データで組織を導く「見える化」の効果とその実現手法

ある航空会社では、毎日何千ものフライトが運航しています。しかし、その巨大な運行システムは、各フライトの遅延情報、機材状況、天候、エンジン性能など、一見無関係に思えるさまざまな情報から構成されています。この情報が無秩序に存在していると、経営者は全体像を把握することが難しく、最適な意思決定を下すことができません。組織の方向性を定めるために信頼できる道具に頼らなければいけないのです。

その道具とは何か、それはデータです。しかし、大量のデータをただ生産・蓄積するだけでは不十分で、それらを「見える化」することで初めて、組織全体の理解と行動を促進する有用な指針となります。

ここで重要となるのが「見える化」の力です。

この記事では、その見える化とは何か、なぜ重要なのか、そしてどのように実現するのかについて解説します。

見える化とは何か?

「見える化」は、主に情報やデータを視覚的な形式で表示し理解を深めるプロセスを指します。これには、チャート、グラフ、地図、ダッシュボードなどの視覚的表現が含まれます。これらの視覚的表現は、複雑なデータセットを理解しやすくし、パターン、トレンド、相関関係などの洞察を明らかにします。

しかし、見える化は単なる視覚的表現以上のものです。それはまた、企業や組織が自身のビジネスの様々な側面をより明確に理解し、データ主導の意思決定を行うための道具として使われます。これにより、問題や機会を特定し、リソースを最適に割り当て、パフォーマンスを追跡し、戦略を調整することが可能になります。

例えば、企業が自身の販売データを視覚化することで、最も売れている商品、売上の傾向、地域別のパフォーマンスなど、重要な商業的洞察を得ることができます。また、製造プロセスの見える化は、生産のボトルネックや効率化の機会を明らかにすることができます。

組織はまた、データを見える化することで、従業員やステークホルダーと情報を共有し、透明性を確保し、全員が同じ目標に向かって取り組むことができます。

見える化とは、情報をより理解しやすく、アクセスしやすく、そして有効にする手段であり、組織のパフォーマンスを向上させるための強力なツールとなります。要するに、見える化は情報を理解しやすく、意思決定を促進するための道具なのです。

見える化の価値とは何?

「見える化」の価値は、大量の複雑な情報を凝縮し、理解しやすい形で表示することにあります。人間の脳は視覚情報を効率的に処理する能力を持っており、テキストよりも視覚的な情報の方がはるかに速く理解できます。したがって、データを視覚的に表示することで、パターンやトレンドを迅速に把握し、情報から洞察を引き出すことが容易になります。これが「見える化」の基本的な価値なのです。

さらに、見える化は以下のような具体的な価値を提供します。

⒈高速な洞察の抽出(大事な情報を素早く見つけ出す能力)

膨大なデータの中から重要な情報を引き出すことは時間と労力を必要としますが、見える化により、データの中に隠れたパターン、トレンド、相関関係を直観的に理解できます。これにより、ビジネスリーダーは迅速な意思決定を行うことができ、より早く行動にうつすことが可能になります。

⒉データのアクセシビリティ(データを簡単に見つけて使えるようにする能力)

テキストベースの報告では、必要な情報を見つけ出すのが困難な場合がありますが、見える化されたデータは直感的にアクセスしやすく、必要な情報をすばやく見つけることができます。これにより、情報のアクセシビリティが向上し、組織全体の生産性が向上します。

⒊共有とコラボレーション(チームで同じ情報を見て考えたり、作業をしたりすること)

見える化は情報の共有を容易にし、異なるチーム間のコラボレーションを促進します。視覚的な情報は共有しやすく、人々は同じ画像を見ることで共通の理解を持つことができます。これにより、組織全体の認識が統一され、効率的なコラボレーションが可能になります。

⒋意思決定の強化(より良い選択をする力を高めること)

見える化はデータに基づいた意思決定を強化します。視覚的に表示されたデータは、リーダーが情報を処理し、洞察を得るのを助け、より良い決定を下すための信頼性のある基盤を提供できるのです。

見える化は、これらの価値を提供することで、組織の生産性、効率性、およびパフォーマンスを向上させるための強力なツールとなります。

「見える化」と「可視化」の違いとは?

「見える化」と「可視化」はしばしば同義語として使用されますが、微妙な違いが存在します。

見える化(Visualization)

「見える化」とは、主に日本で用いられ、ある現象や状況、情報などを視覚的な形式に変換することを指します。「見える化」は抽象的な情報や状況を具体的に理解するためのツールとなります。それはグラフやチャート、ダッシュボード、マップなど、情報を視覚的に捉えるための形式に変換することを含みます。このプロセスは、大量のデータを短時間で理解したり、あるいは隠れたパターンや関係性を明らかにするのに役立ちます。

可視化(Visualisation)

「可視化」とは、一般的には英語圏で用いられます。データを視覚的に表現することを指しますが、その目的は「見える化」と同様に、情報を容易に理解・解釈しやすい形にすることです。ただし、”Visualisation”の用途はデータ表示だけにとどまらず、教育、設計、模擬等、より広範な領域に広がっています。

言葉の使い方には地域や業界による差があるため、これらの用語はしばしば同義として交換可能に使われます。どちらの用語も、情報を視覚的な形式に変換して理解しやすくするという共通の目的を持っています。

見える化の事例

「見える化」の具体的な事例は無数にありますが、以下にいくつかご紹介します。「見える化」がどのように多様な業界で使われ、価値を提供するかぜひ参考にしてみて下さい。

営業パフォーマンスダッシュボード

多くの企業では、営業チームのパフォーマンスを把握し、達成度を可視化するためにダッシュボードを使用しています。これらのダッシュボードには、通常、リードの数、獲得した顧客の数、平均取引サイズ、営業サイクルの長さなど、キーとなるパフォーマンス指標が含まれます。これにより、リーダーシップはパフォーマンスをリアルタイムで監視し、必要に応じて戦略を調整できます。

製造工程の見える化

製造業では、生産ラインの効率と品質を向上させるために、製造工程を視覚化します。例えば、生産工程の各ステージでの製品の在庫、故障率、生産速度などをリアルタイムでトラッキングするダッシュボードが用いられます。これにより、ボトルネックや問題点を迅速に特定し、対応することが可能となります。

顧客の購買行動分析

小売業者やオンラインストアは、顧客の購買パターンを理解し、マーケティング戦略を活用するために、購買データを視覚化します。例えば、年齢層、性別、地域などによる購買行動の違い、購入頻度や平均購入金額のトレンドなどを見える化します。顧客の消費行動が解れば、仕入れや在庫管理にも生かすことができます。

プロジェクト管理

多くの組織では、複数人で行う業務ではプロジェクトの進捗状況を可視化し、全体のパフォーマンスを監視します。例えば、ガントチャートはプロジェクトのタイムラインを視覚化し、タスクの進捗状況、期間、依存関係を一目で理解することができます。

これらの事例は、見える化がビジネスのさまざまな側面でどのように活用され、組織のパフォーマンスを向上させるかを示しています。見える化は、データをより理解しやすく、アクションを起こしやすくし、組織全体のパフォーマンスを向上させる素晴らしいツールなのです。

見える化の実現手法とは?

見える化の実現手法とは、「膨大なデータをわかりやすい形に変える方法やツール」を指します。

もし山のような本から特定の情報を見つけなければならない場合は、一冊一冊ページをめくって読むしかないかもしれません。しかし、もし目次や索引があれば、探している情報をすばやく見つけることができるはずです。

見える化の実現手法も同じようなものです。データ分析ソフトウェアやビジネスインテリジェンス(BI)ツール、データダッシュボードなどがあります。これらのツールは、大量のデータから重要な情報を見つけ、それをわかりやすい形(例えば、グラフやチャート)に変換します。

例えば、ある製品の売上が月ごとにどう変化しているかを示す折れ線グラフを想像してみてください。数字だけの一覧表よりも、グラフの方が変化の傾向をすぐに理解しやすくなります。また、色を使って売上が増えている月と減っている月を分かりやすく示すこともできます。

これらの手法を使うことで、企業はデータの「見える化」を実現し、データから有益な洞察を得ることができます。これは、企業が賢明な意思決定を行い、ビジネスの成功を追求する上で非常に重要です。

見える化を実現するおすすめのツール

「見える化」を実現するためには、適切なツールの選択が重要です。選ぶ際は、あなたの目的、利用可能なリソース、技術的な能力、そして扱うデータの種類をよく確認して利用してみましょう。それぞれのツールは、特有の特性と機能を持っていますので、自分の目的や要件に合わせて最適なツールを選ぶことが重要です。

以下に、一部のおすすめの「見える化」ツールを紹介します。

【スプレッドシートツール】

基本的なデータ整理や分析、そして簡単なデータ可視化を行うことができます。Microsoft ExcelやGoogle Sheetsがこの分類に該当します。個々のデータポイントにアクセスしたり、基本的な数値計算やグラフ作成を行うには十分な機能を備えています。

Microsoft Excel

出典:Microsoft Excel

スプレッドシートツールの一つで、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフなどの基本的な視覚化機能を持っています。また、PivotTableという強力なデータ集計機能もあります。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/excel

Google Sheets

出典:Google Sheets

Googleのスプレッドシートツールで、Excelと同様の視覚化機能を持ちつつ、オンラインで共有や編集が容易に行えます。

https://www.google.com/intl/ja_jp/sheets/about/

【ビジネスインテリジェンスツール (BIツール)】

これらのツールはデータ分析、レポート作成、そして高度なデータ可視化に特化しています。多量のデータを一度に取り扱い、複雑な視覚表現やインタラクティブなダッシュボードを作成することが可能です。Tableau, Power BI, Looker, QlikViewなどがこの分類に該当します。

Tableau

出典:Tableau

ビジネスインテリジェンスとデータ視覚化に特化したツールで、高度な視覚化とダッシュボード作成が可能です。また、大量のデータを扱うことが可能で、データのドリルダウンなども容易に行えます。

https://www.tableau.com/ja-jp/why-tableau/what-is-tableau

Power BI

出典:Power BI

Microsoftが提供するビジネスインテリジェンスツールで、Excelとの連携が強いことが特徴です。Tableauと同様に高度な視覚化が可能で、データ分析も行えます。

https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/

Looker

出典:Looker

Google Cloud Platformの一部として提供されているデータ視覚化ツールで、大量のデータをリアルタイムに扱うことが可能です。視覚化だけでなく、データの探索や共有も行えます。

https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja

QlikView

出典:QlikView

ビジネスインテリジェンスとデータ視覚化に特化したツールで、直感的なインターフェースと強力なデータモデリング機能を持っています。データの関連性を強調して表示することが特徴です。

https://www.qlik.com/ja-jp/products/qlikview

D3.js

出典:D3.js

JavaScriptのライブラリで、ウェブ上で動的で対話的なデータビジュアライゼーションを作成することができます。一定のプログラミングスキルが必要ですが、その分自由度は非常に高いです。データを元に、チャートやグラフなどをビジュアライズします。

https://d3js.org

見える化へのステップバイステップのアプローチ

見える化へのステップバイステップのアプローチ」は、データの可視化プロセスを一連のステップに分けて、それぞれのステップを順番に実行していくという意味です。

見える化へのアプローチは多少複雑に思えるかもしれませんが、一歩ずつ進むことで理解を深めることができます。以下に、見える化のためのステップバイステップのプロセスをご紹介します。

⒈データを知る

見える化したい情報(データ)を理解しましょう。何についてのデータなのか、どのような情報が含まれているのかを理解することから始めます。

⒉目標を決める

次に、見える化で何を達成したいのかを決めます。自分たちがデータから何を学びたいのか、何を伝えたいのかを明確にします。

⒊見せ方を選ぶ

目標に合わせて、最適なグラフや図を選びます。棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなど、伝えたい情報を最も効果的に見せる方法を選びます。

⒋データを整える

グラフにデータを表示するために、データを適切な形に整えます。不要な情報を削除したり、形式を変更したりすることが含まれます。

⒌グラフを作る

整えたデータを使って、選んだグラフを作成します。このとき、色や大きさ、ラベルなどを調整して、情報が明確に伝わるようにします。

⒍結果を見て行動する

最後に、作ったグラフから何がわかるかを考え、それに基づいて何をすべきかを決めます。グラフが意味を持つのは、それをもとに行動を起こすときです。データから何が見えてきたのか、それが意味するものは何かを理解し、それに基づいた行動を取ります。

これらの手順を順に踏むことで、データを「見える化」することができます。繰り返し行うことで、データの理解を深め、より効果的なグラフを作成できるようになります。ぜひ参考にしてみて下さい。

ビジネスパフォーマンスを最大化する見える化

この記事では、見える化の重要性、その定義、その価値、そして実現手法について解説しました。

ビジネス環境がますます複雑化し、大量のデータが生成される現代では、見える化は企業が競争力を維持するための重要なツールとなっています。情報を見える化することで、ただ情報を見やすくするだけではなく、データから有益な洞察を得て意思決定を促進し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための強力な道具です。これは、組織の効率化、パフォーマンスの向上、そして最終的には組織の成功につながります。

貴社でも、見える化の手法を取り入れ、データの真価を引き出すことで生産性向上を目指してみて下さい。

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