この記事では、コストを抑えながらも、企業の重要なデータを守るセキュリティ対策に優れたビジネスチャットの選び方を解説します。さらに、無料プランや無料トライアルを提供しており、安心して試せるおすすめツールを厳選してご紹介します。
なぜビジネスチャットの「セキュリティ」が重要なのか?
企業のコミュニケーションインフラとなるビジネスチャットにおいて、セキュリティ対策を軽視することは大きなリスクにつながります。
ビジネスチャットでは、日々の業務連絡はもちろん、顧客情報、プロジェクトの機密情報、経営戦略など、会社の生命線とも言える重要な情報がやり取りされます。セキュリティ対策が不十分なツールを利用すると、以下のような深刻なリスクに直面する可能性があります。
- 情報漏洩: 機密情報が外部に流出し、企業の信頼失墜や法的措置につながる。
- 不正アクセス: 不正なユーザーがアカウントを乗っ取り、情報を盗み見たり、改ざんしたりする。
- マルウェア感染: 悪意のあるファイルが共有され、社内ネットワーク全体に被害が広がる。
特に、オンプレミス型のシステム運用を検討している企業や、これまでビジネスチャットを十分に活用できていなかった企業は、セキュリティの重要性を再認識する必要があります。無料で使えるからといって安易に選ぶのではなく、企業の未来を守るための「投資」として、セキュリティを最優先に検討することが求められます。
セキュリティに優れたビジネスチャットを選ぶ3つのポイント
ビジネスチャットを選ぶ際、特に注目すべきセキュリティのポイントは以下の3つです。これらをチェックすることで、安全な運用が可能になります。
1. 通信とデータの「暗号化」
暗号化は、情報漏洩を防ぐための最も基本的なセキュリティ対策です。
- 通信の暗号化: サーバーとユーザーの間の通信を暗号化(SSL/TLS)することで、第三者による盗聴や改ざんを防ぎます。
- データの暗号化: サーバーに保存されるデータを暗号化することで、万が一サーバーに不正アクセスされた場合でも、情報が読み取られるリスクを低減します。
特に、金融機関や医療機関など、高いセキュリティ要件が求められる企業は、データの暗号化方式(例:AES-256)や暗号化の適用範囲(通信時、保存時)を確認しましょう。
2. きめ細やかな「アクセス権限・ユーザー管理」機能
社員の役割や立場に応じて、アクセスできる情報や機能を制限する機能は、内部からの情報漏洩を防ぐ上で不可欠です。
- 権限設定: 閲覧のみ、編集可能、ファイル共有不可など、ユーザーごとに細かく権限を設定できるか。
- パスワードポリシー: パスワードの複雑性や有効期限を設定できるか。
- 監査ログ: 誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを記録し、不正な動きを検知できるか。
3. 安心の「データ保持・バックアップ」機能
重要なデータを守るためには、データの消失や破損に備える機能も重要です。
- バックアップ: 定期的にデータのバックアップが自動的に行われるか。
- データ保持期間: 削除されたデータを一定期間保持し、復元できるか。
これらの機能は、無料プランでは一部制限がある場合があります。しかし、無料トライアルなどを利用して、自社の運用体制に必要な機能が備わっているか事前に確認することが重要です。
セキュリティに強い無料プランやトライアルがあるビジネスチャットおすすめ5選
ここからは、上記のポイントを踏まえ、セキュリティに強い無料プランや無料トライアルがあるビジネスチャットを5つご紹介します。
1. Tocaro(トカロ)



Tocaroは、セキュリティが気になる方に最もおすすめしたい国産のビジネスチャットです。特に、高いセキュリティ要件が求められる企業や、オンプレミス運用に興味がある企業に最適です。
- セキュリティの特徴
- オンプレミス対応: オンプレミス型での提供が可能で、企業のセキュリティポリシーに合わせた柔軟な運用が実現できます。自社サーバー内でデータを管理できるため、情報システム部の方も安心して導入できます。
- 国産サービス: 日本国内で開発・サポートが行われているため、日本の商習慣や法律に合わせた対応が期待できます。
- 国際規格に準拠: ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しており、情報セキュリティマネジメントシステムが国際的な基準を満たしていることが証明されています。
- 厳格なアクセス権限設定: フォルダやファイル単位でのアクセス権限設定が可能で、部署やプロジェクトごとに情報を厳密に管理できます。
- 通信・データ暗号化: 通信はTLS1.2以上で、サーバー内のデータはAES-256で暗号化されています。
- 無料プラン・トライアル
- 30日間の無料トライアルがあり、全機能を試すことができます。無料トライアル期間中は、プロジェクトやタスク管理機能も試せるため、チームでの活用イメージを掴むことができます。
- こんな企業におすすめ
- 情報システム部が主導し、厳格なセキュリティポリシーを求める企業。
- 外部のクラウドにデータを預けることに抵抗がある企業。
- プロジェクト管理機能も活用して、生産性を向上させたい企業。
公式サイト:https://www.tocaro.im/
2. Slack



世界中で広く利用されているSlackは、豊富な機能と高い連携性が魅力のビジネスチャットです。無料プランでも十分な機能が利用でき、多くの企業が導入しています。
- セキュリティの特徴:
- 通信・データ暗号化: 通信はTLS、サーバー内のデータはAES-256で暗号化されています。
- 多要素認証(MFA): セキュリティを強化するため、多要素認証に対応しています。
- SOC2 Type II、ISO 27001などの認証取得: 国際的なセキュリティ基準に準拠しています。
- 無料プラン・トライアル:
- 無料プランでも、直近90日間のメッセージ履歴や10個のアプリ連携が利用できます。
- 有料プランの無料トライアルも可能です。
- こんな企業におすすめ:
- 外部サービスとの連携を重視し、業務効率化を図りたい企業。
- ITリテラシーが高いメンバーが多く、活発なコミュニケーションを求める企業。
公式サイト:https://slack.com/intl/ja-jp/
3. Microsoft Teams



Microsoft Teamsは、Microsoft 365とシームレスに連携できるビジネスチャットです。WordやExcelなど、Office製品を日常的に利用している企業にとっては、非常に使いやすいツールです。
- セキュリティの特徴:
- Microsoftのセキュリティ基盤: Microsoft Azureの強固なセキュリティ基盤上で運用されており、高度なセキュリティ対策が施されています。
- データレジデンシー: データの保存場所を地理的に選択できるため、コンプライアンス要件を満たすことができます。
- 情報保護機能: 情報保護ラベルやデータ損失防止(DLP)機能により、機密情報の共有を制限できます。
- 無料プラン・トライアル:
- 無料プランでは、グループチャット、ビデオ通話、ファイル共有などが利用できます。
- Microsoft 365の一部として利用する場合は、様々な機能が利用できます。
- こんな企業におすすめ:
- すでにMicrosoft 365を導入している企業。
- Web会議やドキュメント共有を頻繁に行う企業。
公式サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
4. Chatwork



Chatworkは、シンプルなインターフェースとタスク管理機能が特徴の国産ビジネスチャットです。直感的な操作性で、ITに不慣れな方でもすぐに使いこなすことができます。
- セキュリティの特徴:
- 通信の暗号化: サーバーとユーザー間の通信はTLS/SSLで暗号化されています。
- ISO 27001認証取得: セキュリティマネジメントシステムの国際基準を満たしています。
- 日本の法律・商習慣に準拠: 日本国内での利用を想定したサービスであるため、日本の企業が安心して利用できます。
- 無料プラン・トライアル:
- 無料プランでは、グループチャット数やメッセージ閲覧数に制限がありますが、基本的な機能は利用可能です。
- こんな企業におすすめ:
- シンプルな操作性を重視し、全社的な導入を検討している企業。
- タスク管理機能も活用して、業務の見える化を図りたい企業。
公式サイト:https://go.chatwork.com/ja/
5. LINE WORKS



LINE WORKSは、LINEと同じUI/UXを持つビジネスチャットです。普段からLINEを使っている社員が多い企業では、導入のハードルが低いことが最大のメリットです。
- セキュリティの特徴:
- LINEのセキュリティ技術: 世界中で利用されるLINEの強固なセキュリティ基盤をベースに、さらにビジネス向けにセキュリティを強化しています。
- ISO/IEC 27001認証取得: 国際的なセキュリティ基準を満たしています。
- 監査ログ: 誰がいつログインしたか、どの情報を閲覧したかなどのログを記録できます。
- 無料プラン・トライアル:
- 無料プランでは、5人まで、100GBのストレージが利用できます。
- こんな企業におすすめ:
- 社員がLINEに慣れているため、スムーズな導入を望む企業。
- 少人数のチームや部署で気軽に試したい企業。
公式サイト:https://line-works.com/
比較表で一目瞭然!セキュリティと料金をチェック
サービス名 | 主なセキュリティ機能 | 無料プランの有無 | こんな企業におすすめ |
Tocaro | オンプレミス対応、ISO/IEC 27001、TLS/AES-256暗号化 | 30日間無料トライアル | 高いセキュリティ要件、オンプレミス志向、プロジェクト管理もしたい企業 |
Slack | MFA、ISO 27001、TLS/AES-256暗号化 | あり(機能制限あり) | 外部連携を重視、ITリテラシーが高い企業 |
Microsoft Teams | Azure基盤、DLP、データレジデンシー | あり(機能制限あり) | Microsoft 365をすでに導入済み、Web会議が多い企業 |
Chatwork | ISO 27001、TLS/SSL暗号化 | あり(機能制限あり) | シンプルな操作性を重視、タスク管理も行いたい企業 |
LINE WORKS | LINEの技術基盤、ISO/IEC 27001、監査ログ | あり(人数・容量制限あり) | LINEのUIに慣れている、スムーズな導入を望む企業 |
導入を成功させるためのステップと注意点
無料プランで試す場合でも、以下のステップと注意点を意識することで、導入後の活用がスムーズになります。
⒈目的の明確化
「なぜビジネスチャットを導入するのか」を明確にしましょう。単なるコミュニケーションのためか、それともプロジェクト管理やファイル共有など、業務効率化のためか。目的によって、選ぶべきツールが変わります。
⒉無料プランで試運用
気になるツールの無料プランや無料トライアルを利用して、まずは社内の特定の部署やプロジェクトチームで試運用してみましょう。実際に使ってみることで、自社の運用に合っているか、使い勝手はどうかなどを判断できます。
⒊セキュリティポリシーの策定
導入前に、セキュリティポリシーを策定しておくことが重要です。例えば、「機密情報はチャットでやり取りしない」「個人アカウントでの利用は禁止」など、具体的なルールを設けることで、セキュリティリスクを低減できます。
⒋オンプレミスとの比較
オンプレミス型に興味がある場合は、Tocaroのようにオンプレミス対応が可能なツールを無料トライアルで試してみるのがおすすめです。クラウド型と比較して、運用コストや手間、メリット・デメリットを把握した上で、最適な選択をしましょう。
まとめ
無料のビジネスチャットでも、セキュリティ対策に優れたツールは数多く存在します。コストを抑えたいからといって、セキュリティを妥協する必要はありません。
この記事でご紹介した「暗号化」「アクセス権限」「データ保持」という3つのポイントを押さえ、各ツールの特徴を比較することで、あなたの会社に最適なビジネスチャットを見つけることができるでしょう。
特に、オンプレミス型も検討している企業や、セキュリティを最優先に考える企業には、いろんなツールの無料プランでお試しすることをおすすめします。
ぜひ、この機会に最適なツールを見つけ、安全なコミュニケーション環境を構築してください。