社会人であれば度々耳にする「ロジカルシンキング」という言葉。
一体どのような条件を満たしていれば論理的であると言えるのか、そもそもなぜロジカルシンキングが必要とされるのか、考えたことはありますか?
今回は、そんなロジカルシンキングの基本的な情報について、まとめてみました。
ロジカルシンキングの定義
ロジカルシンキングとは、ある事象を秩序に沿って分解・整理したうえで、矛盾の無いよう筋道を立てて考える思考法のことです。論理的思考とも呼ばれます。
ロジカルシンキングのメリット
ではロジカルシンキングはなぜ、仕事において重要視されるのでしょうか?それは、ロジカルシンキングが様々なビジネスシーンにおいて活用でき、使いこなせば多くのメリットを得られる思考法であるからです。
ロジカルシンキングのメリットは、一言で説明すると、生産性が向上することであると言えます。さらに大きく2つに分けると、コミュニケーションにおけるメリットと、問題解決におけるメリットとがあります。
コミュニケーションにおけるメリット
ロジカルシンキングの過程ではまず、物事を整理することが必須です。同時に自身の頭の中も整理され、伝えたいことを漏らさず、かつ重複なく伝えることができるようになります。
また、筋道を立てて考える過程を経て客観性を身に付けることができれば、どんな相手にも等しく自分の主張を理解してもらえるようになります。
問題解決におけるメリット
問題解決にはまず、問題の原因を特定する分析力が必要です。ロジカルシンキングに則れば、様々な問題を細分化し、分類しつつ整理することで、問題の原因の所在を突き止めることができます。
さらに、その問題に対する解決策を、漠然とではなく、相関関係や因果関係の中で思索することにより、より着実に問題を解決することができるようになります。
ステップ1:ロジカルシンキングの基本思考
定義でも述べたように、ロジカルシンキングには事象を分解し整理する段階と、筋道を立てて考える段階とに分けられます。
ここでは、情報を分解・整理する段階で必要となる基本的な考え方について説明します。
MECE(ミーシー)
ひとつは、事象を分解する際に必要となる、MECE(ミーシー)です。MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったもので、「モレなくダブりなく」を意味します。
大きく複雑な事象を小さくシンプルな要素へと分解する際、抜け漏れが生じてしまうと、重要な要素が後の思考の対象外になってしまい、問題解決といった目的が達成されなくなってしまいます。
また、同じ要素を重複してカウントしてしまうと、何度も同じことを考えることになり、非効率です。
So What?(つまり?)/Why So?(なぜ?)
さらに、要素を整理する際に役立つのが「So What?(つまり?)」「Why So?(なぜ?)」です。事象を分解した後整理するときには、ただ要素を並べるのではなく、何らかのルールに従って整理する必要があります。「So What?」「Why So?」の2つを使って自問自答を繰り返すことはある種のルールになります。
そしてルールに従うことで、要素間の関連性や因果関係が明らかになり、脈絡が生まれます。こうした脈絡があるということが、論理的であるということなのです。
ステップ2:ロジカルシンキングの具体的手法
つぎに、筋道を立てて考える段階において、よく用いられる2つの論理展開の手法について紹介します。
演繹法
演繹法は、一般的・普遍的事実(大前提)と観察事項(小前提)という2種類の情報から必然的に導き出される結論を得る方法です。有名な演繹法の例に次にようなものがあります。
人間はいつか死ぬ。(大前提)
ソクラテスは人間である。(小前提)
故にソクラテスはいつか死ぬ。(結論)
ただしこの方法には注意点があり、前提が間違っていればそこから導かれる結論も当然誤ったものになることです。演繹法を使うときは、そもそもの前提が正しいかどうか吟味する視点を忘れないようにしましょう。
帰納法
帰納法は、複数の事実から共通項をまとめ一般化することにより結論を導く方法です。演繹法とは逆方向に論理を展開することになります。
先程の例を使えば、以下のようになります。
ソクラテスが死んだ。(事実)
プラトンが死んだ。(事実)
アリストテレスが死んだ。(事実)
上の3つの事実には「人間」と「死」が共通している。(共通項)
故に、人間は皆死ぬ。(結論)
ただ、帰納法にも注意すべき点があります。導き出される結論は、列挙した事実の傾向をまとめただけに過ぎず、普遍的事実ではないということです。
人間は皆死ぬ、という結論ならまだしも、「テレビでも雑誌でも友人の話でも『バナナはダイエットに効果的だ』とあった。故にバナナを食べれば必ずダイエットに成功する」という結論は普遍的事実とは言えません。帰納法はあくまで推論であるということに留意しましょう。
まとめ
ロジカルシンキングは論理的思考とも呼ばれ、ある事象を秩序に沿って分解・整理したうえで、矛盾の無いよう筋道を立てて考える思考法を指します。
基本的な仕方としては、事象を分解する段階においてはMECEの概念、整理する段階においては「So What?(つまり?)」「Why So?(なぜ?)」の考え方、筋道を立てて考える段階においては演繹法や帰納法といった論理展開を使います。
ロジカルシンキングは万能ではなく、注意すべき点も存在するため、「前提が間違っていないか?」「視点が狭まってはいないか?」といったように批判的に振り返ることで、より精度を高めることができます。
ロジカルシンキングを習得して、仕事の生産性を向上させましょう。
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