネスチャットを上手く運営するコツを生かして、ビジネスチャットツールを導入してみましょう。おすすめのビジネスチャットツール2サービスをご紹介します。
国内No.1の導入数を誇る国産ビジネスチャットツール「Chatwork」



Chatwork株式会社が提供する「Chatwork」は、30万社以上が導入中である“純国産”のビジネスチャットツールです。直感的に使えるデザインのため、チャットに慣れない方・初めて使う方もスムーズに操作が可能です。
「担当者」「期限」を設定してタスクを登録できる機能が人気で、対応漏れを防ぐことができます。また、ユニークな機能として「マイチャット」が人気です。自分だけが見ることのできるチャットで、メモやファイルの置き場としても活用でき、業務効率に繋がります。
IDを共有すると社内外とのやり取りとしても利用することができるため、取引先との連絡や委託先にアウトソーシングする際のタスク管理など、社外とのやりとりが多い企業にお勧めです。既読機能がないので、返信のプレッシャーがかからないところが人気のポイントです。
タスク管理も可能で「本日・1週間以内・期限なし」など細かく分けて、誰がどのタスクを持っているのかを可視化できます。タスクを完了させるとグループメンバーにも通知がいくため、互いに進捗状況を確認できます。
Chatworkサービスサイト : https://go.chatwork.com/ja/
金融レベルの高セキュリティが人気の2000社以上の利用実績を誇る「Tocaro」



伊藤忠テクノソリューションズの「Tocaro(トカロ)」は、組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的として自社開発したビジネスチャットツールです。組織で働くビジネスマンがより効率的に働くことをサポートすることを目的としています。『グループチャット』『ファイル共有』『タスク管理機能』『ビデオ通話』『通話』『Box連携』『柔軟なセキュリティ機能』が備わっています。
Tocaroの最大の特徴は、検索機能です。発信者が投稿したデータやファイルを自動で整理して管理されるため、複数のチャットから必要な情報を素早く引き出せます。アップロードされた画像やファイルなども一元管理できるほか、タスクの期日や担当者を割り当て、共有することも可能です。業務に必要な資料や情報、進捗状況などを素早く共有・可視化できることで、業務効率の向上に役立てられます。
安心安全で使いやすさを重視する金融・通信・鉄道・航空・教育など、幅広い業界で利用されています。
Tocaroサービスサイト:https://tocaro.im/
ビジネスチャットを上手く利用するコツを社内で話し合いましょう
電話やメールに加えて、ビジネスチャットなど時代とともにビジネスツールは確実に進化しています。ツールが変わっても、画面の向こう側に人がいて、その人とコミュニケーションをしているという事実は変わりません。
「情報を伝達できれば良い」ではなく、感情や気持ちなどを伝えられるよう意識して、気持ちの良いコミュニケーションを心がけていきましょう。導入する前に、社内で説明会などを開催し、ビジネスチャットツールのマナーやルールをしっかりと社員一人一人に認識させることが重要です。
ビジネスチャットを使うということは、時間の使い方を変えるということです。対面は移動などの時間がかかってしまいがちです。デジタルツールでも対応できることは徹底的にデジタルツールに移行して、業務効率化を図りましょう。
それはつまり、働き方を変えるということになります。ビジネスチャットを使いこなして生産性向上を実現し、理想的な職場環境の構築を行ってください。